ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~
監督: 根岸吉太郎
出演: 松たか子、浅野忠信、室井滋、伊武雅刀、妻夫木聡、広末涼子
公開: 2009年10月
第33回 モントリオール世界映画祭 最優秀監督賞受賞
平成の現代では、受け入れられづらい夫婦・・・だと思う。
特に女性にとっては、ありえな~いダンナだ。
かくいうこの私も、おいおいおい~と思いながら見ました。
しかし、映画の舞台は昭和も戦後間もなくの頃である。だから、ああいう女性は少なくなかっただろうね。
嫁いでは夫に従い、老いては子に従う。
そんな教えの中で、女性が生きていた時代の話だから。
そう考えると、夫のために、とりあえず働きに出たり、自分の女としての魅力を最大限金にしよう、と無意識にでも思えちゃう辺り、佐知さんという女性は当時としては結構革新的な考えの女性なのかも知れない。
大谷という男は、ほぼ太宰治をそのまま投影した人物なのだろう。
太宰治自身、何度も自殺未遂を繰り返す人生。。。
死に取り憑かれた人生。
作家は繊細な人が多いから・・・
と、言えば聞こえは良いけれども、どうもナルシストにしか思えなかったりして。。。
借金作る、金盗む、女の所に転がり込む、なのに女房には嫉妬。
悪行の限りじゃ。。。まさに「人間失格」。
でも、ああいう男に惚れちゃう女の気持ちも解るのです。
モテるんだよね。ああいうダメ男子って。
そんな、ヒドイのに女が放っておけない男が浅野忠信にピッタリはまってた。
ストーリーとしては、のめり込める所はなく。。。
私自身が、あんな夫婦を理想としていないから。
結局は、受け入れられない夫婦を勝手にしたら~と思いながらボーッと見ていた2時間。
上映中、笑う事もなく、ホロっとする事もなく、でも寝る事もなく。
ただ見続けてました。
純文学って芸術だから。。。
映画もその通り、雰囲気を楽しめばいいんでしょう。
役者さんが、皆さんとっても魅力的。
人の良い飲み屋の夫婦を演じた室井滋さん伊武雅刀さん。元々嫌いだから(ファンの方スイマセン。)イヤな役が余計ピッタリに見えた広末涼子。こっちは好きなのにあんな役・・・。の堤真一。ヘタレた若者、妻夫木聡。
みなさん、あの世界観にピッタリだったわ
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
「ヴィヨン」というのは、フランスの詩人フランソワ・ヴィヨンの事を言っているらしい。
事件を起こしては投獄され、最終的にはパリを追放された流浪の人、ヴィヨン。
この作品は、大谷をそんなヴィヨンに例えているのだ。
ま~。。。詰まるところはヴィヨンも大谷も、事件を起こすから罰せられるだけで、自業自得なんですが
その女房は、ただひたすら夫に尽くす。。。
と言ったら聞こえは良いが、なるべくイヤな事は考えずに淡々と前向きに強く生きている女に見える。
佐知はいう。
私、今、とても幸せよ。
大谷は答える。
女には幸せも不幸もない。
男には不幸だけがある。
何言ってるんじゃ、この男は~!
その不幸はお前が自分で呼んでいるんだよ~
と怒り狂いたい所なんだけど、そういうセリフを聞いても、あまりまともに相手にしないで何となく受け流してる感じの佐知の反応や、そんなセリフが何故かハマっちゃう。その場の情景のせいで、見る方も何となく受け流して見てしまう。
一事が万事、そんな感じ。
心中未遂後の牢獄の中での
今は責めないでくれないか?
でさえ、何だかボーッと聞いてしまう。
っていうか、もう呆れちゃってるのかな。
こんな男、ホント捨てちゃえばいいのに。。。
と思うけれども、佐知は、全て受け入れて行くらしい。
「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ」
生きていさえすれば。。。
だから変な事、考えなさんな。
と大谷の死への思いを否定する妻。
生きる事にただ必死な時代に、変な事をいっぱいしでかす夫。
この女は、この後も、たくさん苦労しては受け流して行くんだろうな。
そして、この男は、太宰ならば。。。
最終的には必ず地獄に落ちるだろうよ。
あの冒頭の輪車占いの結果のごとく。
松たか子/ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~ |
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>根岸監督がこだわった、戦後の商店街や飲み屋の中のセット・・。
それに松さんと浅野さんの文語調のセリフまわし・・。
確かに~。セットは見事。風情があって良かったですよね~^^
こういう映画は。そういう部分が見どころですね。
その風景にハマった役者さんたちも素晴らしかったです^^
ストーリーの方は、まぁ、太宰だから。。。
太宰に燃えた人たちは満足だったかな。
「パンドラ」は、近くでやってなくて~(>_<)
来年は「人間失格」ですね~。
斗真で大丈夫なのか、ちょっと不安。。。(; ;)
ウチからもリンクいただきました。
今後もよろしくお願いします~♪
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いやぁ、純文学の映画化物、私好きなんですよ~!
