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『マネーボール』金と統計と、そして愛と

マネーボール
~ MONEYBALL ~

監督: ベネット・ミラー   

出演: ブラッド・ピット、フィリップ・シーモア・ホフマン、ロビン・ライト、ジョナ・ヒル、ディミトリ・マーティン、クリス・ブラッドリー、スティーブン・ビショップ、ケリス・ドーシー
公開: 2011年11月

        

この映画に「野球」を求めている人は見ない方がいい。
スポコン作品ではなく、タイトル通り「マネー」と統計学のお話です。

と言っても、堅苦しく数字がズラズラ並ぶわけではなく、そこは、数学で0点取っちゃった事もある私でも面白く見れるように出来ている。
「野球」よりも、野球をコマにして「いかに勝つか」を考えた男たちの話。

統計数字がパソコンに並ぶ映像では、なぜか「ソーシャル・ネットワーク」を思い出した。

何か新しい物を作る人の上っていく上っていく感じがよく似ている。

アメリカの実在の球団「オークランド・アスレチックス」のGM、ビリー・ビーンが、経営難の弱小球団を立て直していく話。実話ベースである。

ただ数字だけを見てチームを組み立てていくストーリーではなく、主人公の内面的変化も丁寧に描かれている。
そっちの方が見どころと言えるのかも。

チームの人間主体のストーリーではないので、野球の試合シーンは、ほとんど出てこない。
それでも、戦略が試合結果に結びついていくシーンでは感動した。

おそらくチームのメンバーたった1人にでももっとスポットを当てて、ある程度はメンバーの心理描写を描いていけば全く違う映画になっただろうと考えると、そこは賛否両論の元なんでしょうね。
何せ、この作品では人はとことんコマなので・・・

主人公の気性はせっかちで荒いのだが、映画全体のスピード感はそれほどない。

上にも書いたけれども、そういう点でも「ソーシャル・ネットワーク」と比較してしまうのだ。

もっともっと疾走感と高揚感が欲しかったな・・・個人的には。

主人公とチームの変化が堅実に描かれている、と考えれば、面白くて良い作品。

プロ野球には全くと言っていいほど興味がないので、スポーツという物をこういう側面から見られた事は新鮮だった。

帰りの車のラジオで
「大リーグでは監督からチーム作りの采配までGMが任されているのに日本では新聞社のいうままになっているというのはどういう事だ」
と騒いでいたが、今見るとタイムリーな作品なのね。そういう意味でも面白い。

ブラピファンとしては見どころいっぱいの1本だと言えるでしょう。
メガネ男子のブラピも見れるよ♥でも、あれって老眼鏡だよね、たぶん。

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 

    


チームの成績が悪い時はGMが叩かれ、成績が上がってくるとGMじゃなくて監督が誉められる…

全く、どこの国でもマスコミってやつは・・・である。

トレードって、冷たいものなのね。人間が人間じゃないみたい。
ビリーは、選手たちと触れ合わない。人間関係が出来てしまうと切りにくくなるからだ。

でも、だんだんとそんなビリーが変わっていく。
選手を叱咤激励し、直接アドバイスをし始める。
そこからチームが変わっていく・・・

そう考えると、やはり、スポーツにおいて大切なのは「言葉」「向上心」「勇気」であり、この作品も結局はそこを描いているんだよな、と思う。
「負けて嬉しいか?!これが敗者の音だ!」と、ビリーがバットを投げてからだものね。変わってきたのは…。

この映画でほとんど試合が描かれないのは、主人公に「自分が見に行くと負ける」というジンクスがあるからだ。

これも、解る・・・
私も子供の試合、「自分が見に行くから負けるのでは…」と何度も思った事がある。(野球じゃありませんが)
実際に、よその強い選手のお母さんで、そういう理由で一切見に来なかった人もいたし。

出来るだけの努力と影からの応援と祈りで勝たせる我が子。親ってそういうもの。GMもたぶんそう。

そんなビリーをまるで親のように見守っているのが唯一の家族である娘だというのも面白い。

「パパっておばかね・・・」

そんな彼女の歌で終わるラストが余韻を残して好き。

人は、誰かが付いていてくれるから強くなれる。

・マネーボール 公式サイト

 

 

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