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『舞妓はレディ』京都の雨は大がい盆地に降るんやろか

舞妓はレディ

    

監督: 周防正行   
キャスト: 上白石萌音、長谷川博己、富司純子、田畑智子、草刈民代、渡辺えり、竹中直人、高嶋政宏、濱田岳、中村久美、岩本多代、高橋長英、草村礼子、岸部一徳、小日向文世、妻夫木聡、松井珠理奈、武藤十夢、大原櫻子、徳井優、田口浩正、彦摩呂、津川雅彦、(加瀬亮)(瀬戸朝香)
公開: 2014年9月13日

2014年9月22日。劇場観賞

自分のニブさにビックリするよ…。
劇場予告は随分前から見ていて、ハセヒロがあまりにも楽しそうに笑っていたので観に行こうと心に決めていた。周防監督だから失敗はないだろうと思い、舞妓サクセス&トリビア的ストーリーなのだろうと思っていた。

劇場予告では解らなかったけれどもミュージカルなのだとテレビの宣伝番組を見て知り、ちょっと腰が引けた(←ミュージカル苦手 )

…と、同時に東京ガス:エネファームのCMを思い出し、何となく移ろいやすい気がするハセヒロのお歌を心配した…。
    

予告で訛りを直すストーリーだと知っていたのに…ハセヒロが言語学者だとも知っていたのに…Twitterで教えてもらって気づいたのだった。

舞妓はレディ?まいこはれでぃ?まい・こは・れでぃ……マイ・フェア・レディかっ!!!

京都の花街・下八軒には現在、舞妓が1人しかいない。たった1人の舞妓・百春ももう三十路。いい加減、芸妓になりたい。そんな人手不足な状況の中、ある日、キャリーバッグを引きずった少女が訪ねてくる。舞妓志願だというその少女・春子はお国の訛りが酷く、とても京言葉に変えられそうもない。たまたまそこに居合わせた言語学者・京野は春子の言葉を矯正して舞妓に育てる賭けをする…。

ストーリーは想定内である。予告で見た時に思った通り、1人の少女が舞妓になるためにお稽古に励み、努力して花開く…もう、ネタバレも何もないくらいストレート。。

一人前の舞妓に育てるために彼女を叱り励まし見守る花街の人たち……と、言語学者。←これがまぁ「マイ・フェア・レディ」下敷きになっている。

正直、前半は、ちょっと失敗したのかも…というくらいに間延びを感じた。「私が苦手なミュージカル」をそのまんま感じてしまったのである。唐突に始まる歌、あまり広がりを感じない演出、ミュージカルらしいのに音楽があまり生きていない感覚。

時々クスッとはしたものの、大丈夫か…という不安があった。

800人のオーディションから選ばれたという主役も、澄んだ声がよく通るなと歌には感心したものの、どうにもヤボったい…。動きや表情もボーーっとしてるし、この子で大丈夫なのと、思っていた。
   舞妓はレディ3.png

けれども、不思議なくらい段々とスクリーンにのめり込むようになってくる。まさに、この子が成長するのと同じ感覚で、作品自体のヤボったさも洗練されていく。魔法のようだ。

ラストにはもう…別人のように生まれ変わった主人公が、前半の印象とはまるで違う盛り上がった画面の中に居るのである。

京都の土産物屋でよく見る京人形がそこにいるんだもの。そして、序盤はたどたどしく棒のように見えた演技すら輝いて見えるんだもの。
    舞妓はレディ1.png

すると、たどたどしいあの演技も、たどたどしく見える演技だったのだろうか。この成長っぷりは…上白石萌音、恐ろしい子…と思えばいいのか、周防監督の計算尽くしの演出なのか。いや、恐い。

ミュージカルが苦手だという方も、ぜひこのマジックを確かめてみていただきたい。
ラストには、主人公の成長が我が子のように感じられて、見守ってきて良かったと思えるようになります…たぶん。

「マイ・フェア・レディ」をご存じの方は、ストーリーの所々に重なる部分を見つける事が出来るはず。どう和風に味付けされているか、見つけた時は楽しい。

イライザが苦労していた「スペインの雨は主に広野に降る」が、ああなっちゃうんだもんね…。

当方は関東生まれの関東育ちなので全く方言については解らないが、作品の中では「出来てきた風」が楽しめたのでそれで十分だと思うのだった。

「マイ・フェア・レディ」引用だけではなく、キャストや小ネタが監督の過去作や俳優さん関連から入り込んでいるのも楽しい。「京野メソッド」は『鈴木先生』ファンにはニヤニヤものですよ…監督、色々と見ているなぁ。
     舞妓はレディ2.png

『それでもボクはやってない』から加瀬亮さんと瀬戸朝香さんが「出演」されてますが…見つけた人はいるだろうか。私はすぐに解ったぞ

正直、2時間越えは、ちと長かった。
けれどもラストの感動を思えばどうってことはない。
マイ・フェア・レディ・ミラクルを楽しむつもりでご覧下さい。

 


以下ネタバレ感想

 

 

予告で気になっていた、あの春子が踊りの師匠に怒られて泣き出すシーン……。

ああ、しごかれて可哀想に、と思っていたけれどもそういうシーンでは無かったのね。。 荒治療のおかげで声が出ましたとさ……というシーンだった。

ラストまで明かされないので「一春の下りはどうするんだろ」、と思っていたら、下八軒みんな実は知ってましたよのオチ。

そんな馬鹿な…だけれども、あそこからグダグダお涙頂戴を始めないのはむしろ良かった。
みんな知っていて温かく見守っていた。それで十分。。

遺影の中の一春に瀬戸朝香。そして、お父さんに加瀬亮……。幸せそうだったよね。

でも、春子が一春とソックリ……なのは、ちょっとムリ。

個人的な見どころは、千春さんの娘時代を歌う大原櫻子のシーン。(ヅラは今いちだったけど )さすがの歌唱力とのびやかな声。

セットがファンタジックで、”ミュージカル”に合ってた。

色々と中の人たちの過去作も入れ込んであった事を考えると、もしかしたら妻夫木くんキャスティングはミュージカル(?)映画『愛と誠』から

一番の見どころは歌とイメージ広がるクライマックスですけどね…。上白石萌音さんの声が前半の何百倍も堂々と伸び伸びと響くエンドロール。

あそこだけでもう、ああ楽しかったな、って思えた。。

「舞妓はレディ」公式サイト

 

 

 

 


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・象のロケット

★前田有一の超映画批評★

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