セッション
~ WHIPLASH ~
監督: デイミアン・チャゼル
キャスト: マイルズ・テラー、J・K・シモンズ、ポール・ライザー、メリッサ・ブノワ、オースティン・ストウェル、ジェイソン・ブレア、ネイト・ラング
公開: 2015年4月17日
2015年5月18日。劇場観賞
第87回アカデミー賞助演男優賞(J・K・シモンズ)、編集賞、録音賞受賞。
1・2・3・4・1・2・3・4…早い、遅い、早い、遅い、テンポが違う、テンポ、テンポ……
恐いよ!こんなに安らげない音楽映画初めて見た(爆)
◆あらすじ
名門音楽学校へと入学し、世界に通用するジャズドラマーになろうと決意するニーマン(マイルズ・テラー)。そんな彼を待ち受けていたのは、鬼教師として名をはせるフレッチャー(J・K・シモンズ)だった。ひたすら罵声を浴びせ、完璧な演奏を引き出すためには暴力をも辞さない彼におののきながらも、その指導に必死に食らい付いていくニーマン。だが、フレッチャーのレッスンは次第に狂気じみたものへと変化していく。(シネマトゥデイより引用)
自分は親に怒鳴られて物投げられて委縮して育ったから、こういう教育(?)が人間形成をどれだけ湾曲させるかよく解る。親が上から抑えつけることによって押さえつけられる方は固く縮こまり才能なんてあったって発揮できるものじゃない。
しかし、フレッチャーは親ではない。ニーマンには自分を卑下する「親族」という別の土台がある。だから、それを跳ね除けたいという反骨精神があった。イイご家庭に育ったものだ。
果たして、「師」というよりは自分の求める完璧さだけが大事な男と、どんなに罵倒されても上へ上へと求め続ける男のバトルが始まるのです。観客は100分あまりの時間、このバトルに巻き込まれ体感する事になる。恐ろしか。。
もう、ずっと隣に付き添われて全力マラソンさせられている気持ちだったわ。
ニーマンよ……ニーマン…。。
そして、紆余曲折を経て怒涛のラスト。
文字通り、頭が揺れた。リズムで揺れるというよりも脳がグラグラしたね。
第2のチャーリー・パーカーに…なんて「夢」は漠然と茫然と誰かと仲良しこよしでいても叶う事はない。真の才能とは…叩かれ罵られクズのように扱われた後の復讐心から開花する!!…のかも知れない。
そういう意味ではフレッチャーは素晴らしい「師」なんだ、きっと。でもね、でも、クソジジイ!!。
人生とは、どんな事がどんな風に影響及ぼすか解らない。
だから、叩きつづけろ!
…で、クセになる。
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
「音楽を楽しめ」と微笑んだ口で「くそったれ!!!」いうし…椅子ぶん投げるし。教え子が事故死したと涙を見せたと思ったら、血みどろビート対決させるし。第2のチャーリー・パーカーみたいな話でネイマンの心に再び火をつけたと思ったら……。
「密告者はお前だろう。」
こっわーーー……ホラーかってくらい恐い。もう、そこに「師」の姿はないものね。ただの復讐じゃないか。
ただ、どん底まで叩きつけられた結果のラストの演奏なのだから…ある意味、怪我の功名みたいな。
フレッチャーがネイマンを育てるためにわざとどん底に引きずり込むような芝居をしていたんだ…というのは好意的過ぎる見方で。
最終的には、憎しみや復讐心によって生じる「何クソ根性」が人間にとって一番火事場の馬鹿力を発揮させやすいのかも知れないと思った。
「完璧な演奏」を見せつけたネイマンにフレッチャーの顔がちょっと輝いていたようにも見えた。けれども、たぶんこの人、この後また何か仕掛けるよね。。
バトルは続くよどこまでも……って事で、勝手にやってろ。と思いつつ笑ったよ。完璧なラスト10分を味わいながら笑った。
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comment
Qさん
邦題批判はどんな作品でも起きやすいですよね。
ま~ジャズに詳しくなければ「WHIPLASH」じゃ解らないし、直訳しても変だし、仕方ないって気がします。
緊張感続く作品でしたね。
やっと上映されて見ることができました。
こんな濃くて緊迫感のある2時間はなかなかないです。
最初JAZZのリズムに合わせて映像がスィッチしたりしてノリノリで見始めたのに あっというまにバンドメンバーと同じ緊張しっぱなしの状態に…。ラスト凄かったですね。
邦題に批判もあるらしいけど、私も基本変えない方がいいと思うけど、これはイイと思います。奇跡的な、そしてたぶん2度無い(だってクソジジイだもの^^)このセッションに圧倒されました。劇場で見れて良かった~。
(ドラマブログの映画リストの満点の作品、見ます。楽しみ~。)
BROOKさん
ありゃあもう、教えるっていうよりも完全な私情ですよね^^;
教わる方は「最高の音を目指す男」の欲望に乗っかっていくしかありません。
乗りきれなくて傷ついているようでは頂点には行けないという事でしょうね。すごいわ~。
見応えがあるんだけれど、胃がキリキリと痛む作品でもありました。
フレッチャーみたいな教師には絶対教わりたくない…
けれど、一流を目指すにはこのくらいやらないとダメなんでしょうね。