レジェンド&バタフライ THE LEGEND & BUTTERFLY
英題 : ~ THE LEGEND & BUTTERFLY ~
作品情報
監督・キャスト
監督: 大友啓史
キャスト: 木村拓哉,綾瀬はるか,宮沢氷魚,市川染五郎,斎藤工,北大路欣也,音尾琢真,伊藤英明,中谷美紀,橋本じゅん,浜田学,池内万作,和田正人,本田博太郎,高橋努,尾美としのり
日本公開日
公開: 2023年01月27日
レビュー
☆☆☆
劇場観賞: 2023年2月1日
織田信長の伝記を期待していくと大きな肩透かしを食らうと思う。2時間半越えの壮大な恋愛物語。
あらすじ
政略結婚によって結ばれたのは、格好ばかりの織田信長(木村拓哉)と信長暗殺を目論む濃姫(綾瀬はるか)。全く気が合わない水と油の関係の二人は、新婚初夜からさっそく大騒動。 ある日、濃姫の祖国で内乱が起こり父・斎藤道三が亡くなってしまう。帰る国が無くなったことで自身の存在意義を失い自害しようとする濃姫に、生きる意味と場所を与えたのは、他でもない信長だった。そんな信長も大軍に攻められ窮地に立たされた時、…
(Filmarks より引用)
戦国恋愛物語
所作考証のあれこれは気になるものの、恋愛ファンタジーとして、ちょっと胸あつ。主演の人の現代劇演技はあまり好きではないけれど時代劇は凄く良い。
はるかちゃんは、もう鉄板のアサシンアクション。姫は姫らしくしておれ…と思わず、バルサだと思えば楽しめる。
演技も美しさも、この2人だからこそ成し遂げたと心底思えるスケールの大きい恋愛ドラマで満足。
武将の役をやる人は、やっぱり声が出ていると安心感があるよね……とも思ったのだった。
木村さんもはるかちゃんも、こういう役をやる風格がある。
レジェンドになるね。
史実の濃姫(帰蝶)
よく「帰蝶」という名が使われるが(大河ドラマ『麒麟がくる』など)、逸話のような書物に出て来るのみで正確な名というわけではない。
お濃の方の「濃」は美濃の御方という意味であり、「名」ではない。三英傑の正妻であっても、女性は歴史の中ではそういう扱い。
信長の正室「お濃の方」は美濃の斎藤道三の娘で母は正室の小見の方だといわれている。
織田家の正史とされる『信長公記』には、織田に嫁いだ後の濃姫の記述はなく、そのためいつ亡くなったかすら分からない。
私は、本能寺で戦い、信長と死を共にする山岡荘八版のお濃の方が結構好きである。予告の印象から、この映画の濃姫もそうなると思っていた。
(まぁ、その辺はネタバレになるので……)
どういう人だったのか、いつ亡くなったのか、全く分からないからこそ自由に創作できる。
綾瀬はるかでも川口春奈でも演じられる。
自由にしてミステリアス。
この映画では、本当に魅力的で美しいお濃の方を堪能できる。
それだけでも、観て良かった。
以下ネタバレ感想
光秀のこの流れはないよねーーとは思ったけれど、創作なので……。
ラストの自決の仕方も、それだと首取られるんじゃ?と思った。けれど、まぁ……創作なので……。
桶狭間に向かう信長の諸将を鼓舞する演説を作ってやる濃姫。
「敦盛を一差し舞って悠々と出て行った」
伝説を夫婦で作り上げる。
美しく舞う綾瀬はるかに見とれた。夫婦の気持ちがピッタリ合うこのシーンから、物語にグイグイ引き込まれるようになった。
史実では、織田に嫁いだ後、どうなったかは分からない濃姫。
逸話でしかない「帰蝶」という名を一切使わない潔さは、痺れるところ。
それでもタイトルは「butterfly」だし、蝶の姿はあちこちに現れた。
何より、劇中の濃姫に確かに美しく儚く舞う蝶の姿を見た。
本能寺で抜け道を発見して、瀕死のお濃と南蛮へ行っちゃう図を見て「えっ……」と思ったけれど……。
あれも儚い夢だったのだと思うと、叶えさせてあげたかったかも。
ファンタジーだけれど、良いラブストーリーだった。
史実のお濃の方もああいう人で、安土城で愛多き末期を迎えることが出来ていたのかもしれない。……そういう想像ができたことは有難い。
・象のロケット
★前田有一の超映画批評★
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