最後の忠臣蔵
監督: 杉田成道
出演: 役所広司、佐藤浩市、桜庭ななみ、安田成美、伊武雅刀
公開: 2010年12月
桜庭ななみちゃん、萌え
の、忠臣蔵「その後」物語。
まず、そんな人が見に行く事は万が一にもないとは思うが、「忠臣蔵」を全く知らない人にはワケの解らないお話であります。
討ち入りのシーンも回想程度にしか出てこないし、四十七士が何で吉良邸に討ち入ることになったのか、とか松の廊下とか、赤穂浪士って何?とか、そんな事情は丸っきり描かれていないのだから。
それでも「忠臣蔵」を知っているからこそウルっと来る物があるのである。
・・・という事で、知らないけどこの映画に行きたいって方はよくよくお勉強してから行く必要があると思います
もちろん、すっごく泣けた。
けど、不満も結構ある。
私の評価は、それほど高くはありません。
それでも、役所広司さんは、やっぱ素敵すぎだし、桜庭ななみちゃんは可愛すぎなのである
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
何が不満かっていうと、一番は可音が孫佐に礼を言って家を出て行って。。。そこで終わりじゃダメなの?
。。。って事。
可音を見送って、育てて来た過程を回想して、しみじみと涙する孫佐。
ああ、この人、たぶんこの後死んじゃうんだろうな。。。
と見る者に思わせつつ幕、で充分じゃないか、と私は思った。
切腹シーンまで入れちゃうのは説明しすぎじゃないかと。
お墓で罵倒して蹴り倒した人たちと、あそこで和解しちゃうのも残された武士としての悲哀の度合いが減った気がして、ちょっと鼻白んだ気分になってしまった。
生き残らざるを得なかった四十七人目は孤独に居なくなった方がその人生の影的部分が浮き彫りになる気がして。。。。
そうじゃないなら、生きて欲しかっったな。
決して死んではならぬ。と可音の口から命じて欲しかった。
あと、まぁ。。。吉右衛門とのチャンバラも不要じゃね?
と、思ったの。
橋の上と下の緊張感と生き残った苦しみを伝える吉右衛門の独白は、すごく良かったんだけど。
。。。と、ぶつぶつ書いたけれども、2人の生き残りの苦悩が伝わる数々の描写には涙。
父親としての孫左の気持ちに涙。法要の場で読み上げられる四十七(六)士の名前に涙。。。。
あとまぁ。。。これは私の個人的な気持ちがあるから「けっ」と思ってしまった事としては、
大石内蔵助の妻・りくのその後を描いた小説を大昔に読んでいて、それが頭に残っていたので。。。
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りくさんは、討ち入り前に咎が及ばないように身重の身で実家に帰されるわけなんだけど、すごく苦労しているんですよ。
実家では討ち入りという大罪人の元妻と子供たちという事で疎んじられ、子供たちは次々と早世してしまい、(この早世したご長女が「くう」さんというんだよね。)やっと三男が浅野家にお召抱えになったと思ったら、今度は英雄・大石内蔵助の子供という事で、持ち上げられたりやっかみで虐められたりするんだよね。
で、三男は「好きで大石内蔵助の息子になんか生まれたワケじゃないっ」と、やけになって遊び歩き、身を持ち崩して身体を壊してしまう、という。。。
「赤穂浪士」と言えば英雄扱いだけど、残された者の苦悩は大変なものだったんだなぁ。。。と、興味深く読んだ話だったので、すごく印象深い歴史小説の一冊なのですが、それが頭にあったので
本妻の家は大変な苦労をして生きてきたのに、愛人の娘は大事に育てられてお姫様かよ!的な「けっ」をちょっと感じてしまったのでした。
ま、この映画とは何の関係もありません。
総体的には良い映画でした。
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comment
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「曽根崎心中」とあわせて展開してるとこから見て、孫左衛門はやはり心の奥底で可音を愛していて、最後は心中なんだと思います。
可音も望まない結婚をする事で、精神的に自殺を選んだ訳ですし。
だから、ラストはあれ意外には無いだろうなと。
彼は死ぬ事でしか自由になれなかった。
武士として生まれたが故の、何とも切ない物語でした。
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>切腹シーンまで入れちゃうのは説明しすぎじゃないかと。
たしかにこれは私も思いました。
あの切腹ラストは、少々面食らいつつ・・・
それでも、総体的には素晴らしい作品でした。
涙腺が刺激されました♪
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内蔵助にとって生まれてくる子が男か女かわからないわけで、
男女で事後の扱いがかなり違いますから、
その辺が表されていたらもう少し違ったかもしれません。
また最期について、孫左衛門は大石家の家臣、
吉右衛門は足軽と言えど浅野家家臣ですし、
次々と現れる家臣も元浅野家家臣ですから、
孫左衛門の居場所はなかったんだろうな、
と言う気はします。
死まで見せない結末、あるいは切腹シーンは見せないとか、
いろいろやり方はあったろうと思います。
孫左衛門が主君である内蔵助の羽織袴を着ての切腹は
現代感覚では後追いを示唆していると取れますが、
良いのかな、と言う気はしました。
また、聞くところによれば、浪士のほとんどは切腹の作法を知らなかったらしいです。