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『J・エドガー』栄光の人物の光と影

J・エドガー
~ J.EDGAR ~

監督: クリント・イーストウッド   

出演: レオナルド・ディカプリオ、アーミー・ハマー、ナオミ・ワッツ、ジョシュ・ルーカス、ジェフリー・ドノヴァン、リー・トンプソン、エド・ウェストウィック、ダーモット・マーロニー、ジュディ・デンチ
公開: 2012年1月

 

イーストウッドの作品には間違いがない…と、思って今まで見てきた。

昨年の「ヒア アフター」も、あまり余所の映画評は良くなかったように見えたけれども、私は大好きだった。

 

イーストウッド先生の映画は、もう期待でいっぱいになって観に行くせいもあるけれども、いつもタイトルバックだけで、すでに泣けてくる…。

バカかという話ですが、それほど好きなのです。

 

けれども…これは違った…
はっきり言って、前1/3は、寝そうだった。こんなの初めて。

 

とにかく…
セリフセリフセリフセリフで…

いや、その内容も特別興味惹かれる内容ではなく…実際には、自分の記録をジャーナリストに書かせているわけなんだけど…。

彼がこんなに必要以上にベラベラ喋り続ける理由は、後々になって解る。

ジョン・エドガー・フーヴァー(J・エドガー)は、かのFBI(アメリカ連邦捜査局)の初代長官である。
1972年に77歳で亡くなるまで50年以上長官職を務めた。当時は定年というものがなかったらしい。
発足当時、権力のなかったFBIという組織を大きな影響力のある組織として確立し、現代では当たり前の犯罪者の指紋ファイルなど科学捜査も作り出した。
アメリカの犯罪捜査方法を確立した功績は大きい。

 

J.Edger

 

しかし、この映画に彼の伝記的な物はあまり期待しない方が良い。そこは、イーストウッド監督。功績よりも、人間の光と影に焦点を当てて描いている。

大きな偉業を成し遂げた1人の男の、他人には決して見せない孤独な人生…。

 

年を取ってからのエドガーは、頑固で寂しくて、そして可愛いお爺ちゃんだった。

そして、最期まで仕事人間であり続けた。その行いが、正しいか正しくないか。それは現代人の目からは、ちょっと解りづらい。

特殊メイクは、なるほど老人の姿を作り出しているものの、これがディカプリオだと思って見ている目には少し滑稽に映る。

老人としての演技は、クライド・トルソン役のアーミー・ハマーの方を絶賛したい。

(何処かで見たと思ってずっと考えていたんだけど、「ソーシャル・ネットワーク」の双子だったんですね。)

 

ラストには、静かな余韻がある。
そこは、やはり、イーストウッドならでは…。

 

予告で見ていた時は、「J・エドガー、老人役はフィリップ・シーモア・ホフマンさんがやるのねー」と思い込んでた。似てませんか
J.Edger2
 

レオ、もう少し太って年取ったらこうなるんだな…(失礼だけど……2012年のフィリップ・シーモア・ホフマンさんは44才である。2014年2月2日鬼籍)

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね

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本当にもう…リンドバーグ誘拐事件までは、眠くて眠くて何度か落ちそうになった…

そこから段々と、FBIにフーヴァーが取り入れた科学捜査の根となる手法などが映し出される。
誘拐事件までは、物語の進みはゆっくり過ぎたと思う。

 

このフーヴァーさん自体に私があまり興味なかったのもあるかもしれない。

けれども、では「インビクタス」ネルソン・マンデラに興味があったかというと別にそういう事はなく、それでもあれだけ最初から最後まで感動し続けたのだから…

やはり、これは見せ方が弱いのだとしか思えない。

 

最期の時まで自分が帝王であり続けたい願望…

過去の功績を全て自分の手柄のようにジャーナリストに語る醜さ。
それを指摘された時の怒り。

 

大好きなお母さんに幼いころから言われていた

「国で1番の権力者になりなさい」

彼は、ずっとそこを目指して頑張り続けてきただけ…そんな気がする。

 

そんなフーヴァの近くに最期の時までいて支え続けたクライド。

相手が女でも男でも、愛し愛された人がいる人生は幸せだ。

 

ラストは、クライドのこの先の孤独を思って泣いた。

自分勝手で傲慢で、でも物すごく大きな存在感を持って自分の側にいてくれた人の死は、喪失感も例えようもなく大きいに違いない。

老いて体調の悪いクライドを置いて先に行ってしまうエドガー。
自分勝手だな…と思いつつ、なぜか愛おしい老人の姿。

 


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