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『生き残るための3つの取引』人間はみんな弱い

生き残るための3つの取引
~ 不当取引 부당거래 ~

監督: リュ・スンワン   

出演: ファン・ジョンミン、リュ・スンボム、ユ・ヘジン、チョン・ホジン、チョン・マンシク、マ・ドンソク
公開: 2011年4月

        

DVD鑑賞。

例によって存在も知らなくて、GEOで何気なく借りてきた1本。
「えっ、ポン・ジュノ監督、こんなの撮ってたのか?なら借りよう。」という勢いで…

…と言ったら「それ、ポン・ジュノ作品じゃないよ」と言われるでしょうが、聞いてください。

借りて帰ってきて、見始めてすぐに「ポン・ジュノ監督の映画じゃない!」と気付いたわけですが…
何でそんな勘違いしてたのか、返しに行ってカバーを見て知った。

ポン・ジュノ監督(←ここかなり大きな字で) も絶賛!」
みたいな事がカバーに書かれていた…(怒)こんな売り方ってあるか…。。

しかし、失敗は無かった…と、思ってます。面白かった。

元々は、韓国中を騒がす大きな女児連続殺人事件が発端であり、それを警察が追っているわけですが、テンパった刑事が容疑者を撃ち殺してしまうわけですね。この事件、大統領もパフォーマンスで現場を視察するくらい騒がれているわけです。

つまり、大統領に結果を報告しなければならない。で、警察は犯人をデッチ上げようとします。そこで1人の刑事に白羽の矢が立った。それが主人公なのです。

この事件を追って行って次第に犯人が割れてくる、という類のミステリーではない。
刑事と検事と、刑事に関わる人たちと…の間で取引されるゲームのような展開が軸になっています。

じゃあ、事件そのものはどうなるの、という話になるけど、そこは見てのお楽しみという事で・・・
その辺の落とし方が実に上手いのです。だから面白い。

登場人物の演技や、演出面が大きすぎたり、ツッコミ所もあるけれども、最終的に残るのはスッキリしない、重たい余韻…。そこは、シッカリ韓国映画でした。

韓国映画特有の「落とし」「もやもや」「冷たさ」「余韻」・・・そういう物が好きな方なら満足できるはず。お薦めします。

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 

    


中盤までは、チェ刑事は、何だかんだいっても正義の人に違いないと勘違いして見ていた。チャン・ソックを利用しつつ、チュ・ヤン検事の裏をかきつつ、最後には徹底的な証拠を上げて検事の不正を暴くとか…そういう役回りに違いないと…

だから、あれっと思ったのは、ゴルフ場でチャン・ソックの部下による殺人が行われたところ。

そして、あれあれ…となったのが、携帯の通信記録をチュ検事に抑えられて公衆電話ボックスで大暴れしてるところ…

そして、えええーーーとなったのが、裸の土下座…

えーーーおいおい・・・。今まで悪党のフリして色々と画策してるのかと希望を持ってたのに…

正真正銘の悪党かよっっ!!

つまり、この作品の中に「善人」なんて誰もいなかった。
みんな、ひどい・・・誰にも共感も同情も出来ない。

犯人に仕立てられたあの人が可哀想。奥さんと子供はどうなるの
第一、事件の真犯人はどうなるの殺された少女たちも浮かばれない…

・・・と、もんもんとしながら見ていたら…

えええーーー なるほどねぇ・・・

デッチ上げたはずの犯人は真犯人だった。
このオチ。上手いわ・・・

これで、もんもんが一挙に片付くと・・・

このために翻弄されていた全ての登場人物が哀れになってくる。

人間なんて、所詮、欲の塊。
警察大学を出ていないチェ刑事には、これしか出世の道はなかった。隙間があれば入り込みたいのもまた、人間ならば当たり前。みんな馬鹿だけど…。バカだから人間は可愛い。

彼のために殺された部下が本当に気の毒な人だった。けれども、彼に罪をかぶせるほど追いつめられたチェ刑事も哀れだ。

結局、チュ検事だけが何の罰も受けずのうのうと生き延びるんだな…
と、思ったけれども、最後に義父からあれこれと次を指図されている姿を見たら…

ああ、この人も所詮、操られた人生なんだなぁ、と哀れになった。

正義を貫いて、自分の人生を堂々と生きられる人なんて、なかなかいない。そんなもの。

・「生き残るための3つの取引」 公式サイト

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