恋の渦
監督: 大根仁
キャスト: 新倉健太、若井尚子、柴田千紘、後藤ユウミ、松澤匠、上田祐揮、澤村大輔、圓谷健太、國武綾、松下貞治、鎌滝博秋、杉尾真理子、広瀬登紀江
公開: 2013年7月6日
2014年8月3日。DVD観賞。
ネット上で話題になっていたので…まさにこれこそ口コミ状態、大根仁監督作品だという興味だけで見た1本。
正直、出だしは心から「失敗したかも…」…と、思った。
自分の生活環境にはあまり縁のないギャルとギャル男のパーティ。意味のないタラタラした会話が続く。セリフすら頭に入って来ない。キャストは知らない人だらけ。これ、2時間以上も見続けさせられるのかよ…と、ウンザリした。
でも、そうじゃなかったの。
本当に面白いのはパーティ終了後。
イケてない友達・オサムに彼女を紹介するために「部屋コン」を企画した部屋の主・コウジと友達のユウタ。しかし、コウジの彼女・トモコが連れてきた相手はドン引きするブス・ユウコ。
気を使いながら行われた部屋コンの中、ユウタの同居人・タカシは初対面なのに1人で盛り上がり、トモコとユウコの同僚・カオリにホレてしまう。
この日、部屋コンに参加したコウジの弟・ナオキと同棲中のサトミも巻き込んで、9人の人間関係は複雑に絡み合っていく…。
9人のDQNと、各人が暮らす4部屋の物語。他には舞台はない。低予算、4日間で撮られたというワンシチュエーションならぬ4シチュエーションドラマ。
これが「こいつら所詮DQNだからこんななんだよな…馬鹿だよなぁ…」という話ではないのである。
こんな話、どこにだって転がっている。アルアルな人たちなのである。
学校で、職場で…あるいはPTAで、ご近所で、親戚づきあいの中で。
見ている者がこの「あるある」に気づいた時、薄ら寒いものを感じる。この中に、たぶん自分もいるから。
・自分が一番偉くてイケていて正しいと思っている井の中の蛙的ボス。
・みんなから見下されているのに自分が威張れる範囲でだけ強くなる最下層の小者。
・人前では本音を吐かない秘密主義。
・自分が一番エリートだと思い込んで世の中を小馬鹿にしているエセセレブ。
・田舎者なのに自分を大きく見せようと頑張っちゃう小者。
・悪者になりたくなくて基本人の事は悪く言わないが切る時はサラッと切る天然。
・計算高く秘密主義だが実はいいように利用されてる事に気づかない馬鹿。
・頼りなく見せておいて裏で何もかも上手く動かす根っから詐欺師。
・おちゃらけて悲しみを隠しているけれども実は人並みの幸せを最も求める道化。
「恋」や「セックス」を抜けばどこにでもいるこの人たちが織りなす会話劇。
最終的に落ちていく場所も見ていて笑ったり呆れたり…。
心理劇として、本当に面白かった。すごいなぁ。これ。
キラキラやギラギラの陰にある物は、所詮は孤独。
人間はみなDQNなのだというドラマ。
そして、やっぱり女は強いよね。。
頭空っぽにして、まずは見てみて下さい。
以下ネタバレ感想
ほんと、知らない役者さんばかりなんだけど(ごめんなさいっ )それがまたリアリティを呼ぶ…。本当にドキュメントを見ているようだったよ。
全部のカップルにムカムカしながら見て、「こうなっちゃえばいいのに!」と、思った通りのオチ。だから爽快。
想像がつく…というよりも、希望通りの展開がいっそ小気味いい。
特にコウジね。
自分にホレている相手を力で支配しようとする。結果、受けた罰は「外部からの圧力」。井の中の蛙のボスだからね、もっと大きな世界から見たら小者だったのだと思い知らされる結末。
それでも「あんなイケてないヤツと付き合ったらドン引きだよ。友達失くすよ。」の電話には引くわ、ホント。自分基準の「イケてる」が世間で通用しないと早く自覚してください。。
トモコは馬鹿な女だなぁ…こういう女嫌い…と思っていたから、やってくれた感に沸いた。。
あれ、これって……
私が女だから楽しい結末なのであって、男性目線だとどうなのよ。
まぁ…サトミの「チェンジしてもらえる?」オチは男性目線でもスッキリするのかな。 いゃ、でもナオキの事考えたらねぇ…自業自得だけど。
みんな、あの部屋から外に出た時が人生始まる時だよね。
大海に漕ぎ出でる…あの人たちのその後を見てみたい気がする。
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