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『記憶探偵と鍵のかかった少女』マインドスケープの意味を解く

記憶探偵と鍵のかかった少女

原題 ~ MINDSCAPE ~

記憶探偵と鍵のかかった少女 感想

作品情報

監督・キャスト

監督: ホルヘ・ドラド
キャスト: マーク・ストロング、タイッサ・ファーミガ、サスキア・リーヴス、リチャード・ディレイン、インディラ・ヴァルマ、ノア・テイラー、アルベルト・アンマン、ブライアン・コックス
公開: 2014年9月27日

レビュー

☆☆☆

2014年11月12日。劇場観賞

 

オチは想定内。
…というか、ああ、こっちに来たかという感じ。

どっちに行ったとしてもモヤモヤする事に変わりはないだろうし…。
まだ続いていると考えることもできるし…。

原題は”MINDSCAPE”「心象風景」といったところ

邦題は…何だか児童文学みたいだね。 ちなみにPG12指定です。

あらすじ
ジョン・ワシントンは人の記憶を探る「記憶探偵」である。自身の家族を巡るトラウマが原因で療養生活を送った後、久しぶりに仕事に復帰。紹介されたクライアントの依頼は拒食している娘の心を探って物を食べるようにしてほしいというものだった。

早速、その16歳の娘・アナと対面し記憶を探ったジョンは、少女の体験が過酷な物であることを知って戸惑う。

「記憶探偵」という名の超能力者の証言が法的には危ぶまれているものの、数々の事件を解決しているので社会にほぼ認められているという架空の世界。

この辺の説明はニュース番組の報道で解説。SFだと思って見れば意外とスムーズに受け入れられるようになっている。

記憶に入り込むというSF設定

記憶に入り込んでいく手法は「え…そんな簡単なの?」って感じだけれども安っぽいとは思わなかった。むしろ変にハデハデしいCG使ってグイーーーンと入って行かないところには好感が持てる。

記憶を探る様子も仰々しい演出ではなく、ちょっとJホラーっぽいゾッとする映像。

最小限の予算で最大限の演出をしているよね…これ。すごい。

 

依頼人は大富豪で、父親はアナにとって継父。社会的な地位は強いが家と財産は母親のもの。アナは家庭でも学校でも多くの事件を起こしている社会病質者(ソシオパス)……。大変複雑なご家庭。

記憶は本物なのか、ジョンは誰かに陥れられているのか…というミステリー。

主人公のメンタルが大変弱いので、こんな人に仕事させて大丈夫という感じだけれども、こういう人だからああなるわけで…それは織り込み済みの設定だから文句言わない。

 

アナ役のタイッサ・ファーミガさんが非常に美しく、家という檻に閉じ込められた気高くも哀れな少女という設定にピッタリの存在感だった。この子のいうことなら信じたくなるし…守りたくもなる。

想定の1つ

あいつもこいつも怪しいってネタフリはいっぱいされているので、上に「想定内」と書いたけれども何種類か想定した中の1つの結末になりましたといったところ。

見ている内にこっちも何が本当なのかよく解らなくなってくる仕掛けで最後まで飽きることが無かった。

見ようによっては、これも本当のことなのか解らないし、悪夢は続くよどこまでも…で、エンドレスに造る事ができそう。だから結末にモヤモヤする。

まぁ…こんな時代が本当にやって来ない事を祈りたい。探られたくない記憶、いっぱいあるもん。。

では、後はネタバレ欄で。

以下はネタバレ感想

想定されるのは、

A.アナが記憶を操作している本人で全ての事件の犯人(マウシー)はアナ。

B.上司のセバスチャンが継父と組んで金目当てでアナを陥れようとしている。

C.セバスチャンは無関係だが継父が他の記憶探偵に依頼して記憶を操作している。

D.全てがジョンの妄想。

…こんなところ

 

セバスチャンは初めから色々と怪しげだったもんね。「海辺の家」「海辺の家」ってしつこかったし、家が欲しくて陥れているのかとさえ思ってしまった。

 

結果的にはAが正解で、アナが全てやりました…IQが高いと初めに言われていたのにジョンのアナへの思い込みが強すぎた。

メトロノームも何か催眠術的に使っていたのかもね…あれを使う事で、記憶の中で止まった時計が動いているように見せかけたのかも知れない。

目的は病院送りから逃れて自由を得ること
その辺がモヤッとした。

 

結果的には親も何もかも気にくわず、ゲームを楽しむように全てを操ったのだから、ソシオパスではなくてサイコパスなんだろうな…アナは。

うん…けれども、やはりジョンの自殺した妻と同じ名前の「アナ」である事も引っかかる。セバスチャンの関わりは完全に否定できない気がする。

しかし、アナはあれで自由なのかな…。継父も生きているらしいし、ジョンの無罪を証明する新聞記事でアナが生きていることも世間は解っているわけだし、連れ戻されるって事はないのだろうか。やっぱりオチが甘い。

 

だから、実は全てが探偵の妄想なのでは…という線も捨てがたいのである。

結果、これで終わったわけでは無く、まだまだ続いていく気がするのだった。

 

 

 


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・象のロケット

★前田有一の超映画批評★

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