冷たい熱帯魚
監督: 園子温
出演: 吹越満、でんでん、黒沢あすか、神楽坂恵、梶原ひかり、渡辺哲 、諏訪太朗、裴ジョンミョン、三浦誠己、芦川誠、阿部亮平
公開: 2011年1月29日
DVD鑑賞で。
人間の狂気と、追い詰められる精神状態を「むきだし」に描いた作品。
「愛のむきだし」の園子温監督。
エログロだと覚悟してご覧ください。
どうして、もっと上手く逃げられないんだろう・・・と思いつつも、人が何かに巻き込まれていく時って、こんな物なのかも知れない。
守ろうと思っていた物を守れなかった時、男は全てを壊しにかかる。
吹越満が気の弱い戦えない男から、変わっていく狂気をまさに「むきだし」で演じている。
たぶん、そのままでも、何となく終わったはずの人生。不満があっても、上手くいかなくても、何事もなければ誰でも何となく一生は終わる。
地球は青くて丸くてつるつるのままが良かった。
ごつごつした岩なんかになってほしくなかった。
ラストまでずっと、恐ろしくて目が釘付けになる。
「埼玉愛犬家連続殺人事件」(by Wikipedia)がベースになっているというこの作品。
こんな狂気は、決して絵空事ではないんだ。
とりあえず・・・・・
これを観た日の夕食は、唐揚げ禁止。。
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
丸くてつるつるした地球なんかこの世にないんだよ!
俺の知ってる地球はごつごつしたただの岩だ!
村田はいう。
そうやって、社本の夢を壊し、社本の生活の底を盗み見、社本の人生を罵倒する。
人質を取り、身動きできないようにし、殴り続けた。
社本は自分んの足で立っていない!自分足で立てという。
その結果・・・社本は、その通りにした。
人間は暴力の前に抵抗できない。自分よりも強いものを恐れ、ひれ伏す。
ずっと小さくなって温和な世界で生きてきた社本の引き金を引いた村田。
村田は村田自身が父親からされてきた事を社本に繰り返していた。
人生ってのはな、痛いんだよ!
痛い、痛い。そして、狂ってる。
その狂気は、決して他人の物ではなく、誰の中にも潜んでいる狂気なのだ。
父親の遺体を覗き込んで「やっと死にやがった、くそじじい」と笑い続ける美津子。
一番守りたかったのは、きっとこの子のはずなのに…親の愛なんて伝わらない。
求めても得られず、愛は追うほど逃げていく。
痛すぎるラスト。
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