さまよう刃
監督: 益子昌一
出演: 寺尾聰、竹野内豊、伊東四朗、佐藤貴広、伊東遥、酒井美紀、山谷初男、長谷川初範、岡田亮輔、黒田耕平、木下ほうか、池内万作、渡辺憲吉、中村有志
公開: 2009年10月
警察が守っているのは市民ではないのですか?
警察が守ろうとしているのは「法律」の方なのですか?
何の落ち度もない女子中学生が、悪魔のような男たちに攫われ、汚され、そして殺される。
しかし、彼らは逮捕されたとしても極刑にはならない。彼らは未成年者だから・・・
原作は東野圭吾が2004年に書いた同名小説。
「少年法」という盾に守られた未成年者の犯行に対してメスを入れた問題提起作品だ。
映画は、この原作を大きく端折った内容になっていた、と思う。結末も違うのだけど・・・「問題提起」としてのテーマは、原作通りに充分描かれていた。
ただ、何だか物凄く淡々としていて・・・
もっとグワっと心を鷲掴みにされる映画になると思っていたので、最後まで平らな空気に、ちょっと肩すかしを食らう。
また、誰の心の内も特に明かされず、行動だけを追っていく映像に、登場人物の誰にも感情移入ができず、主役不在の作品になってしまっている気がする。
事件の残虐性も極力抑えた演出。追う、追われる緊張感にも欠けているし。
制作者は、ただ問題提起の部分だけを掘り下げたかったんだろうな・・・
それは、確かに果たされているのだけど、そうだとしたら、ちょっとこの映画の制作は遅すぎた感がある。
2008年、光市の事件で未成年事件に対する死刑判決が下され、少年法は少しは変わろうとしている。せめて映画の公開があと2年ほど早かったら・・・
もう少し見る側が受ける衝撃も大きかったかも知れない。
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
いくら未成年だって、あんな悪魔は許されて良いはずがない。
警察の対応は、いちいち遅すぎる気がするけれども、織部のように口に出して不満をいう者はいなくても誰もがこの「守るべき未成年」に対して同情なんてしていない。
できたら、長峰に思いを遂げさせてやりたい。。。
登場人物の誰もが、そして映画を観る者の誰もがそう思うはず。警察の捜査の手も緩むってモンだよ。
もしも、この男が普通に警察に出頭していたり、逮捕されたりしていたとしても、反省や更生にはほど遠いに違いない。
犯人を極刑に処さない、という「少年法」の目的は未来ある青少年に更生の機会を与えるためだ。
しかし、この蓑を着て、やりたい放題に非道い事件を繰り返す未成年が後を絶たない。
こんな悪魔、死刑で何が悪いんだ。
。。。と、ついつい思ってしまう私がいるワケです。
だから、私は思う。
長峰さん、甘いね。
私だったら、あそこまでやったら、必ずこの男を殺す。愛する自分の娘にされた事を思ったら。この先もこいつが繰り返すだろう犯罪を考えたら。
だって、きっと長峰さんがあんな風に自分の命を断ってこいつをちょっとくらい恐い目に遭わせてやったって、絶対にこいつは反省なんかしないと思うから。
そういう悪魔は世の中に本当に存在するのだから。。。
・さまよう刃 公式HP
【送料無料】さまよう刃 [ 東野圭吾 ] |
さまよう刃 【DVD】 |
comment
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
原作とは結末が違うのか~
原作読んでみよう・・・
私は原作読んでいないから、それなりにずっしりときたわ~
>制作者は、ただ問題提起の部分だけを掘り下げたかったんだろうな・・・
その部分は成功していると思う。
ラストに永峰がとった行動は本当に正しかったのか・・・
あいつらに死の恐怖を与えるだけで、自分達のしでかした恐ろしい犯罪に気付かせることができるのか・・・
こいつらの罪にふさわしい罰なんて存在するのか・・・
なんかいろんなこと考えちゃったよ~
やっぱり寺尾さんはうまいね・・
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
コメントありがとうございます♪
>原作では二人の刑事の役回りが逆だったのですね。
そうなんですよね~。
映画では捜査の初めに伊東四朗が竹野内に
「結婚はしているか」と聞いていますよね。
なのに結婚もしていなくて子供もいない若い刑事の方が
犯人よりの設定にした理由が解らないです(^^;ゞ
映画は淡々としすぎていた気がします。
もっと登場人物の心情に入り込めれば、もっと
切ないストーリーになったと思うのですが。。。
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
コメントありがとうございます♪
>原作は読んでいたのですが、終わりが曖昧な記憶になっています。
解ります~!印象的な本でも読んでから凄く時間が
経ってしまうと曖昧になっちゃいますよね^^;
私も原作の方が良かったですが、それは、原作の方が
登場人物の心情の掘り下げが深かったからだと思ったんですよね。
いっぱい感情移入できた分、終わりの悔しさも大きくて。。。(; ;)
少年法については疑問でいっぱいですよ。
年々ひどい犯罪が低年齢化している気がするし。。。
こんなヤツラを20歳まで庇ってやる必要性を感じません。
>映画の終わり方として、銃声の場面で終わらせたら、「どうなったのだろう?」と原作が売れたかもしれませんね(笑)。
そうですね!
映画としても、その方が余韻が残り、理不尽さも
少しは癒されたかも。。。
SECRET: 0
PASS: 8ebcf21b2702f941aee411328f8fea88
くうさん、はじめまして。
~青いそよ風が吹く街角~のBCと申します。
トラックバックありがとうございました。(*^-^*
原作では二人の刑事の役回りが逆だったのですね。
原作のほうが登場人物の心理描写が細かく描かれているようですね。
映画は脚色がイマイチだったのでしょうね。
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
こんにちは。
TBありがとうございました。
原作は読んでいたのですが、終わりが曖昧な記憶になっています。
正直原作の方が良かったなと思います。
現代の法律では、加害者をかばいすぎているように思えます。加害者の将来・更正、、、。って死んだ人はどうなるの?って思います。
特に、自分と同じ山口県で起こった光の事件の行方は注視しています。
「悪い事をしたら裁かれる。」当たり前の事が日本では行われていませんね。
映画の終わり方として、銃声の場面で終わらせたら、「どうなったのだろう?」と原作が売れたかもしれませんね(笑)。
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
>殺さないのでは、結局方の前に涙を飲むことと同義です。それでは今まで
よくある事件と同じだと思うのですよ。
私もそう思います。
原作でも・・・これ言って良いのかな^^;
復讐は果たされないのです。
ですから原作の読後感もこんな感じでした。
ただ、原作の方は、もっともっと父親の苦悩や
周りの気持ちや・・・加害者の親も出てくるのですが、
登場人物の気持ちが交錯して、入れ込めるんですよね~。
映画よりも、もっとこの父親に感情移入できました。
映画は淡々としすぎていましたね~。。
あと、刑事の役回りが年が上の人と若い人が
反対になっていて、その方が物語的に納得行くんですよね。
機会があったら、ぜひ原作を^^
SECRET: 0
PASS: e77249bcf0858aa3d0601d80bbca072e
原作は未読です。でも聞いた限りの話では、あのラストでは問題の提起は
出来たとしても、本来、東野さんが訴えたかった気持ちには遠く及ばない
のではないかと思いました。
殺さないのでは、結局方の前に涙を飲むことと同義です。それでは今まで
よくある事件と同じだと思うのですよ。そこを敢えて本気で殺そうとするか
らこそ、同情的にではなく積極的な問題提起になるんじゃないかって思った
りします。もっともそれ以前に、ちょっと描き方が適当なところがどうにも納得
出来ず覚めてしまったという感じでした…。