ヒア アフター~ HEREAFTER ~
監督: クリント・イーストウッド
出演: マット・デイモン、セシル・ドゥ・フランス、フランキー・マクラーレン、ジョージ・マクラーレン、ジェイ・モーア、ブライス・ダラス・ハワード、マルト・ケラー、ティエリー・ヌーヴィック、デレク・ジャコビ
公開: 2011年2月19日
2011年2月23日 劇場観賞。
観了した時、
あぁ・・・これは賛否両論だろうな・・・
と、まず思った。
今まで社会問題を取り上げて現実味のある世界観を独自の視点で作り上げてきたイーストウッド監督。今回は、ファンタジーに近い作品だ。ちょっと色が違うように感じる方も多いだろう。
でも、私は感動した。
こんな事が現実にあったら・・・どんなに多くの人の心が救われるだろう。
私自身は、身近な人の死にあった事は未だになくて、人生で巡り合った葬儀といえば、両親側の祖父母だけ。その内2人は私が幼い内に亡くなっているし、2人は長患いと高齢で亡くなった。「死」の覚悟は来ていた。突然の死に巡り合った事はない。
こんな私が言っても良い話かどうかは分からないけれども、
もしも愛する人が突然いなくなったら・・・
きっと、幽霊でもいいから会いたいと願うだろう。
これは、大切な人を突然失って絶望の中にいる、そんな人にこそ、癒しを与えてくれる作品なのではないかと思う。
癒しを与える側にも苦悩はあり、心の線が知らず知らず仲間を求める。
いわば「運命の人」と巡り合ったラストに、涙。
同時に、イーストウッド監督が見ている未来の事も考えてしまった。
1人の若者に人生の指針を示し、自らが十字架となった「グラン・トリノ」からのこの作品。クリント爺さんも、もう81歳だ。
見ている先は、ついに現世をも超えてしまったのかな…。
いや、癒しの先に未来を見る作品だ。目線は現世に向き続けているよね・・・
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
バカンス先で大津波の災害に遭い、九死に一生を得た結果、いわゆる臨死体験をしてしまったマリー。
2人で1人のように一緒に行動し続けてきた双子の兄を突然失った少年、マーカス。
そして、霊媒体質で人の見えないものが見えてしまうジョージ。
会った事もない3人のバラバラな人生と生活をそれぞれ描き出した後の「偶然の出会い」。それは、まさに運命の導きによるものに違いない。
マーカスはジョージによって癒され、マリーとジョージは運命で結びつく。
「こんな事、あるわけないじゃん」と思うか、「運命ってすごい」と思うかで評価は分れるのかな…
人は生きているだけで意味があるのだという事を、充分に教えてくれた作品だと私は思った。
この作品は、まだ公開されて1月も経たない内に日本での上映が中止になってしまった。3月11日に東北地方太平洋沖地震が発生し、映画の冒頭シーンのような事が日本で実際に起きてしまったから…
その時、私は家にいて、関東だからかなり揺れたけれども大きな被害はなく、ただTVの中の信じられない光景をボーっと見ていた。
一番に思い出したのは、昨年観た「TSUNAMI」と、この「ヒア アフター」だった。
実際に見た現実の津波は、どろどろと渦を巻いていて黒くて茶色くて生き物のようだった。やっぱり映画とは違う・・・
日本の中で、実際に多くの人が突然愛する人を失う事になってしまった。
幽霊でもいいから会いたいでしょう?などと、軽い事は、とても口にできない。
でも、いつか…この映画を、今傷ついている方たちにも見ていただけるといいな…
映画1本でも、心を癒すのに役立つことは、きっとあると思うのだ。
おそらく、私を含めて、あの震災の前に劇場でこの映画を観た人にとっては忘れられない作品になったと思う。
上手く言えないけれども、日本のみんなの心が早く癒える日が来るのを願っています。
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