家族はつらいよ
監督: 山田洋次
キャスト: 橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優、岡本富士太、広岡由里子、近藤公園、北山雅康、徳永ゆうき、関時男、小林稔侍、風吹ジュン、中村鷹之資、丸山歩夢、笹野高史、木場勝己、笑福亭鶴瓶
公開: 2016年3月12日
2016年2月28日(オンライン試写)
『東京家族』から3年。ほぼ同じキャストで修羅の家族がユーモラスに語られる。
「家族って厄介だけど愛おしい」というのが『東京家族』のCMナレーションに入っていて、あまりそういう内容じゃないよなぁ、と当時思っていたわけだが、こっちはまさにそういう話。
厄介で変で、可笑しいけれども愛おしい人たちの喜劇。
◆あらすじ
長男・幸之助(西村雅彦)の一家、次男・庄太(妻夫木聡)と3世代で同居をする平田家の主、周造(橋爪功)。妻・富子(吉行和子)の誕生日であることを忘れていたことに気付き、彼女に何か欲しいものはないかと尋ねてみると、何と離婚届を突き付けられる。思わぬ事態にぼうぜんとする中、金井家に嫁いだ長女・成子(中嶋朋子)が浪費癖のある夫・泰蔵(林家正蔵)と別れたいと泣きついてくる。追い掛けてきた成子の夫の言い訳を聞いていらついた周造は、思わず自分も離婚の危機にあることをぶちまけてしまう。(シネマトゥデイより引用)
『東京家族』を観賞した時は、周りのご年配の方々が笑うタイミングが理解できなくて「ここ笑うとこなんだ…」と不思議に思う事が多々あったが、家族の話ってそういうものかもね…と、今になると思うのだ。
もっとも、「東京家族」は自分的には笑えるような話じゃなかったけどな…それは今見ても変わらないかも。
親をたらい回しにする酷い子どもたちの話は身につまされるばかりで、ひたすら痛々しかった。
けれども今回はもっと気負わず誰でも楽しめると思う。何せ、基本が紛うことなき喜劇なのだから。
自分の家の状況に微妙にリンクしている方も多いだろう。人間と同じく家も家族も年を重ねて変わるもの。
だから、抉られる。抉りながらも笑わせてもらえるのは、やはり監督ご自身の年齢目線か。年の功、まさにこれね。
他人の家のゴタゴタは蜜の味だ(笑)
まだ老いた親がおらず、家庭年齢が若い世代には理解できない部分も多いかも知れない。そういう方には何年か経ったらもう一度ご覧になっていただきたい作品。
観る人間のバックにも自分自身の家族の形が影響する… 山田洋次監督の作品ならではの日本の家族の味わい方を堪能できる。
「不協和音も時には美しいメロディを作る」次男カップルが今回も癒し。
『東京家族』を見なくてはいけないワケではないけれども、見ておいた方がパラレルワールドのように楽しめるかも。
あっちを見て、こっちを見たら、ホッとするもの。やっぱり(笑)
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
おれのどこが気に入らないんだ!何も悪い事なんかしてないんだぞ!
という親父あるある…。。
しかし、このお父さんはこれでも可愛いと思えるよ。あの世代の親父はとにかく自分が一番偉くて家族の気持ちなんて考えもしない人が多いもの。年を取れば人のいう事も聞くようになり丸くなる…というのも人に寄る。
年老いた母親が出て行くと言えるのは、やはり経済力だよね。小説家の弟の印税がね…とおっしゃる吉行和子さんはお父さまもお兄様も小説家である(笑)
話を大きくする長女のダンナ、可笑しい。。>
『東京家族』でも両親の気持ちを汲みきれない長男・西村雅彦さん夫婦が、こっちでもやっぱりちょっとズレてる。それも面白い。
「東京」では、何なの?この子どもたち…と、腹が立った所が今回は全部笑いに変わっていて良かった。
家族の接着剤である次男の彼女は今回も父の心をほぐす。
可愛い孫とも同居している事だし、こんな事で家族会議を開いてくれる子どもたち、イイ家族だよね、とても親思い。
現代では親が離婚すると言っても経済的に何とかなるなら子どもたちはさして騒ぐこともないだろう。
平田家は現代日本の理想の家族だ。
まさに、面倒くさい、でも愛おしい。
家族はつらいよ [ 小路幸也 ] |
comment