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【グラン・トリノ】本当の懺悔とクラッシックカーの行方

グラン・トリノ~Gran Torino~

  

監督: クリント・イーストウッド   
出演: クリント・イーストウッド、ビー・ヴァン、アーニー・ハー、クリストファー・カーリー、ブルック・ジアー・タオ、チー・タオ、ドゥーア・ムーア、ソニー・ビュー、ジョン・キャロル・リンチ、コリー・ハードリクト、スコット・リーヴス、ジェラルディン・ヒューズ

公開: 2009年4月25日

DVDにて視聴。

クリント・イーストウッドの監督・主演作であり、俳優として最後の出演作になるかも知れない本作。

本当は劇場で観たかったけれども、公開されていた頃、個人的に色々あって、気分的に沈み込みそうな物は観たくなかった。

イーストウッドの作品には、いつも考えさせられ、悩まされ、泣かされ・・・
ズッシリ来てしまうので。

実際、見終わってからズッシリ来ているわけなんだけれども、やっぱり辛かった時期にこそ見ておけば良かったのかも。・・・と今になって思う。

衝撃の展開に涙しながらも、何だか赦された気持ちになれるから。

ウォルトが愛した古いグラン・トリノのように、その頑固さがたまらなく愛おしい作品。

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 

    


ウォルト自慢のクラッシックカー、グラン・トリノは、ウォルト自身なのだ。

古くて誇り高くて、頑固で誰も近寄らせない。

妻の葬儀にヘソ出しルックで現れたり、ふざけた振る舞いをするウォルトの孫たちを彼は愛することが出来ない。(あれは私も許せないけど~ あっちの葬儀ってあんなモンなの

孤独はいつか彼の心を凍り付かせ、頑固さは 人を寄せ付けなくなった。

しかし、隣に住む異人種の礼儀正しさと心の清さに 彼は次第に心を開いていく。

自分の息子達よりも、この黄色い人間の方が 俺は自分に近く感じる。

それはウォルトにとって愛おしい者を見つけた 喜びだったのかも知れない。

モン族の不器用な少年タオを自分の孫のように鍛え、 面倒を見ていくウォルト。

しかし、ウォルトと親しくした事で、タオの一家は ギャングから理不尽な仕打ちを受ける事となってしまう。

守りたいのに、守りきれない悔しさ。

何も悪くなく普通に生きている者に下される仕打ち。

しかし、暴力に暴力で返しても、また繰り返されるだけ・・・

そして、ウォルトの下した決断は、

愛するグラン・トリノを愛すべきタオに 何の危険も無く譲る事だった。

若い牧師は妻の遺言を守り、何度もウォルトに懺悔を勧め、 最後の時、やっとウォルトは教会へ懺悔に行くが、そこでは 朝鮮戦争で自分がやった事に関する懺悔は一切しなかった。

その懺悔は、彼がこれから逝く場所で、直接神にすれば いい事だったから。

自分の死を持って、隣人を救ったウォルト。
ああするしか無かったのかなぁ、とも考える。

でも、ウォルトの表情は、とても幸せそうにも見えたので・・・結末に涙しながらも、素直に受け入れよう。

タオは、これから、あのグラン・トリノをウォルトのように 大切に大切にして生きていくだろう。

彼の車の真の輝きが解るのはウォルトが育てたタオだけだから。


グラン・トリノ@ぴあ映画生活トラックバック
・象のロケット

★前田有一の超映画批評★

comment

  1. くう より:

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    >冒頭からラストまで全く無駄のない作品でしたね。
    イーストウッドの映画は、いつもそうですね^^
    どんなシーンも先に繋がっていくし、どんなシーンも
    笑えたり泣けたり。。。
    クライマックスは衝撃でしたけれども、ラスト、
    グラン・トリノを運転するタオの姿が清々しかったですね。
    重かったけれども、見て良かったです♪

  2. くう より:

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    >毎回違った角度から社会問題を提起してくれて、胸に刺さる思いがしますね。
    私がイーストウッドの監督作として意識して
    見た初めての映画が「ミスティック・リバー」だったんですが、
    あれ以来、もうずっと彼の作品にはやられっぱなしです。
    これからも彼の作品を見続けたいですし、
    できたら演技も見ていたいなぁ。。。と思いますね^^

  3. BROOK より:

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    冒頭からラストまで全く無駄のない作品でしたね。
    間延び・・・というか、無駄な部分も綺麗にそぎ落とした、そんな感じがします。
    そして、あのラスト・・・
    イーストウッドならではの演技で、もう感動という言葉以外に思いつきませんでした。

  4. ひらりん より:

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    クリント・イーストウッドの監督作は、毎回違った角度から社会問題を提起してくれて、胸に刺さる思いがしますね。
    名優であった彼が長生きしてるからこそ、
    若い者に映像で伝えたい事が、たっぷりあるんだろうと思います。
    まだまだ作り続けて欲しいのと、
    映画に出続けて欲しいですね。

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