永遠に僕のもの
原題 : ~ El Ángel / The Angel ~
作品情報
監督・キャスト
監督: ルイス・オルテガ
キャスト: ロレンソ・フェロ、チノ・ダリン、ダニエル・ファネゴ、セシリア・ロス、ルイス・グネッコ、ピーター・ランサーニ、メルセデス・モラーン、ウィリアム・プロシアック、マレーナ・ヴィラ
日本公開日
公開: 2019年08月16日
レビュー
☆☆☆☆
劇場観賞: 2019年8月21日
1971年、アルゼンチンで17件の強盗、11人の殺人事件を起こしたカルロス・プッチをモデルに描いた実話ベースの犯罪映画。
よく人間は顔じゃないYO…というけれど、天使のような容姿のせいでだいぶ許されてる感はあるよね。
君の物は僕のもの僕のものも僕のもの君自身も僕のもの……
あらすじ
ブロンドの巻き毛に透き通る瞳、艶やかに濡れた瞳、磁器のように滑らかな白い肌―。神様が愛をこめて創ったとしか思えない美しすぎる17歳の少年、カルリートス。彼は欲しい物は何でも手に入れ、目障りな者は誰でも殺す。息をするように、ダンスを踊るように、ナチュラルに優雅に。やがて新しい学校で会った、荒々しい魅力を放つラモンと意気投合したカルリートスは、二人で様々な犯罪に手を染めていく……(Filmarksより引用)
可愛いは正義
カルリートス役のロレンソ・フェロは、「ほぼ新人」なのだそうで。(子役経験あり)あどけなくて可愛くて、なのに妖艶で、そして惨酷な天使にピッタリだった。
みんな美しいものには、やはりヤラれてしまうんだね。
実の親、そして友達の親、こんなベビーフェイスが悪いこと出来るわけがない……と、誰もが信じたい。本人も充分に容姿の使い道を心得ている。
美しいがゆえの怠惰。そして美しいのに孤独。
カルロス・エドゥアルド・ロブレド・プッチ事件の実話ベース
ニュースサイトは見つからず、Wikipediaも英語版しかない状態。
労働者階級の家庭に生まれ、子どもの頃は内気な少年だったと書かれている。
「死の天使」と「黒の天使」としても知られるカルロス・エドゥアルド・ロブレド・プッチ(1952年1月22日生まれ)は、アルゼンチンの 連続殺人犯です。彼はして有罪判決を受けた 11件の殺人事件、1件の殺人未遂、17件の強盗、1件のレイプ、1件の未遂レイプ、の1つのカウント性的虐待、2人の誘拐と2つの盗難。
映画よりも、罪状が多そう。
公式サイトには、
「インスパイアはされたが、本質は変えたキャラクター」
と書かれている。
彼がやった事を考えたら、実際にはもっともっと残酷で、もっと泣かされた人たちがいたに違いないから。
映画では現実感はあまり感じられず、犯罪は遊びのように流れていく。
犯罪もきっと青春
凶悪犯…というよりも、「悪いこと?なにそれ美味しいの?」みたいな犯罪の数々。
誰も教えてあげられなかったからこうなったのか、それとも神の悪戯サイコパスなのか。最後までそれは分からないけれども、なぜか孤独でいっぱいの気持ちは伝わる。ちょっと泣けてしまう。
POPなカラーと怠惰なダンス、不敵な笑みに無邪気な瞳。意外性のある行動や表情は美しければ美しいほど気を引く。
劇中の人たちと同じくらい、見入ってしまうスリリングな美天使映画だった。
それで、彼は楽しかったのだろうか。
実在のカルロス・プッチは現在67歳。
終身刑で現在も投獄中。
アルゼンチンでは死刑制度は廃止されている。
以下ネタバレ感想
ラモンの事が好きだったんだよね。
首筋にバーナーを当てるという、どSな告白だったけれど。
初めはラモンの家が犯罪者一家なのを知っていて近づいたのだと思っていた。
けれども、最初から好きだったんだよね。
我慢できないセクシュアリティ。
ラモンと盗むのが楽しくて。邪魔する者がいるから消してきた。
テレビの中のラモンに失望するどころか賞賛し、隣りで踊る妄想。切ない。
「マリリン・モンローみたい」
一番楽しかったのは、きっとあの頃だったのだろう。
それでも、カルリートスは思い出を閉じ込めて、自分は生き続ける。
共に死ぬわけではなく、絶望に打ちひしがれるでもなく。
ラストのダンスもきっと隣にラモンがいるのだろう、と考えたら、泣ける。
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