最高の人生の見つけ方 (2019)
作品情報
監督・キャスト
監督: 犬童一心
キャスト: 吉永小百合、天海祐希、ムロツヨシ、満島ひかり、賀来賢人、鈴木梨央、駒木根隆介、百田夏菜子、玉井詩織、佐々木彩夏、高城れに、(ももいろクローバーZ)、前川清
日本公開日
公開: 2019年10月11日
レビュー
☆☆☆☆
劇場観賞: 2019年10月14日
2007年に公開されたロブ・ライナー監督(ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマン共演)の同名映画日本版リメイク。
闘病作品は苦手で避けがちなのだけれど、ベタベタと死を描くのではなく、前向きに生を送る物語なのは原作と同じ。
日本版として、女性主人公として、上手く変換されていると思う。元映画と比べる必要はなく、これは「日本の主婦」に贈る物語。
あらすじ
入院して初めて人生の虚しさに気付いた2人は、たまたま手にした12歳の少女の<死ぬまでにやりたいことリスト>を実行するという、ありえない決断をする!今までの自分なら絶対にやらないことも、自らの殻を破って初体験!自分らしく生きることの楽しさに出会えた二人に、ある奇跡が待っていた――(Filmarksより引用)
リメイクだけれど
前述したように原作(原案)は2007年のアメリカ映画で、爽やかな感動作品としてファンも多い。
これをどうして日本の主婦と女社長でリメイクしたいと思ったのかは分からないが、前向きな気持ちになれる良い話だったことは確か。
ロードムービーとしては少し物足りないが、家族の物語としてはベタだけれど感動する部分が多かった。
夫婦で観に行く映画として推す
この映画、実は当方、JCOMのムビチケペアプレゼントが当選したので夫と一緒に観に行ったのだ。
基本的には好きな系統の作品ではなく、飛びつくほど好きな役者が出ているわけでもなく、だから当選しなければ選択しなかったと思うしペアじゃなければ一人で行っていたので、本当に良かった。
なぜなら、この映画は子育て終了年代の主婦にとっては、とても共感できる作品だと思うから。そんなに不自由な主婦人生じゃない私でさえ、夫に言いたかったあれこれを吉永小百合が前川清にバンバン言ってくれてありがたかった(笑)思う所がある主婦の方は、ぜひダンナさんと一緒に行くべき。
(後継が居ない富豪の女社長は実体験したことがないので、ちょっと共感できるかどうか定かではなくて、ごめんなさい。)
吉永小百合と天海祐希
個人的に小百合さまの作品は小百合さまの物だし、天海さんの作品は天海さんの物だと常々思っているので、こんな2人が共演したらどうなるんだろうという恐さがあったのだけれど、お互いの「私の物」感が上手く調和して見やすいバディものになっていた。
ワーナー作品であることも邦画的お涙頂戴演出を軽くしてくれているのかも知れない。
吉永さんは可愛らしく、天海さんはカッコ良かった。間違いなくこのお2人の輝きで構成されている作品だった。
そこに投入される最高の執事的ムロツヨシがもの凄く良かったことも追記。
吉永さんと天海さんの共演は2001年の『千年の恋 ひかる源氏物語』以来18年ぶりなのだそう。あの映画は近隣の劇場のこけら落とし舞台挨拶付きで観た記憶。懐かしいな~~。
人生について考える
先にも書いたけれどもロードムービーとしては流れるようでちょっと物足りない。ロケには充分にお金かけていると思うけれども、なぜかちょっと物足りない(笑)エピソードは充分用意されているが、少し浅めなのかも知れない。
それでも、自分だったら何をやりたいか何が出来るか考えさせてくれる良い機会にはなった。
「夫と少しでも一緒に出掛けたい」というのは私自身の棺桶リストなので、この映画のおかげで一回分実現したわけである。ありがとう。
以下ネタバレ感想
この作品の一番のミステリーといえば、真梨恵ちゃんが生きていたという結末だと思うわけ。
個人的に2人が真梨恵ちゃんの手帳を遺族に返さず持ち回っていることにずっと引っかかりを感じながら見ていたので(弟に拒否されようが親としては亡くなった娘の遺書のような手帳は返してもらいたいよね、普通(笑))。
ああ~~なるほど……。生きている設定なのかと、心からホッとしてしまった。
病を知った夫の「そんなに俺との人生はつまらないか」「病気を隠すほどあてにならないのか」を聞いていて、私も宣告されても夫にはすぐに言わないかもな、と思ったりしていた。
大富豪と巡り会って豪華な旅行をし、着れなかったウェディングドレスを着て、夫に再びプロポーズされ、引きこもりの息子も外に出て来る……何だか夢のような話だけれども、結局これは壮大な主婦の夢だと思えば良いだろう。
以前『象の背中』を観た時、「死ぬ前にこんな感じで綺麗に死にたいっつーおじさんの壮大な夢じゃん、けっ!」と私が思ったように、殿方がおばさんにそう言いたくなる映画かも知れない。
私は女なので、これはこれで良いのです。
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★前田有一の超映画批評★
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