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【ハート・ロッカー】大人のオモチャ

ハート・ロッカー
~THE HURT LOCKER ~

監督: キャスリン・ビグロー   
出演: ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、ブライアン・ジェラーティ
公開: 2010年3月

第82回アカデミー賞 作品賞、監督賞他計6部門受賞

 

ポスターには、

「彼らは、数えきれない命を救う。たった一つの命を懸けて」

と書かれているが、そういう内容では無い気がする・・・

もちろん、彼らの仕事はそういう物だし、戦場における尊い仕事である。

しかし、作品の中で、少なくともジェームズ軍曹は「誰かのために」この仕事をしているわけではないし、ただ目の前にある死に飛び込んでいく人のようにしか見えない。

人を殺して「GOOD JOB」と言われる世界は、私たちの日常からは全く想像のつかない世界である。

緊張感の連続の中で、淡々と行われる作業に見入っている内に自分も緊張に麻痺していくのが解る。

死と隣り合わせであることに麻痺している男。

仲間を思う気持ちも、人間を愛する気持ちも充分持ち合わせているのに、彼は時々それを忘れる。

感情のままに叫んだり怒ったりする彼の部下たちの姿に思わず涙する事、数回・・・

見終わって、言葉もない。

重たい作品である。

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 

    


ジェームズは、自分の子供をあやしながらいう。

大人になると、こういうオモチャが楽しかった事を忘れてしまう。
ただのブリキとぬいぐるみで出来ている事に気付く。

夢中になれる物が無くなっていく。

恐怖の中で、いつの間にか刺激を求める日常に陥った軍曹は、”おもちゃ”を求めて、また戦場に帰っていく。

死を思わせる物を集めるのが好き。

というジェームズ軍曹。

爆弾は、軍曹にとって、死と隣り合わせにある危険で飽きないオモチャ。

シャワー室で1人恐怖と悲しみに泣く事もあるのに。。。
彼は、このオモチャから離れることが出来ない。

女性監督の作品なのにハードで骨太で。。。
全然女らしさが感じられない作品だと思ったけれども、

このラストに来て、私は「ああ」と思ったのだ。

「本当に男って、しょうがない」

そういう女性の溜め息を聞いたような気がしたのである。


ハート・ロッカー@ぴあ映画生活トラックバック
・象のロケット

★前田有一の超映画批評★

comment

  1. くう より:

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    >私もそういう内容ではなかったと思いますねぇ・・・
    最初にあったテロップの“戦争は麻薬だ”って言葉はしっくりきますが。
    私もそう思います。まさに麻薬よね。
    って言うか、こういう「戦争」があると知らなかったなぁ。。。
    普通の住宅街で起きているんだものね。
    窓から普通に見ている住人と息詰まる爆弾処理シーンの
    違和感が印象的でした。
    私も何か見終わったら疲れちゃった。。。
    その場にいて体験しているような映画でした。

  2. 由香 より:

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    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    こんにちは~♪
    >「彼らは、数えきれない命を救う。たった一つの命を懸けて」
    と書かれているが、そういう内容では無い気がする・・・
    ポスターにはそう書かれていましたか~
    私の住む地域では急遽上映が決まったので、ポスターやチラシを見ていないんですよ、私。
    私もそういう内容ではなかったと思いますねぇ・・・
    最初にあったテロップの“戦争は麻薬だ”って言葉はしっくりきますが。
    とにかくずっと緊張して観ていたのでグッタリしました。かなり心にズシンときたのに感想は纏まらず・・・思い作品でしたよね~

  3. くう より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    コメントありがとうございます^^
    >戦争の日常が非常にリアルでした。
    そうですね。臨場感のある作品で引き込まれっぱなしでした。
    あちらでは普通の生活の中に戦争があるのですね。
    普通の町並みと爆弾処理班の姿のギャップに
    違和感と恐ろしさを同時に感じます。

  4. シムウナ より:

    SECRET: 0
    PASS: 7ff9123d6f55dc7c6f6908dc84712932
    TB有難うございました。
    ドキュメンタリー風の作品なので
    ストーリー性は皆無でしたが、爆弾処理班から
    戦争の日常が非常にリアルでした。
    今度、訪れた際には、
    【評価ポイント】~と
    ブログの記事の最後に、☆5つがあり
    クリックすることで5段階評価ができます。
    もし、見た映画があったらぽちっとお願いします!!

  5. くう より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >ジェームスにとっては死を賭した遊びかもしれませんね。
    ジェームズは解体した爆弾の部品を集めています。
    それはオモチャを集めているのだと、あの息子に
    語りかけるシーンで思ったのです。
    結局、今や軍曹の好きな物はたった一つ、
    爆弾とあの場所だけなのでしょう。
    >戦争等状況が、こういう心を作り出してしまう
    全く、その通りだと思います。
    そんな彼が体感している緊張感が映画を見る者も
    体感できてしまう、そんなこの映画は凄いです。
    ラスト、新しい部隊に入隊して、また日数が増えます。
    あそこから、また新しいゲームが始まるんですよね。
    私はもうあの1ゲームだけでコリゴリでした–;

  6. くう より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >正直いって、実際のイラクの映像と本作と映像的には差が無いこと、現実と映画の境目が薄くなっている自分に怖さを覚えました。
    臨場感と緊張感の凄さがスクリーンから伝わる
    作品だったと思います。
    実際にあの戦場にいる人が、麻痺してしまうのも
    解ります。
    平凡な生活の中では生を感じられないと言うのは
    一種の病気のような気がします。
    そうさせてしまう、その環境が恐いです。

  7. ノラネコ より:

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    PASS: 1d227402d343f1e66ff53a303d6697f6
    おもちゃ・・・うん確かにジェームスにとっては死を賭した遊びかもしれませんね。
    戦争等状況が、こういう心を作り出してしまう、その理由を説得力を持って見せてくれました。
    KLYさんの仰るように、現実と映画の境界が錯覚しようなくらいに曖昧に感じる、そんな恐ろしさのある作品でした。

  8. KLY より:

    SECRET: 0
    PASS: e77249bcf0858aa3d0601d80bbca072e
    とんでもない緊張感でしたよね。映画の質としては非常に高いものだと思います。テレビで流れた映像で銃を構えた米兵は、映画じゃないから本当に死ぬんですよね。正直いって、実際のイラクの映像と本作と映像的には差が無いこと、現実と映画の境目が薄くなっている自分に怖さを覚えました。

  9. くう より:

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    >私はジェームズが麻薬に溺れていくような感じを受けましたね。
    麻薬もある意味、大人のオモチャかなぁ。。。^^;
    中毒性のある物ですよね。
    止めたくても止められない人になっちゃってる感じを受けました。
    彼に終わりはあるのでしょうか。

  10. SECRET: 0
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    なるほど、おもちゃと表現されましたか。
    それも分かります。
    私はジェームズが麻薬に溺れていくような感じを受けましたね。
    まぁどちらも一度ハマると、そうカンタンに抜け出せないものではありますが。

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