ナミヤ雑貨店の奇蹟
作品情報
監督・キャスト
監督: 廣木隆一
キャスト: 山田涼介、西田敏行、尾野真千子、村上虹郎、寛一郎、林遣都、成海璃子、門脇麦、萩原聖人、山下リオ、小林薫、鈴木梨央、手塚とおる、吉行和子
日本公開日
公開: 2017年09月23日
レビュー
☆☆☆
観賞: 2019年6月28日 日本テレビ「金曜ロードショー」放映視聴
公開当時は、興味は引かれたものの足を運ばず終わる。(泣けるよーー!泣けるぅ!という宣伝文句が嫌いでぇ)
見終って、なかなか複雑で、相関図を書いてみたくなった(笑)登場人物の人生模様が繋がって行く様は面白い。昭和の絵作りもファンタジック!ファンスティック!
テレビ放送はあちこちカットされているようなので、いつかCSででも放映されたらきちんと見直したいと思う。
あらすじ
2012年。幼馴染の敦也、翔太、幸平の3人は、ある日夜を明かすため1軒の廃屋に忍び込む。そこはかつて悩み相談を受けることで知られていた「ナミヤ雑貨店」だった。今はもう廃業しており、自分たち以外誰もいないはずの店内に、突然シャッターの郵便口から手紙が落ちてくる。なんとその手紙は32年前に書かれた悩み相談だった。敦也たちは戸惑いながらも、当時の店主・浪矢雄治に代わって返事を書く―…(ナミヤ雑貨店の奇蹟(Amazon)より引用)
東野圭吾原作らしさ……
東野圭吾氏は非常に多岐にわたるジャンルの小説を書く才能がある方で、『白夜行』や『さまよう刃』のような人の心の闇が犯罪を呼ぶ作品もあれば、『手紙』や『虚ろな十字架』のような社会派作品もあり、科学が絡むSFジャンルのミステリーも多い。
そんな中、この『ナミヤ雑貨店の奇蹟』は、どちららかというとファンタジー寄りな作品で、珍しいジャンルになるのかなぁという気がした(当方、これの原作は未読です)。
「東野作品の中で一番泣ける」と言われ、舞台や海外映画にもなっているらしい……。
そうなのか。
個人的にはあまり「らしさ」は感じず、実は東野圭吾作品じゃありませんでした、と言われても納得しちゃうかも。(もっとも、先に書いたように原作未読なので、この映画だけの印象だけれど)
あくまでファンタジー
テレビ放映で見た印象だと、時代のつなぎ目のシーンがボンボン飛んで何度も驚いたので、これは地上波だからカットされているのか演出上の問題なのか確かめたくてググってみたりしたら、「つまらない」とか「ひどい」など、そういう評価の多さにビックリしちゃった。えっ……今年(2017年)最低の邦画とまで言うほどじゃなくない?
そういう感想が多いのも「東野原作」に期待しすぎた観客が多かったからなのかな、と思ってみたりした。
あとは「泣けるよーー泣けるよーー」という宣伝文句ね……。「泣ける」のは個人の主観だし、あの宣伝方法はいい加減やめた方が~~……。
ネタバレになるので多くは語らないけれども、どちらかというと童話に近いファンタジーなので、そういうつもりで観るといいと思う。
山田涼介の演技
結果的にあまり感動はしなかったけれども、思いがけずクライマックスの山田くんの表情にやられた。
「探偵学園Q」から色々見続けてきたけれども、上手くなったねぇ……。この翌日『もみ消して冬』のSPを見て、そのギャップに、本当にいい役者になったんだなぁと実感。
これからも、良い作品に恵まれていただきたいものです。
顔が美しいと、どうしても、「顔だけが美しければ済む」ような役が回って来がちだと思うので、幅広いジャンルのお仕事が来るのはとても良い事だと思う。
世間がどう評価したとしても、私が今回、この映画で「うわっ(泣)」となったのは、クライマックスの山田くんの表情のおかげなので、間違いなく「泣く映画」に貢献した主役だと言えるでしょう。
以下ネタバレ感想(相関図)
この作品の場合は相関図がネタバレになるので、映画を見てからどうぞ。
相関図の説明
上は1980年。児童養護施設「丸光園」の関係者。
相談を受ける・浪矢雄治
1980年。ナミヤ雑貨店の店主。シャッターのポストに投函される悩み相談を受け付け、表の牛乳箱に返事を返すという作業をやり続けていた。
妻は亡くなり、一人暮らし。昔の恋人・皆月暁子の霊がいつも傍に居る。
末期の病に侵され、息子と暮らすために店を閉める日、最後の相談(白紙の手紙)の返事を書く。
相談者・魚屋ミュージシャン
家を継ぐかミュージシャンを続けるか、ナミヤに相談→受け取ったのは2012年の3人。
ミュージシャンを続けると決心した矢先、「丸光園」の火事に遭い、水原セリの弟を助ける代わりに死亡。
丸光園・水原セリ
1980年の火事で弟を救ってくれて亡くなった魚屋ミュージシャン・克郎の歌を2012年に引き継いで歌っている。
セリの幼馴染み・川辺映子は心中未遂で亡くなった母・みどりを恨んでいたが、2012年、セリの歌に救われる。
相談者・川辺みどり
子どもを生むか迷ってナミヤに相談→受け取ったのは1980年の浪矢。
映子を生んで育てていたものの、事故で死亡。
相談者・迷える子犬(田村晴美)
1980年、丸光園から引き取って育ててくれた養父母の生活のために水商売をするかナミヤに相談→受け取ったのは2012年の3人。
敦也のアドバイス通りにバブル期を乗り切って稼ぎ、企業家として丸光園を支援する。
が、
2012年。業つくババアが丸光園を潰そうとしていると誤解した敦也・翔太・幸平によって、押し込み強盗に遭う。
敦也・翔太・幸平
丸光園で育った3人組。
資金繰りに苦しむ丸光園のために、業つくババア・田村晴美の家に強盗に入り、逃走中に「すでに廃屋となっている」ナミヤ雑貨店に逃げ込む。そこでなぜか投函されてくる手紙の相談に乗る羽目に。
システムを確認したくて、自分で白紙の手紙を投函してみる。
すると表の牛乳箱に返事が返って来ていた。
自分が不満に思ったこと
上にも書いたけれども、それほどの感動は得られなかったものの、返事を読む山田くんの表情にやられて、ちょっとウルっとしてしまったのだった。
「ここがこう繋がっていたのか」ということを楽しむ作品であり、繋がりには意外性もあって楽しめたと思う。
ただ一つ、自分的に不満だったのが……
浪矢さんには亡くなった奥さんがいるのに、隣りに居続けるのは暁子の幽霊で、暁子の幽霊に促されるまま丸光園関係の相談員をやらされていた感じに見えちゃったのよね……(見えちゃったっていうか、たぶんそうよね)。
これって、奥さんが気の毒すぎないだろうか。
人生、死の間際に居て、何十年も前に別れた元カノの方が傍に居るなんて、なんという呪い!
2012年の3人だって、丸光園から犯罪者を出したくない、とか、田村晴美を救いたいとか、そういう目的で暁子が一夜限りのナミヤ雑貨店を再開させたんだろうなと思うと……。
よく考えれば(よく考えなくても)、この話って実はホラーだよね(笑)
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