ドイツのノイシュヴァンシュタイン城やフランスのヴェルサイユ宮殿など、世界にはその美しさと共に王室絵巻に興味掻きたてられる城が数多く存在します。美しい城の中で何が起きていたのか。宮廷模様を描いたおすすめ映画をご紹介します。
お城めぐり観光気分で観る「王室・宮殿」が出てくるおすすめ歴史映画まとめ
フランスの宮廷を描いた作品
14歳のオーストリア皇女(キルステン・ダンスト)は、母マリア・テレジア(マリアンヌ・フェイスフル)の命令でフランス王太子(ジェイソン・シュワルツマン)に嫁ぐことになる。期待を胸に馬車に乗り込んだ彼女だったが、国境では衣装から下着までをフランス製のものに変えさせられ、愛犬まで取り上げられてしまう。
◆18世紀、フランス革命悲劇のヒロインとして語られる王妃マリー・アントワネットが描かれた映画。フランス政府の協力も得て、大規模なヴェルサイユ宮殿でのロケを実現させている。
1789年フランス、パリのベルサイユ宮殿。少女シドニーはマリー・アントワネットに本を読み聞かせる“読書係”。王妃に心酔し、彼女のためなら身も心も捧げる気持ちだった。しかし当のマリー・アントワネットは、ポリニャック夫人に夢中。シドニーの前でも夫人への胸を焦がすような恋心を隠そうともしなかった。折しも、宮殿の外ではバスティーユが陥落し、286名のギロチンリストなるものが出回っていた。そこにはアントワネットばかりか、王妃の寵愛を受けるポリニャック夫人の名前も。夫人の身を案じたアントワネットは、読書係のシドニーに夫人の身代わりになるよう命じるが…。
出典:映画 マリー・アントワネットに別れをつげて – allcinema
◆18世紀、フランス革命前夜のヴェルサイユをマリー・アントワネット付きの召使いの視点から描き出した作品。豪華なヴェルサイユ宮殿でのロケが行われている。当時、ヴェルサイユ宮殿の中に居住していた人々を映す宮殿内部事情が興味深い。
映画「マリーアントワネットに別れを告げて」予告編
ある日、フランスの田舎でこじんまりとしたレストランを経営するオルタンス(カトリーヌ・フロ)のもとにフランス政府の公用車がやって来る。彼女はパリ中心部にあるエリゼ宮殿と呼ばれる大統領官邸へと招かれ、フランソワ・ミッテラン大統領のプライベートシェフに任命されたのだ。だが、これまで女性料理人がいなかった男社会の厨房ではオルタンスはよそ者でしかなく……。
◆1980年代にミッテラン元フランス大統領に仕えたダニエル・デルプシュをモデルとして描かれた作品。現在の大統領官邸であり、ポンパドゥール夫人やナポレオンの皇后ジョゼフィーヌも居住していたエリゼ宮殿がロケ地として使用されている。
大統領の料理人 本予告
イギリスの歴史を描いた作品
16世紀、イングランド国王ヘンリー8世(エリック・バナ)には男子の世継ぎがなかった。いら立つヘンリーが愛人を求めていることを知った、野心家のブーリン卿(マーク・ライアンス)は聡明な長女のアン(ナタリー・ポートマン)を愛人候補に仕立てる。だが王が目に留めたのは、結婚したばかりの気だての良い次女メアリー(スカーレット・ヨハンソン)だった。
◆16世紀ヘンリー8世妃アン・ブーリンと妹メアリー・ブーリンをテーマとした作品。ドロドロした宮廷愛憎劇が描かれる。ヘンリー8世の宮廷であったホワイトホール宮殿は火災で焼け落ちた後再建されているため、撮影は当時の面影を再現した巨大なセットで行われている。宮廷外の風景は実際の場所がロケ地として使われている。
