永遠のジャンゴ
原題 : ~ Django ~
作品情報
監督・キャスト
監督: エチエンヌ・コマール
キャスト: レダ・カテブ、セシル・ドゥ・フランス、ベアタ・パーリャ、ビンバム・メルシュタイン、ガブリエル・ミレテ、ジョニー・モントレイユ、ヴァンサン・フラド、グザヴィエ・ボーヴォワ、パトリック・ミル、アレックス・ブレンデミュール
日本公開日
公開: 2017年11月25日
レビュー
☆☆☆
観賞: 2018年10月21日(DVD)
ポライモスについての理解を深めたいという気持ちで観賞したので、それは、ちょっと違ったかなという印象。
音楽のための1本。
◆あらすじ
1943年、ナチス・ドイツ占領下のフランス。ジプシー出身のギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトは、パリでもっとも華やかなミュージックホール、フォリー・ベルジェールに出演し、毎晩のように満員の観客を沸かせていた。まさに音楽界の頂点を極めるジャンゴだったが、一方で、ナチスによるジプシーへの迫害は酷くなり、パリをはじめ各地でジプシー狩りが起きていた。多くの同胞が虐殺され、家族や自身にも危険が迫り…(Filmarksより引用)
ポライモス
ナチスドイツが行った戦争犯罪の1つにユダヤ人に行った虐待・虐殺「ホロコースト」と同様に、ジプシー民族(ロマ族)に行った「ポライモス」がある。
ロマの場合は差別の歴史が古い。ジプシー(流れ者)なので歴史の中では犯罪に関わってきた者も多く、各国で鼻つまみ者のように扱われること、多々。ヨーロッパ系のロマは人種的にはアーリア人にも関わらず絶滅政策に加えられたのはその歴史の末の選別に他ならない。
アーリア人だが「純粋」なアーリア人ではない、という事らしい。究極の仲間外しであり、虐め。
Wikiによると、
第二次世界大戦におけるロマの犠牲者数は、推計で22万人から150万人に上るとされる。
ということである。
しかし、流れ者であるからか、ロマに対しては戦後の補償すら軽い。
ロマの音楽
ジプシーであることは「自由」の魅力も持つことであり、差別されつつも「持たざる者」の憧れでもあったように思える。
スペインのフラメンコ曲などに見られる激しく情熱的、かつ郷愁感誘われる音階、抑揚。
そういう部分に引き寄せられ、多くの作曲家が影響を受けて来たのだろう。
この映画の主人公、ジャンゴ・ラインハルトもその才能で生きてきた人。
音楽が俺を知ってる
ジャンゴ・ラインハルトについての知識はまるでなく、ロマであることも知らなかった。
演奏がナチスの妨害に遭い、命の危険にさらされていた事も、もちろん。
映画の中ではロマへの虐待描写はそれほど酷く描かれず、もちろん収容所などは出てこない。(会話の中に出てくる)
1943年。ナチス・ドイツのフランス侵攻からストーリーは始まり、迫害の描写は人伝ての会話。主人公に対する迫害は音楽上の事として描かれる。
「キーはメジャー中心で」
「ブルースは禁止」
「テンポの速い曲も禁止」
「ブレイクも禁止」
「ソロは5秒以内」
「シンコペーションは5%以下」……
「自由」が魅力だと分っているから、わざと抑制する。
音楽が俺を知ってる。
とジャンゴは言う。神の言葉。
どんなに不自由しても、音楽は身を助く。
逃亡劇にはハラハラしたが、ルイーズはあの後、どうなっただろう……。
音楽の神に助けられ、提供された教会で作ったレクイエム。
この一曲と、犠牲になった人々の写真に胸を突かれる。
「レクイエムはパリ解放後盲学校で1度だけ演奏された。」
「現在は譜面の一部しか残されていない。」
あまり知られず流されてしまった悲劇が、その中に全て残されている。
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★前田有一の超映画批評★
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