聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-
監督: 成島出
出演: 役所広司、玉木宏、柳葉敏郎、阿部寛、吉田栄作、椎名桔平、香川照之、伊武雅刀、柄本明、益岡徹、原田美枝子、五十嵐隼士、坂東三津五郎、瀬戸朝香、田中麗奈
公開: 2011年12月
ここ何年も戦争を描いた邦画はお涙頂戴ものばかりで、「もう日本人は戦争映画作るな!」と思っていたところにこの作品。 本当に素晴らしかった・・・。
…と言っても、戦闘シーンの迫力を見たい方にとっては、ちょっと勝手が違うかもしれない。
この作品は、「戦争」を描くよりも、「上に立つべき者」を描いた作品だからだ。
「海軍内も一枚岩ではない」
と劇中でも記者がいうわけだが、山本が願っている方向とは違う方へ違う方へと事は転がっていく。
見通しの甘さ、無謀な計画、個人の思惑、そんな物でドロドロしている中で、太平洋戦争は「講和」が利かない段階にどんどんコマを進めていく。
日本はまともに戦ったら絶対に勝てない。とにかく、安全な範囲で叩いて、一刻も早い講和を。
その思いは、ついに叶えられることが無かった。
既存の戦争映画やドラマとは全く違う描き方。
ここには、軍部に無理やり洗脳されて戦争の犠牲になる悲劇的な国民や、強制的に洗脳記事を書かされる記者は出てこない。
「日本は戦争すれば必ず勝つ」「戦争が起これば景気が良くなる」
そんな風に考え、海軍に開戦を願う愚かな国民の姿が描かれている。
結果を知っている私たちだから愚かに感じるが、実際こんな物だったのかも知れない。
現に日本は日露戦争にさえ勝った。余裕で勝ったと国民は思っているのだから。
戦争が起きれば、その後どうなるか明確に将来を見据えて忠告する山本。
戦争したい国民。戦争を避けたい軍人。
この描かれ方には驚く人が多いはず。
「目と耳と心を大きく開いて未来を見なさい」
と、山本は新聞記者の真藤にいう。
若い世代を育てる事を常に念頭において行動している。
この山本五十六を見たら、誰しも「こんな人が上司だったら」「こんな人が政治家だったら」と思う事だろう。
この作品は、そんな風に現代のサラリーマン社会にも通じている。
これから人の上に立つ貴方は、ぜひ、この作品を見てお手本にしてください。
全く戦闘シーンがないわけではもちろんなく、迫力のある映像も見れます。
戦闘シーンがお好きな方にもお薦め。
役所広司の山本五十六はもちろん、軍人姿がピッタリはまる役者さんたちも皆さん素晴らしい。
これを見に行く前日までNHK「坂の上の雲」(レビュー→)で陸軍軍人をやっていた阿部寛の海軍姿には、ちょっと浮き浮きしてしまった…。 「ウルトラマンメビウス」の五十嵐隼士の零戦パイロット姿も清々しく・・・
見どころは多いです。ぜひ。
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
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「戦で勝ったって人は死ぬのよ」
と、小料理屋の女将はいう。
戦争が起きたら景気が良くなる。という客は「それは仕方ないね」という。
本土を空襲されて、初めて戦争とはどういう物なのか理解する記者。
戦前、戦争に向けての国民意識はそんな物だった。
かつての戦争から40年…。
人間は忘れる生き物だ。良いことしか覚えていない。
軍の上層部も国民と同じ。
「戦争はやってみなければ解らないからね」
やってみた結果、失うのは「命」という掛替えのないものだというのに。
山本は一手先を読み、忠告し続ける。
しかし、目と耳と心が塞がった人たちは、取り返しのつかない間違いを起こし続ける。
これが、太平洋戦争の悲劇。
人の上に立つ者は、いつも未来を考えていなくてはならない。
失敗した部下を責めてはならない。
冷静でいなければならない。
太平洋戦争の実態以外に、人間として学ぶことが多かった。
こんな人が、本当に今の日本のトップにもいればいいのにね…
※なお、この記事で書かれている事は、あくまでも作品の中の山本五十六に関する感想です。史実の山本さんに関して書かれたものではありませんので、そこは論点になさらないようお願いいたします
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