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『クラウド アトラス』子宮から墓場まで人は他者と繋がる…

クラウド アトラス~ CLOUD ATLAS ~

 

監督: トム・ティクヴァ、ラナ・ウォシャウスキー、アンディ・ウォシャウスキー   
出演: トム・ハンクス、ハル・ベリー、ジム・ブロードベント、ヒューゴ・ウィーヴィング、ジム・スタージェス、ペ・ドゥナ、ベン・ウィショー、ジェームズ・ダーシー、ジョウ・シュン、キース・デヴィッド、デイビッド・ギヤスィ、スーザン・サランドン、ヒュー・グラント
公開: 2012年3月15日

2013年3月25日。劇場観賞。

もう1回見たい。いや、時間が許されるなら何度でも見たい。見直せば見直すほど新しい何かを感じられそう。

恐怖・信念・悪・善・愛…。
人生を決定づける様々な出来事は生まれる前から始まっていて、死んだ後も続く。

輪廻転生の物語。

上映時間が172分とヒジョウ~に長いんだけど、6つの時代の物語が断片的に流され、パズルのピースがハマるように繋がっていくのが面白い。
長い長い旅行に出ているような気持ちで見た。
退屈だとは全く思わなかった。むしろ、もっとたくさんの時代を見てみたい。

手塚治虫の「火の鳥」に感動し、萩尾望都の「銀の三角」に涙した世代にとっては、何だかどう言っていいか解らないほどの感慨深さがあった…もちろん内容は違うけど…あの空気があった。

ここまで実写化できる時代になったんだ。ここまで描ける人がいるんだ。という感動。

各時代に繋がっているピースはほんの小さなものなのである。
それは例えば航海日誌だったり、音楽だったり、言葉だったり…。
各々のストーリーも特に何か1つの事を追っているわけではなく、それぞれの時代をそれぞれ別の人間が生きている。
けれども、そこに残された人々の思いだけは共通している。
それは、まぁ…ざっくり言っちゃうと悪者と勇気を持って戦おう、みたいな事なんだけど。
単純な事ではあるけれども、難しい事だよね。
  

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この思いと愛が時代意を超えて伝わって伝わって…一大叙事詩を作り上げていく気持ちよさ。

人はなぜ同じ過ちを犯すのか。
と劇中でも言われる通り、どの時代にも悪はあり、そして善もある。愛がある。
 

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夢のような時間を過ごして何とも言えない感動をもって劇場を出た。

SFが好きな人もラブストーリーが好きな人も(ホモホモしいのが好きな人も…)アドベンチャーが好きな人も役者さんを見たい人も楽しめる…かも知れないし、逆にどれも中途半端に楽しめない人もいるのかも。

まぁでも…役者さんたちは楽しかったんじゃないかなぁ、って気がする。
EDをぜひ見ていただきたい。
私はお1人お1人があんなに何役もやっているとは思わなかった~。
そういう意味でも面白い作品だと思う。

探したい方のために、ここには書きませんが…トム・ハンクスとハル・ベリーは隈なく全話に出ています。

そして、ハル・ベリーはどこにいても美しい。
  

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 ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 

    


 

命は自分のものではない。

子宮から墓場まで人は他者とつながる。過去も現在もすべての罪が、あらゆる善意が、未来を作る。

革命の象徴とされ、未来には女神とされているソンミの言葉。

これが、この映画の全てを表している。

喜ばしい事だと少しも思わぬまま奴隷売買の契約をしていたユーイングは黒人奴隷に命を救われ、奴隷解放運動のために生きることを決める。

その航海日誌を読んだ音楽家は、人と人が何度も時代を超えて巡り合うことを描いた曲「クラウド アトラス」を奪おうとした作曲家を撃ち、恋人・シックススミスに別れの手紙を書いて自殺する。
 

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うん…一番好きなストーリーかも。(別に~ホモホモしかったからってわけじゃ…… )

シックススミスは、運命的に出会ったジャーナリスト・レイに原発の報告書を託して殺し屋の手に罹りこの世を去る。彼女がレコード店で手にしていたのが「クラウド アトラス」。

本の出版をしているティモシー・キャヴェンデッシュは担当していた作家が殺人事件を起こしたせいで話題で本が売れるようになり、莫大な富を手に入れる。…が、稼いだ金のほとんどは借金の返済に消え、投獄された作家・ダーモットの手下に強請られ兄に借金を頼むと悪徳老人ホームに送り込まれてしまうという…うん。これだけ異色のコメディタッチ。 ちょっと笑った。でも、キャヴェンデッシュも自業自得な部分はあったりして…。

このキャヴェンデッシュも自ら出演した映画を未来の世界で見るのが未来社会ネオソウルの複製種、ソンミ451。意思を持たない人形のような生活をしていたソンミは革命家によって救い出され、革命の象徴として演説を述べることになる…。

これも好きな話。「空気人形」(未レビュー)で大好きになったペ・ドゥナが、ここでも空気人形のように次第に意志を持って行く。ロマンティックで…そして悲しいストーリー。

そして、そのソンミが女神として信仰されているのが、この映画の始まりの世界であり一番未来なのだから…驚く。人々の生活はまるっきり文明を失っている。
戦争や人間自身が引き起こした災害や…そんなもので人類は滅びて行き、こうなってしまったらしい…。

それども、ここにも愛がある。そして、恐れもある…。

どこかの星で青く輝く地球を見るラストシーン。
最後まで雄大な物語だった。

「クラウド アトラス」公式サイト

 

 

 

 

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・象のロケット

★前田有一の超映画批評★

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