ボクの妻と結婚してください。
監督: 三宅喜重
キャスト: 織田裕二、吉田羊、原田泰造、高島礼子、込江海翔、森カンナ、眞島秀和、佐藤ありさ、前川泰之、大塚千弘、小堺一機、大杉漣
公開: 2016年11月5日 観賞: 2016年10月19日(試写会)
原作小説→舞台→ドラマ化からの映画化である。
樋口卓治氏の原作は未読だが2015年に放映されたNHKBSドラマは視聴済み。
だから、大方のストーリーは把握しての観賞。一ツ橋ホール試写会。
正直、劇場で予告を見るたびに「えぇぇ~…」と思っていた。
だって、予告が、まんま…。いいのか、これは、と。。
◆あらすじ
バラエティー番組の放送作家・三村修治(織田裕二)は多忙な日々を送っていたある日、末期のすい臓がんで余命6か月と宣告されてしまう。ショックを受けながらも家族のため何ができるのか考えた彼は、自分の代わりに家族を支えてくれる人を見つけようする。そこで、以前一緒に仕事をしたことがあり、今は結婚相談所の社長である知多かおり(高島礼子)に、自分がこの世を去った後の妻の結婚相手を探してほしいと頼み……。(シネマトゥデイより引用)
それってネタバレじゃない?
という話だが、予告自体がネタバレなのだから仕方ないよね。。
ずばり、キャストが心配でした。
上にも書いた通り、NHKBSドラマ版を視聴していたので話の流れは知っていての観賞。 だからどうしても比較してしまう。
が、不安視していた割には泣けたわ。…こういう話だから泣けないようならダメですもんね。
何を不安視していたのかというと、ずばりキャストである。
ファンの方はすいません。もちろん私も嫌いな方々なわけではない。
ただ、どうしても織田裕二は死にそうには見えないし、吉田羊さんは死後の心配をしてあげなきゃいけないような女には見えないのだった…逞しくシングルマザー街道をばく進しそう。。
ドラマ版はウッチャン(内村光良)と木村多江さんのカップルで、ほら…見なくても想像できる感じでしょう。死を宣告されてオタオタし、構成作家として笑いを求め、「いつも笑っていてほしい妻」にずっと笑顔を提供しようと思いつく様。
すでに当時のドラマレビューの方に「三村修治はウッチャンならではの役だ。」とか書いちゃってるもんね。不安になるのも解っていただけるだろうと。
結果、映画版は映画版で納得できた
観賞した結果、これはこれでいいのだと思った。
ゆーじが死にそうにないのは変わりないけれども、そういう部分を脳内から打ち払って見れば、見事に「織田裕二と吉田羊のドラマ」になっていた。
ドラマ版は全体的にファンタジーモードだったが、映画版は極めて現実的。 この2人の印象がそうさせているのだと思う。
設定自体は奇想天外な物なのだが、それを「現実」に見えるように持っていく。その結果、ちょっと変わった終活映画が出来上がるという面白い展開。
だからこそ泣ける、という方もいらっしゃるだろうし(現実に試写会場は嗚咽で溢れていた)、映画版しか見ていない方は恐らくドラマ版を見たら目が点になるんだろうなぁ…と冷静に思いつつ、私もすすり泣き程度にはウルっとしたのである。
同じ話でも印象がこうも変わるかと思うと、これはやはり両方見ないともったいない。映画を見た方は機会があったらぜひドラマ版もご覧になってみてください。
ドラマ版にあって、劇場版にないもの
連ドラ版には演出にちょっとカンに障る仕掛けがあって最初は脱落しそうだったのだけれど、最終回にその演出の意味を理解して泣くという…。
そういう意外性は映画版には無かったな~。
淡々と終活を追って行く作品になっていた。
驚いたのはドラマ版のラストに描かれた「ある形式の葬儀」がスパっと削られていたことである。
原作を読んでいないので解らないが、あれはドラマオリジナルの展開だったのかしら。
自分はこの作品の映画化が決定したと聞いた時、あのシーンをスクリーンでパーーッっと映し出すための映画化なのだろうと勝手に思い込んでいたのだけど。そこが見れなかった事は残念。
そう考えるとドラマ版は終末について葬儀や墓までトータルに考えさせてくれる凄い仕掛けだったのだなぁと改めて思う。
ドラマ版の見直し感想ばかりになってすいません。
劇場版の主要キャストは子役の込江海翔くんがとても良かった!この子がいるから泣けたのだというのが個人的に一番の感想。
あとは原田泰造の笑顔の安心感ね。
とても役に合っていた 。
泣かせ狙いの作品ではなく、人が人生の終わりにどう過ごし、どう「送られるか」を描いた優しい作品。
※これを読むと全体的にネタバレされるので、これから見る方は読まない方が。。

ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
夫は自分の死後の妻と息子のサポートを考え尽くして満足して死んでいく。
妻は再婚すると夫に信じさせて安心して逝かせてあげる。
夫が立てた企画が結果的には妻の企画に早変わり、という夫婦思いやりのお話。
伊東さんは今後どうなるのか解らないけれども、きっとこれきりにはならず、三村親子とは良い友人関係を築いていくだろう。
「結婚」という形では無くても、修治は良い繋がりを彩子に残していってくれた。
これも、人徳。
ドラマ版放映中、私の父は末期のガンで、修治のような素敵な人格では無かったので色々とモヤモヤするものを残して逝ってくれた。
人間の最期って、本当にその人の生きてきた人徳や性質の全てが表れる物だとつくづく思う。生きてきた形が最期の形。
幸せに逝くことも、幸せを残して逝くことも、全部周りから与えられるのではなく自分次第。
考えさせられる1本になった。
・『ボクの妻と結婚してください。』公式サイト
・ボクの妻と結婚してください。@映画生活トラックバック
・象のロケット
comment
BROOKさん
現実離れしたストーリーをどう味付けするかで作品の印象がガラッと変わるという例がこの映画とドラマ版…という事になると思いました^^;
機会がありましたらぜひドラマ版も^^
展開は悪くなかったと思います♪
ちょっと現実離れしたストーリーだったのが気になりましたが、原作がこうなので仕方ないのでしょうね。
こういった作品だと普通シリアスに振られますが、
後半は心温まる展開へとシフトチェンジしていて、余韻に浸ることが出来ました。