BOX 袴田事件 命とは
監督: 高橋伴明
キャスト: 萩原聖人、新井浩文、葉月里緒奈、塩見三省、石橋凌、村野武範、保阪尚希、ダンカン、須賀貴匡、中村優子、雛形あきこ、大杉漣、國村隼、志村東吾、吉村実子、岸部一徳、猪口卓治、テイ龍進、迫英雄、法福法彦、遠藤みつき、松本勝、上田耕一、掛田誠、三上寛、浜田晃
公開: 2010年5月29日
DVD鑑賞。
観了して、とってもスッキリしない気分・・・。
実話ベースなのに題材になっている問題自体が現在進行中だからである。
名前だけでもご存知の方は多いと思うが、この事件は今だ解決していない。
いや、裁判は終了し、刑も確定しているわけだが、被告自身が否認し続けている、所謂「冤罪問題」に関わる事件だからだ。
1966年、静岡県清水市の味噌製造会社役員宅で、主人とその妻、そして次女17歳、長男14歳(当時)、一家4人が惨殺され放火されるという残忍な放火強盗殺人事件が起きた。
警察は、従業員で元プロボクサーの袴田巖を容疑者と確定して逮捕。
袴田は容疑を否認し続けるも、証拠品などの鑑定から1968年9月11日、静岡地裁にて死刑判決が下される。
↓詳しい事件のあらましと、その後の経緯は以下をどうぞ。
「袴田事件」by Wikipedia
映画だけの感想を言えば、本当に恐ろしい。
当時はまだDNA鑑定もいい加減な物だったろうし、いくら鑑定があったとしても、あんな風にねつ造されたら、誰しもそれが真実だと認めざるを得ない。
生まれてからこんな事件に関わらないで生きてきたから、今現在の裁判のあり方や取調べの仕方は、この当時とは違うのか、それさえも解らない。
もしも身内がこんな事になったら、救う術はあるのだろうか。
取調べ拘束中の様子は拷問に等しい。
見るのが辛くて早送りしたくなったほど。
自分の書いた判決文が有罪だと確定できない1人の人間を死に追いやることになったと苦悩する熊本裁判官。
何が起きたのかもわからないまま、悲惨な運命に身を投じることになった悲劇の死刑囚・袴田。
この2人を演じた萩原聖人さんと新井浩文さんが素晴らしかった。
こういう正義の人と出会わなければ、ただ陥れられたまま13階段を上るしかない・・・
本当に法に正義はあるのか。
この映画の本題自体は、警察や法曹関係の方々に見て考えていただきたい。
そして私たち一般人は、実生活の中で罪のない者を裁いていないかどうか、そして間違いに気づいた時は正義を貫き通せるかどうか。
そんなメッセージを受け取ることが出来れば良いと思う。
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
スッキリしないのは、事件は実際に「冤罪」だという事も確定されていないのに、そう思い込むように仕組んだ物を見せられたような気分になったから。
だって、この映画だけ見れば、間違いなくこれは「冤罪」であるわけで、
どうして、そんな罪もない人が今だに足音に怯えながら拘束され続けていなくてはならないの?
・・・と誰もが思うでしょう。
でも、真実は藪の中なんですよね。
だから、刑は確定されたんでしょう?
この映画を見て、〇か×かと聞かれても…
本当の真実が何だか知らない私たちに、それを問う?
もちろん、あの「〇か×か」は、
戦う? or あきらめる?
の問いだとは思っている。
しかし、「彼は有罪ですか?無罪ですか?」
のように・・・感じてしまったのである。
この映画だけ見て、それを決めるのは、それこそ公平じゃないと感じるのだ。
「冤罪」が確定された題材で作ってくれれば良いのに・・・
ましてや、ラストのテロップで、裁判員裁判の事まで持ち出されると・・・・
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