幼いころから、ずっと吃音(きつおん)に悩んできたジョージ6世(コリン・ファース)。そのため内気な性格だったが、厳格な英国王ジョージ5世(マイケル・ガンボン)はそんな息子を許さず、さまざまな式典でスピーチを命じる。ジョージの妻エリザベス(ヘレナ・ボナム=カーター)は、スピーチ矯正の専門家ライオネル(ジェフリー・ラッシュ)のもとへ夫を連れていくが……。
◆英国王ジョージ6世と王の言語療法士との友情を描いたストーリー。第83回アカデミー賞作品賞受賞作品。大戦を迎える難しい政情の中で平民である療法士と王の触れ合いに心温まる。
映画【英国王のスピーチ】予告編
ドイツの城にまつわる作品
15歳で歌劇『ローエングリン』を観たルートヴィヒはワーグナーに心酔。以来、皇太子でありながら彼は政治にも権力にも関せず、芸術に情熱を注ぐ。だが、ドイツ連邦統一をめぐる主権争いが激化。バイエルンの王座に就いた彼もその闘争に巻き込まれていく。
◆19世紀半ばのバイエルン国王・ルートヴィヒ2世の伝記的映画。美と芸術に拘り現実逃避し続け、「狂王」と呼ばれる中で作られたノイシュヴァンシュタイン城でのロケが素晴らしい。この有名なドイツの人気の観光スポットが、どんな事情で造られたのかのも興味深い。
中国の歴史を描いた作品
ベルナルド・ベルトルッチ監督が、清朝最後の皇帝溥儀の人生の軌跡を壮大なスケールで描いた歴史大作。わずか3歳で清朝皇帝の地位につきながらも、近代化の嵐にもまれ、孤独な日々を送らざるを得なかった溥儀。彼が即位してから文化大革命以降に至るまで、文字通り激動の生涯をあますところなく描き出した作品。中国現代史を背景に、愛憎、別れと出逢い、嫉妬と情熱、陰謀、政治、師弟愛、親子の情など、ドラマティックな要素を幾重にも絡ませている。アカデミーでも、作品・監督・脚色・撮影・美術・衣装デザイン・編集・オリジナル作曲・録音賞受賞と、ほぼ総嘗めにしてしまった傑作。
◆清朝最後の皇帝であり、後に満州国皇帝、愛新覚羅溥儀の生涯を描いた作品。第60回アカデミー賞作品賞・監督賞・脚色賞・美術賞・衣装デザイン賞など総なめにした。坂本龍一はこの作品でアカデミー賞初め数多くの音楽賞を受賞している。世界初の紫禁城ロケでも有名。
韓国の宮廷を描いた作品
16世紀初頭。固い友情で結ばれた幼なじみの旅芸人、チャンセン(カム・ウソン)と女形のコンギル(イ・ジュンギ)は、国一番の芸人になるという決意を胸に漢陽の都にやって来た。そこで二人は、時の王・ヨンサングン(チョン・ジニョン)が、身分の低い芸者だったノクス(カン・ソンヨン)に入れあげ、宮女にして日夜遊び呆けているという噂を聞きつける。
◆日本でも大ヒットした韓国ドラマ『チャングムの誓い』でも描かれた「甲子士禍」を起こす李氏朝鮮王朝第10代国王・燕山君(ヨンサングン)と、王が雇った芸人たちがテーマ。歴史に名高い暴君の孤独と、ただ上を目指して生きていた男たちの悲しい運命が描かれる。煌びやかな王の余興風景に世界文化遺産の華城行宮が使われている。
日本の皇居が使われた映画
1945年8月。第二次世界大戦は終結した。占領のために日本に降り立ったマッカッサー元帥は部下のボナー・フェラーズ准将に極秘調査の依頼をする。それは、この戦争の“真の意味での責任者“を探せというものだった。フェラーズは早速、調査を開始する。
◆第二次世界大戦終戦後、日本の戦争責任を調査するアメリカ軍人を描くストーリー。「日本の真実を調査する」というミステリー仕立てで物語が進行する。皇居内での撮影が許された映画は、商業用ではこの作品が世界初となる。
『終戦のエンペラー』予告編
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