いや、文学とか全然くわしくもないし、良く知らないのですが、
スクリーンから漂う“雰囲気”だけで充分満足しちゃうんです。
こういう作品は、ストーリーの良し悪しとかよく判らないんですよ・・。
根岸監督がこだわった、戦後の商店街や飲み屋の中のセット・・。
それに松さんと浅野さんの文語調のセリフまわし・・。
これだけで私は何か静やかな気持ちになってしまうのでしゅ・・(^^♪。
古くは夏目漱石の原作を松田優作主演で映画化した「それから」なんかは、格別の一作でありましたな・・。
そんなわけで私は今公開中のもう1つの太宰作品「パンドラの匣」もお気に入りです!
P.S.貴方のブログをブックマークさせていただきました。
よろしくです(^^♪。
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松さん、本当に綺麗でしたね~。
私的にはドラマ「HERO」の頃が松たか子ブームの
ピークだったんですけどね^^;
今はより成熟した美しさを感じますよ~♪
>でも佐知は今の世の中にもそうはいない気がします。
結構、ああ言う感じの女の人って多いですよ。
何で、あんな男と付き合ってるんだろ~。。。
って人。色々な男の人の気を引きながら、でも、
一緒に暮らしているのはダメ男って言う^^;
いつの時代も女は魔性、そう言う事なのかも知れないですね。
夫婦のあの時代に合った空気感は良かったですね^^
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松たかこ可愛いなぁ…。いい女になったなぁ…。^^
という作品でした。どこ見てんだお前はって噂もありますがね。(笑)
だって別に話面白くないしどうでもいいしぃ。
真面目にコメントすると、佐知って変な奴ですよね。大谷タイプの男は
今の世の中でもいます。でも佐知は今の世の中にもそうはいない気が
します。でもまだ現代であれば、そんな人もいるだろうって見れますが
あの時代では相当の変わり者でしょうねぇ。
で、その浮きっぷりと、松たか子の持っている、ちょっと浮世離れした
雰囲気(これは梨園の出身だからだと思いますが)が上手い具合にマ
ッチしたかなぁと。そんな風に思いました。
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>ただ、実はこの妻もまた結構エキセントリックな人物で、互いの中に自分を見て愛し合っていたのではないかという気がしています。
私もそう思います^^
自分で万引きしたクセに警官に食ってかかっていく所からして
すでに「堪え忍ぶ女」とか「弱い女」じゃないですから(^▽^
ああ言う女が妻である事が太宰の理想だったのかも知れません。
実際の太宰の妻がどんな人だったのかは解りませんが。。。
実際にこんな夫婦だったらね。。。
放蕩夫と小悪魔妻。周りから見たら、ちょっと
オモロイ夫婦だったかも。。。
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まあこの男の妻にはなりたくないと、男でも思います(笑
ただ、実はこの妻もまた結構エキセントリックな人物で、互いの中に自分を見て愛し合っていたのではないかという気がしています。
夫は食べられた終わりの刹那的な桜桃、妻は地味でも無数の命を生むタンポポと、その死生観に大きな違いはあるのですけど。
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> なんかもーダメダメ亭主なんだけど、佐知は全てを超越したところにいるんだよね。
手のひらで遊ばせている感じなのかも知れません。
別に、このダンナのせいで苦労してます、って感じではないんだよね~。
好きで一緒に居るんだから、放っておいて、って雰囲気。
強い女なんだと思いますわ。
ああいう男には、こういう女が側にいれば、甘えながらも
何とか生きていけるんだろうね。
それは太宰の理想だったのかも知れないね。
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なんかもーダメダメ亭主なんだけど、佐知は全てを超越したところにいるんだよね。
なんだろ、自分だけが彼を支えていけるという自負?
アル中の夫やDVの夫を持つ妻に似たものを感じました(汗)
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コメントありがとうです♪
いつもお世話になってます。
私的には「すごく」では無かったかも~。。。^^;
淡々とした映画でした。
時代観や妻の強さを静かに描き出した手腕はさすがでしたね^^
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こんばんは、いつもTBをありがとです。
今作、すごく良かったですね。