127時間 ~ 127HOURS ~
監督: ダニー・ボイル
出演: ジェームズ・フランコ、アンバー・タンブリン、ケイト・マーラ、クレマンス・ポエジー、ケイト・バートン、リジー・キャプラン
公開: 2011年6月18日
第83回アカデミー賞6部門ノミネート作品。
勢いの良い音楽に乗って、走る。飛ぶ。流れるような疾走感。
この映画の出だしに、この後起きる事を予感させるような暗い部分は何もない。
アーロンは明るい青年だ。父親から教え込まれて身についた方向感覚もある。
国立公園で迷っていた女の子2人をガイドした。高い岩の隙間から遥か下へとダイブする遊び。楽しかった。岩は友達で、国立公園は自分の庭・・・のはずだった。
この後、アーロンの身に、序盤のワクワクする空気とは一変する悲劇が襲いかかる。
ここからは、もうずっと、アーロンの1人DJとつぶやきと回想…
停滞する127時間。
その127時間が、全く長くは感じられない。
アーロンの心理描写と岩の隙間から見える自然の美しさ。
そう。こんな状況でも、自然はやはり美しい。恐ろしいほどに。
流れる雲や、青い空や、移動していく太陽の光。
そして、衝撃の決断。
長い長い時をざわざわする気持ちで見守る90分。
ダニー・ボイルは、凄い!!
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
アーロンは考える。
今までの人生が今の自分を招いた。
親や兄弟と連絡を取らなかった。
出がけにかかってきた電話にも出なかった。
わずらわしいから居場所は誰にも教えない。
それでも、大抵の人は困らない。アーロンも1人でやっていけると思っていた。
あの決断には、目を覆うしかなかった。
困難の中を生き延びるって、なんて過酷なことなんだろう。
生き延びたかったら、やはり人間に必要なのは生命力。
生きようとする力なんだなぁ・・・
「今までの人生がこの事態を招いた」
と、アーロンはいうけれども、今、生きているのも今までの人生があるからなんだよね。
父が幼いころから生きていくために大きな知識を教えてくれていたから。
母が見守っていてくれたから・・・
家でゲームばかりしていて、ちょっとケガすると親が学校に乗り込んでいくような、今時の温室育ちでは127時間生き延びる事は出来なかったに違いない。私も我が家の息子たちもしかり・・・
生き延びるために必要な事は、「知識」「気力」「体験」そして「希望」と、「また会いたい人」。
やはり、人は人と繋がっているからこそ生きる希望が湧いてくる。
自然の驚異と共に、そういう事を教えてもらえる作品だと思う。
・旅に持っていく音楽は、明るい曲を選ぶべし。
・行先は、ちゃんと誰かに伝えてから出かけようね。
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