スノーピアサー~ SNOWPIERCER ~
監督: ポン・ジュノ
出演: クリス・エヴァンス、ソン・ガンホ、ティルダ・スウィントン、オクタヴィア・スペンサー、ジェイミー・ベル、ユエン・ブレムナー、コ・アソン、ジョン・ハート、エド・ハリス
公開: 2014年2月7日
2014年2月10日。劇場観賞。
2月8日、関東は45年ぶりと言われる大雪に見舞われた。
その2日後。まだ雪が残る中見てきた今作。
外も雪。映画の中も雪。奇妙な一体感。
しかし、麻痺してしまった関東の路線とは違い、劇中の列車は走る走る…雪も氷も何のその。その列車には「素晴らしいエンジン」が付いているから。
2014年(今年じゃん)、人類は地球温暖化政策のために人工冷却物質を散布した。その結果、地球は氷河期に突入。地球を1年かけて一周する「スノーピアサー」という列車に乗る事が出来た人間だけが生き残った。
17年後の2031年。列車の中が富裕層と貧民層に分れる階級制度に支配される中、最後部に乗車する貧民層は先頭車両を目指して革命を起こす。
スノーピアサーは「ノアの方舟」ならぬ「ウィルフォードの箱車」。
目指すは創造主・ウィルフォードの首を取って列車内の階級制度をなくし、平等な社会を作る事。
で、主人公・カーティスがリーダーとなって支配者層の兵隊を倒していく…ほぼアクション物ともいえる。グロいシーンも時折あるし、グロい以上にオェェェーっとなるシーンもある。
設定からしてもう有り得ないので物語として単純に楽しめばいいと思う。SFあるいは過激なファンタジー。
先頭車両に近づくにつれて車内が明るく色もカラフルになっていく様子が面白い。途中には富裕層チルドレンの学校もあったりして。その風景がなんだか「チャリチョコ」のように奇妙な世界だったり…。
小生意気な子がね~「ハリポタ」のマルフォイそっくりだったのよ、フォイ。憎らしい所まで含めて親戚かってくらい…。
そういう所もブラックファンタジー。
この映画が公開されると知った…もう1年以上前から、ものすごく楽しみにしていたのである。
個人的には今までポン・ジュノ監督に外れなしだったので…そして、ソン・ガンホさんも出演されると知ったので。
けれども、ちょっと違うな…という感じだった。
いや、決して面白くないわけではないけれども、ポン・ジュノ味とは違うな、と。
監督らしいユーモアとシリアスの混在はあったけれども、何だろう、虚無感が足らない?
どちらかというとドロッとした後味の悪い名作が多い監督だと認識しているので、そういう感覚は味わえなかった。
ソン・ガンホさんも…カッコ良いんだけどカッコ良すぎるというか。この役、別にソン・ガンホさんじゃなくてもいいよね。
けれども、『グエムル』でも親子だったコ・アソンちゃんとの再びの親子役は嬉しかった。大きくなったね~。
良くも悪くもハリウッドエンターテイメントに走った感じがした。「ポン・ジュノ監督作品」…に拘らない方が面白く見れるかも。
氷の世界を走り続ける列車はこの世界の縮図。
何も考えずにワケの解らない食べものを与えられ苦境にブツブツ言いながら生きていても最下層から抜け出すことはできない。
風穴を開けないと…。
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
最下層の人間が与えられていたあの変な羊羹かゼリーみたいな物も、ファーストフードやインスタント食品を何の添加物が入っているのか知りもしないで食べている現代人への警告かな…。
あれって…Gですよね。うううぅぅ…あれが一番怖かったーーー!
「革命」までが人口を減らすための計画だったという創造主。
共食いも…。
世界を安泰に導くためには人口を調整することも必要。つまり…飢餓も伝染病も戦争も、この世の全てが誰かの計画通りなのだと、そう考えるとかなり恐い。
氷河期が終わりに近づいている事にミンスが気づかなければこのまま列車は走り続けたわけで。
こんな風に実際の世界も滅亡と再生を繰り返しているのかも知れない。
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