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『ゴーン・ガール』完璧な結婚

ゴーン・ガール~ GONE GIRL ~

   ゴーン・ガール.png

監督: デヴィッド・フィンチャー   
キャスト: ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・ハリス、タイラー・ペリー、キャリー・クーン、キム・ディケンズ、パトリック・フュジット、エミリー・ラタコウスキー、ミッシー・パイル、ケイシー・ウィルソン、デヴィッド・クレノン、ボイド・ホルブルック、ローラ・カーク、リサ・ベインズ
公開: 2014年12月12日

2014年12月17日。劇場観賞

観終ってのこのモヤモヤ感……。
いくらでもスッキリ終わらせる手はあると思うのよ。でも、それをしない。残す…この作りがね、たまらなく好きだわ。デヴィッド・フィンチャー。

この映画を未見の方は、口コミも公式もSNSも何も覗かずに劇場へGОである。
先入観がダメなんだよ…そういう作品。

あらすじ
ミズーリ州の小さな町でバーを営むニック・ダンは、妻・エイミー・エリオット・ダンとの5回目の結婚記念日を迎えていた。しかし、その日、エイミーは突然失踪する。
荒れた部屋の様子から事件性が疑われ、その日からエイミーを探すためにボランティアが集められた。
エイミーは有名な作家であるメアリーベス・エリオットの娘なのである。
ボランティアに気を配るニックだったが、捜査が進む内にニックに様々な疑惑が浮き上がる…。

ものすごく期待値上げて行ったのだが、全くそれが落ちる事なく見終えた。観終って一番に頭に浮かんだのは『オーメン』…ぃゃ、ホラーじゃないです。

149分、約2時間半の上映時間は全く長く感じなかった。

謎に惹きこまれ、中盤で一度「ええっ」と唸り、そこから先の展開にもドキドキし、ラストの落とし方にモヤモヤする。観客の心理まで遊び尽くすフィンチャー監督。

トレント・レズナーの音楽がまた、不安感を誘うんだ。何だろうな…別にオドロオドロしい曲調ではないのに何かが起きそうな期待値が上がる。

サスペンス部分が片付いた後もこれほど惹きこまれる作品はそうないだろう。

そして、パートナーを持つ者は自分の相手について考え、まだ持たない者は持ちたくなくな……らない事を祈るばかり…。

って事で…ネタバレは本当に、何も目にせずに観た方がいいですよ。

感想の大部分はのネタバレ欄で。

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 


「ゴーン・ガール」って…girlって年ではないよね…と思っていたけれども、『完璧なエイミー』のエイミーなんだ…。

エイミーは何処へ行ったのか。殺されているのか。殺したのはニックなのか。ニックは本当にDV男なのか…。
見ながら考えることをたくさん提供される前半。考える…というよりも、エイミーのモノローグに完全にミスリードされていくからニックの方がサイコパスに見えてきてしまう。

けれども、犯罪を犯すにはお馬鹿すぎるのよね。ニックが。そもそも、行方不明の妻について語る時に笑顔とか見せるから…。マスコミも上手く誘導する。現実にありそうな光景。

結局は浮気してるんだもんな…。

『完璧なエイミー』の結婚に夫の浮気なんて有りえない。
エイミーが欲しかったのは完璧な結婚。完璧に見える結婚。

自身が犯罪に巻き込まれたように工作していく様子はゾッとした。血を撒き、夫が拭き取ったように拭き取る。夫のずさんさは把握しきっている。よく見てる。

妻の交友関係も血液型すら知らない夫とは大違い。

犯罪も計算が出来てマメじゃなきゃ成功しないって事だよね。私には無理だわ。

ダンナが奥さんの血液型も知らないなんて…って話だが、欧米では自分の血液型すら知らない人は多い。血液型にこんなに拘るのは日本人くらいかも。事故に遭ったら病院が処置の前に調べるし(血液型なんてすぐに分る)知っている事に意味はないのだそうな。

むしろ注目すべきは交友関係だよね…。妻が昼間誰と会っていて誰と何をしていたか。大抵のダンナさんは知るまい。エイミーはそれもよく把握している。

世界の全てを掌握したくて、自分を支配する裳の裏切る者は許せないサイコパス。

事件が事件じゃなくなれば弁護士は去り、警察ももう動いてくれない。これも現実。

ニックはこの後、どうなるのだろう。
結局は、エイミーのいう通りの完璧操り人形の一生を送るのかもね…。

ここで、エイミーの両親の気持ち悪さが見えてくる。

あのパパも、たぶん同じなんだ。
人形のように張り付いた表情。生きている感じがしない。
そして思うのである。
我が家は果たして………

ラストのエイミーの表情は勝ち誇ったように美しく、ゆったりしていて何の不安も無さそう。

それを見て、思い出したの。『オーメン』のラストのダミアンを。
やったのは全部こいつなのにね……。モヤモヤするけれども本当に完璧だ。

「ゴーン・ガール」公式サイト

 


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・象のロケット

★前田有一の超映画批評★

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