クロッシング
~ crossing ~
監督: キム・テギュン
出演: チャ・インピョ、シン・ミョンチョル、ソ・ヨンファ
公開: 2010年6月
2002年、脱北者25人が北京のスペイン大使館に駆け込んだ。
「クロッシング」は、この事件をモチーフに作られたらしい。
しかし、この映画は脱北の苦労を語る映画ではないし、北朝鮮の在り方を批判する映画でもない。
ただ、そこで仲良く暮らしていた家族が飲み込まれていく波。
人は親を選べないように、産まれる国を選ぶことが出来ない。
親子は国に不満なんか何も無かった。だって、他の国の事など何も知らなかったから。
この家族の悲劇は、そこに生まれた事。
夕立の中、笑顔でサッカーを楽しむ父と子。
まとわりつく犬。
この映画の中で何度も思い出すシーン。
この日が、ずっと続けば良かった。
平和ボケした日本人には、あまりにも衝撃的な映画だった。
この現実をもっと多くの人に知って貰いたい。
辛い映画だけど。
1人でも多くの方に見て貰いたい
・瀋陽総領事館北朝鮮人亡命者駆け込み事件 by wikipedia
この辺、記憶にある方も多いかと思います。
この物語の背景にある出来事は、大昔の話ではありません。
今、この時にもある現実。
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
見ている間、何度も何度も嗚咽を堪える。
家族にもう一度会いたい。
家族のいる場所に戻りたい。
スクリーンから響く、父と息子の叫びに身を切られるよう。
父は、ただ妻のために薬が欲しかっただけだった。
命を賭けて渡った国で、次々と変わっていく身の回り。
渡った国では結核の薬は無料だった。
渡った国では神という物が存在した。
神は南にしかいないのか?
北にはいないのか?
神は富める国にしか存在しないのか?
北には神なんて居なかった。
誰も救ってくれない。薬もない。
家族3人、食べる物さえもない。
少年はガールフレンドから神の話を聞き、天国の存在を知る。
最期の時、少年は母が待つ天国を確かに信じただろう。
頬を塗らす一滴の雨。
天国にも少年が好きな雨はきっと降る。
また、夕立の中で父とサッカーができる。
父は神を呪いながら、神の理論のある国で暮らす。
そして、少年は神のいる国に旅だった。
エンドロールで映る河原のバーへキュー。
子供連れの家族が集まる日本では当たり前な風景。
でも、この映画の世界では、天国でしか許されない風景だ。
少年と父を再会させてあげたかった。
甘くても何でもいいから、抱き合う姿が見たかった。
ただその思いだけで、涙が溢れる。
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comment
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観客にこの親子の再会を心から願わした時点でこの映画は成功なのかも知れませんが、同時にこれが現実であるんだという強いメッセージも感じました。
神様がいればきっとこの親子は再会できたはず。
でも神様は北朝鮮にはいない。
その辛い現実を見てくださいという監督のメッセージ。しかと受け取りましたよ。
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くうさんはじめまして。
たんたんたぬきと申します。TBありがとうございました。
心の深い部分を刺激される作品でしたね。
近くて遠い国、良くも悪くも日本とは異質な国の現実を少しだけ覗いたような気がします。
これからもよろしくお願いいたします。
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子供にあんな思いをさせちゃいけない。
やっとの事で話せた父親に第一声で謝らせるようなことを
しちゃいけないんですよね。彼らは絶対的に守られなけれ
ばならない存在だから。
必ずしも北だから不幸だということはなくて、少なくとも彼ら
に小さな幸せがあった、せめてそんな小さな小さな幸せぐら
い守ってあげられる国であって欲しいです。