東京家族
監督: 山田洋次
出演: 橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優、小林稔侍、風吹ジュン、茅島成美、柴田龍一郎、丸山歩夢、荒川ちか
公開: 2013年1月19日
2013年1月23日。劇場観賞。
2013年1本目の劇場観賞。
1週目のレディースディで、ほぼ満席。
…というと、1週目だから当たり前だろと思うかも知れないけど、ウチが一番行く所ってすごく過疎ってるので、こんなに入ってるのは珍しい。
しかも、レディースよりも老夫婦という感じの方が多かった。山田洋次監督だからなのか小津安二郎監督作品のリメイクだからなのか、テーマに興味惹かれるのか…。
小津安二郎監督の「東京物語」のリメイク作品…いや、オマージュした作品ということ。そちらの方は、たぶんだいぶ前にCSで見ています。
元作品の方が、もっと冷たい子どもたちだった気がする。
もっとも、この作品の子どもたちもヒドイと思うけど。
ヒドイと思うけれども、仕方ない。親が田舎にいて子どもたちが東京に出ていれば、こうなるのは仕方ない…と、自分に言い聞かせながら見た。
私にとっては、もの凄く身につまされる映画だった。ほぼ、我が家と同じ状況なので…。
旦那の両親は島に2人きりで住んでいて高齢だし、呼んでもこっちには絶対に来ないし、だからと言ってこっちが向こうに住む決心もつかない。
もし一緒に住んだって、親身になって大事にお世話なんて出来る自信もない。
まぁ、私は自分勝手な鬼嫁である。
私自身の両親は2時間ほどの距離に住んでいるけれど、私が無精者であまり連絡をしないので、冷たいだの子供だと思えないだのと、しょっ中言われる。
家族って、親って面倒くさい…と、よく思う。
親が年を取れば取るほど深刻になっていく家族の問題。
これは、時代が変わっても普遍的な問題なんだろうなぁ。
私たちが年を取った時には、きっと子供たちが私の処遇に困るんだろう。
そして、こればかりは国がどうにかしろなどという事ではなく、家族の問題なのだ。
そんな事をずっと考えながら見ていた。
可笑しいと思うシーンもいくつかはあったけれども、だいたいの部分に置いて、私の感想は「身につまされる…」だった。
隣りの席のご夫婦はよく笑っていた。私が全く笑いどころだと思えないシーンでもよく笑ってた。ある程度の年に行くと、私が眉をしかめて見ているようなシーンが可笑しく思えるのかも知れない。
たぶん、この映画は、年齢や親や子との関わりなど、現在の自分の家庭状況によって感想が全く違う映画なのだろう。
今、この映画を観て「全く理解できない」「こんなの平成の家族じゃない」と思う方は、10年後くらいにもう一度見てみるといいと思う。
そうしたら、映画の中に全く違う家族が見えてくる…かも知れない。
ほぼ自分語りになってしまって、あまりちゃんとした感想にならないなぁ。
テレビの予告で宣伝している「家族って面倒だけどあたたかい」という文句はあまりハマっていない気がした。どちらかというと「家族って面倒で冷たい」…と思ってしまった。
長女夫婦が、まぁ、アリがちで…。「こうしときゃ喜ぶでしょ」って感じ。
予告で何度も見た妻夫木くんの泣きのシーン。やっぱりこの人の泣き演技には貰い泣きしてしまう…。
昌次の彼女、紀子の蒼井優ちゃん。自然な演技が素敵です。
紀子を見ながら、せいぜい親孝行してあげてくれ…と思った。私の分も。
こうしてあげてれば、きっと私も良かったんだろうな…とか、そんな思いで見ていた。
私にとっては、とても、清々しい気持ちで劇場を後にできる作品ではなかった。
新年早々、自分自身の問題を突きつけられた気分。
以下ネタバレ感想
都会の家は田舎に比べて狭い。
老夫婦が上京してきて、ゆったりくつろげるスペースなんかない。
だから、ホテルにでも行ってもらってゆっくりしてもらおう、とは、アリがちな感覚。
親の方はね…たぶん、子どもたちと一緒に居られるだけでいいんだろうけど。相手している時間もないというのもよく解る。
でも、ホテルの描写はちょっとな…。
あんな豪華そうなホテルで外の声が聞こえるとかあるかな。
結局、一番ダメだと思っていて、一番心配していた末っ子が一番親が喜ぶ贈り物をする。
「安心」と「優しさ」という贈り物。
昌次が紀子のようなちゃんとした人と付き合っていて、将来を考えているという事が母親を安心させる。
そして、そのまま逝ったのだから、親孝行したと言えるのかな。
子どもに多くを求めず、ただ一緒に居たくて、ただ心配して生きてきた両親の姿が温かくも痛々しい。
結局、東京は冷たいって話に見えてしまった。
末っ子だけがという点では、ちょっと「リア王」を思い出した。
親孝行って難しい。
そして、離れている親の世話を考えるって難しい。
アカの他人に世話してもらう道を選択した父。
それで、本当にいいのかなぁ…。
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