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『悪の教典』オーディンの申し子サイコパス先生

悪の教典

作品情報

監督・キャスト

監督: 三池崇史
出演: 伊藤英明、二階堂ふみ、染谷将太、林遣都、浅香航大、水野絵梨奈、山田孝之、平岳大、吹越満、KENTA、西井幸人、小島藤子、菅野莉央、山崎紘菜、竹内寿、岩松了、篠井英介

日本公開日

公開: 2012年11月10日

レビュー

☆☆☆☆

2012年11月14日。劇場観賞。

原作は、第1回山田風太郎賞受賞、直木三十五賞・吉川英治文学新人賞の候補にもなった貴志祐介氏のヒット小説。未読です。

貴志祐介作品でサイコと言われると「黒い家」を思い出す。

しかし、「黒い家」のような来るぞ来るぞ…感はあまり味わえなかった。

集団だから…というのもあるのかも。後半部分を見ている時の感覚は「バトル・ロワイアル」のようだ。逃げる逃げる撃つ撃つやられる大量の血しぶき…見ている内にだんだんと赤い色に麻痺してくる。

(というのはネタバレになりませんよねいや、予告で散々見せているからいいかな、と思って書いてしまった。)

伊藤=ハスミンのサイコパスっぷり

サイコパスというのは、Wikipediaによると「性格が逸脱し、そのために社会を困らせたり自らが悩むもの。性格異常」の事らしい。

サイコパスは社会の捕食者(プレデター)であり、極端な冷酷さ、未慈悲、エゴイズム、感情の欠如、結果至上主義が主な特徴で、良心や他人に対する思いやりに全く欠けており、罪悪感も後悔の念もなく、社会の規範を犯し、人の期待を裏切り、自分勝手に欲しいものを取り、好きなように振る舞う。その多くは刑務所内にいるが、社会に出ている者もまた多い(死刑または終身刑でない限り、いつかは社会に出てしまう)。その大部分は殺人を犯す凶悪犯ではなく、身近にひそむ異常人格者である。北米には少なくとも200万人、ニューヨークだけでも10万人のサイコパスがいると、犯罪心理学者ロバート・D・ヘア(en:Robert D. Hareは統計的に見積っている。

という事だ。

蓮実聖司ことハスミンのにこやかで頼もしい教師っぷりからのサイコパス先生への豹変が素晴らしい。

普段は極めて人格者で爽やかな教師であるゆえに、こういう人が本当に自分の周りにもいるような気がしてしまう。

明るくてイケメンで生徒に人気のあるハスミン。その爽やかな笑顔は「海猿」の頼もしい仙崎そのもの。

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これがクライマックスでは笑顔が違う。目が笑ってません。伊藤英明すごい。

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原作を知らないがゆえに、心に抱えたトラウマがこういう行動を起こさせるのか、とか、主人公に共感や痛みを感じる事が出来る話なのだと思っていた。

しかし、そういう話ではなかった。
つまり…単におかしい。感情なんてないのである。

だから、感情移入できるのは教師よりも逃げ惑っている生徒の方だったりする…。
と言っても、感情移入してるもないほどの惨劇に次ぐ惨劇なんだけど。

キャスト

映画やドラマをいっぱい見る人にはお馴染みの顔も多い生徒さん役の方々。

『悪の経典』悪魔の相関図

最重要女生徒・片桐怜花@二階堂ふみちゃん。今さらだけど素晴らしい演技。

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二階堂ふみちゃんとは「ヒミズ」コンビ。早水圭介@染谷将太くん。。うっうっ…

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「告白」デビューでは演技は…だったけど、見るたび上手くなる高木 翔@西井幸人くん。。
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こんな役、いいんだろうかって感じの前島雅彦@林遣都くんとか、昼ドラで見てた時からぜひホラーに出てほしいと思っていた安原美彌@水野絵梨奈とか、本当にこんな役…山田孝之とか…

キャストは意外性のある役の方もピッタリな役の方もみなさん魅力炸裂。

この人たちがどんな活躍していくのか…ぜひ劇場で観ていただきたい迫力。
(当たり前ですがR15指定です。)

そして、サイコパスによるロボットのような惨劇だったのですね…と思いきや、ラストに物語は様相を変える。

その辺の受け止め方は見る人次第。

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね

 


以下ネタバレ感想 フギンとムニン

 

サイコパスだから、おかしいから、子どもの頃から脳に異常があるから、だから平気で人を殺す。罪悪感がない。親さえも殺す。

戦争と死の神オーディンの従者・カラスのフギンとムニンの話はサイコパスだからこその妄想かと思っていた。

オーディンのために情報を届ける役割を担うフギンは「思考」、ムニンは「記憶」を意味する。

「思考」を殺したハスミンは、サイコパスであるという「記憶」だけで殺戮劇を繰り広げる。

撃ってはまた弾を込めて撃ってはまた弾を込める…。
弾き飛ばされていく何の罪もない生徒たち。
しかも、楽しい学園祭の準備中なのに。

初々しい恋が芽生えていた生徒たちなんか、もう可哀想で…。西井くんなんて、あんなに頑張ったのに。。前島雅彦だって、禁断の恋なりに切ない思いがあったのに。

何の理由もなくここにいるだけで殺されるなんて、まるで「呪怨」じゃないか……。

と、思いながら見ていたんだけど、あながち間違いでもなかったかも知れない。

生き残って警察に連行されるハスミンを見送る怜花と雄一郎に、「見張り番」フギンとムニンが確かに乗り移っているのだから。

その時、初めて解った。

ああ…ホラーだったんだ……。

だとしたら、ハスミンは本当にオーディンの申し子で、「オーメン」のダミアンのようなものだったのかも知れない。

そして、それはまた美彌の中で生き返るのかな。

で、To be continued……

※せっかくここまで作りこんだのだからED曲もぜひそれなりの物にしていただきたかったなぁ…と。それが不満だったところ。歌じゃなくてもいいじゃないかと思った。合わなかったし。

この記事は「2012年度邦画ブログトーナメント」で優勝しました。


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