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『ロボジー』鈴木さん、助けてください

ロボジー

監督: 矢口史靖
出演: 五十嵐信次郎、吉高由里子、濱田岳、川合正悟、川島潤哉、田畑智子、和久井映見、小野武彦、田辺誠一、西田尚美、田中要次、森下能幸、古川雄輝、今井隆文、安田聖愛、星野亜門、竹井亮介、藤本静、大久保綾乃、遊木康剛、徳井優、菅原大吉、竹中直人
公開: 2012年1月

 

気負いなく見に行って、サラッと笑って楽しめる。くすくす笑ってスッキリする。

そういう映画である。

 

ロボット工学うんぬんに拘って見たら言いたい事もたくさん出てくるのかも知れないが、この映画はそういう映画ではありません。

主役は「ニュー潮風」ではなく、中の人(これは散々宣伝しているから書いてもネタバレにはならないよね)である。

年寄りの哀愁、年寄りの身勝手さ、そして年寄りのカッコ良さ…

これは、お年寄りに対する応援歌なんだな、と私は思った。

だからこそ、ちょっとシミジミしてしまうシーンもある。

ダメな主人公が何かに向かって頑張る姿…そういう青春物語を描く矢口史靖監督作品。

「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」も大好き。

だから楽しみに見に行った。
そして、楽しかった。

この作品のおじいちゃんもね、つまらない生活からヒーローになる。

「誰かにとってのヒーロー」それが、人間の生き甲斐ってもんだよね。

 

矢口監督の作品では、いつもキャストの皆さんも生き生きと楽しそうに見える。そこが見ている者にとっても楽しい。

 

吉高由里子ちゃんは、もう、これが地だよね!?と聞きたくなるほどの伸び伸びした演技。たぶん、今まで見たどの吉高ちゃんよりも魅力的。

 

濱田岳くんの「何かに困ってる人演技」は、もう絶品だし、チャンカワイがこんなにハマるとも思わなかった。

そして、もちろん、主役の五十嵐信次郎ミッキー・カーチスさん演じる、おじいちゃんがステキなのだ。

 

ステキと言っても、別にカッコいいわけではなく、何とも「人間」なの。

いじけてたり、頑固だったり寂しかったり、得意になってみたり、ずるかったり…。

この、おじいちゃんの「青春」を思い切り楽しんで見る。

 

そして、見終わったら自分のお祖父ちゃんや親をちょっと振り返ってみたくなる…

 

そんな映画である。
まずは、頭をからっぽにして見よう。

 

※矢口作品には、もう常連の竹中直人さんは、今回はホントのちょい役。だけど面白い。

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね

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記者会見の時、階段で「私がニュー潮風の中に入ってるんですよ」と練習しまくっていたので、てっきり発表しちゃうのかと思っちゃった。

 

あの展開は面白い。そして、カッコいい。

あの時、鈴木さんは本物のヒーローになった。

 

老人会の劇やらストレッチ体操教室やら……うっわーと思った……、いずれはそういう時がやってくるんだろうか。誰でも避ける事は出来ない「老い」。

人生にもうひと花咲かせたい。孫たちに自慢できるおじいちゃんになりたい。

スズキさんの気持ちが何だか解る…解るけれども、贅沢三昧する姿を見ていると、チャンカワイじゃないけど「このクソジジイ~」と思ってしまうんだよね。

 

ラストのオチは予想の範囲だけど、にんまり笑う鈴木さんを見て、こっちも嬉しくなってしまった。

せっかくできた縁、ニュー潮風が転落して終わりじゃ寂しすぎる。

佐々木葉子も加えての、木村電機4人のショボンとした顔。

 

「鈴木さん、助けてください」

 

さて、この後、また旅が始まるのかな。

 

 

 


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★前田有一の超映画批評★

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奈可久う子(くう)

◆ドラマ・映画 エンタメ系ライター&ブロガー。◆ハウツーサイトやリクルート・キュレーションサイトなどで映画紹介のライターしておりました。(お仕事はいつでも有り難くお受けします)

◆映画の評点はあくまでも私感です。(平均が2.5で1と5は滅多に付けていません)

◆戦争とホロコーストテーマの作品観賞がライフワーク。

◆レビューは上半部はネタバレなし感想、下部は観了した方と感想を共有できるように書いています。(古い記事は簡単感想です。時間のある時にリライトしています)

◆姉妹ブログ「ドラマ@見とり八段」

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