ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋~ W.E. ~
監督: マドンナ
出演: アビー・コーニッシュ、アンドレア・ライズ、ブロージェームズ・ダーシーオスカー・アイザックリチャード・コイルデヴィッド・ハーバージェームズ・フォックスジュディ・パフィットハルク・ビルギナージェフリー・パーマーナタリー・ドーマーローレンス・フォックス
公開: 2012年11月3日
2013年7月25日。DVD観賞。
『英国王のスピーチ』で描かれたイギリス国王ジョージ6世の兄・エドワード8世と、その妻になったウォリス・シンプソンの王室スキャンダル恋愛物語。
…だから、ウォリスとエドワードが主役なのかと思っていた。
主役は、1998年のニューヨークで、ウォリスに憧れ、思いを馳せる1人の女性、ウォーリー。
カチカチの歴史ものではなく、歴史題材のイメージ映画…という見方が正解かも。
国王は愛する女性のために英国を捨てた。 美貌も財産も地位もないウォリス・シンプソン夫人は、英国王政の危機を招いた。
エドワード8世の退位当時のそんなラジオ報道から始まる冒頭。
1936年12月11日。イギリス国王エドワード8世はイギリス王室や議会の怒りを買い国民を騒がせながら、在位わずか1年に満たずに退位した。
退位の理由は「王冠を賭けた恋」。
エドワードがアメリカ人女性で既婚者のウォリス・シンプソンと浮名を流し、王室一大スキャンダルを巻き起こし、ついに退位してしまい…その結果、「どもり」で悩む弟・ジョージ6世が苦手なスピーチを克服しなければならなくなる、という下りは『英国王のスピーチ』で描かれている。
各登場人物…特にジョージ6世の妻・エリザベスの性格があちらとは違うのが面白い。
2人が初めて出会ってから恋に落ちるまでの1930年代の映像が臨場感があって美しい。すすけた雰囲気が古いフィルムを見ているようでロマンティック。
パーティ、ダンス、アクセサリー、シャネル、カルティエ……イギリス上流階級のトップに立つ女が作り出す時代のきらびやかさ。
そして、ウォリスという女のしたたかさと決心と戸惑い…。
スカーレット・オハラのような、こんな女は嫌いじゃない。
自分の魅力を十分解っていて、それを最大限に欲しい男にアピールできる女だ。
アンドレア・ライズボローが、そんなウォリス・シンプソンを妖艶に可愛らしくまたは悪女のように魅力的に演じる。(メイクのせいもあってか実際のウォリスさんによく似ていらっしゃいますよね。すごいキャスティング。)
女は「着こなし」だというウォリス。
マドンナ目線だからこそのファッショナブルな映像…だけではなく…ウォリスのこの強さしたたかさ、奔放さ、そして孤独と哀愁。これもマドンナだからこそかな。
そんなウォリスを1998年のウォーリーの妄想と融合させて過去の時代に遡って描く、というスタイルそのものは面白かった。
けれども、その設定が何故かあまりシックリかみ合っていなかった気がする。
ウォーリーの恋愛部分が無駄に長い…。
だから、ウォーリー側のシーンになると退屈な部分も多く、何度も「ここで終わりだよね」と思う瞬間を迎えてしまった。とくに後半が丈長に感じられた。
もっとウォリスとエドワードを中心に見たかった。
とはいえ、ウォーリーが時々ウォリスの幻から受けるメッセージには共感する。
生きるのよ。
思いどおりに行かない人生でも。辛くても、敵だらけでも。
女には勝ち取らなければならない物がある。
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
「私は世界一の悪女にされるわ」
最初は、ただ皇太子の愛人という位置を勝ち取りたいだけの女に見えた。たぶん、上流階級の軽い火遊びだったのだろう。
しかし、エドワードは女に対して純粋で、王子の立場にあって言いたい事も言えず、傷つきやすい繊細な心と自由を求める大胆さを併せ持っていた。
いつしか、エドワードから離れられなくなるウォリス。
「彼は国民と同じく私が持っていない物を持っている。幸せな家庭と妻と子どもだ。」
退位の演説で弟の事をそう語ったエドワード。なのに、ウォリスは彼に子どもや家庭を与えてあげることが出来なかった。
世紀の愛を貫いた代償はイギリスに帰れない悔しさと憎まれる孤独。
それでも、
「痛ましくて輝かしくて馬鹿げた世界を愛しています」
そう言える強いウォリスに励まされて、ウォーリーは自分を生きる決心をする。
誰でも、例えどんな人生でも満足しきるということはない。
愛を奉げられ続ける人生は、女にとって一番贅沢な人生かも知れない。
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