本サイトにはプロモーションが含まれています

『イソップの思うツボ』なにこれ

イソップの思うツボ

『イソップの思うツボ』

作品情報

監督・キャスト

監督: 上田慎一郎、中泉裕矢、浅沼直也
キャスト: 石川瑠華、井桁弘恵、紅甘、斉藤陽一郎、藤田健彦、髙橋雄祐、桐生コウジ、川瀬陽太、渡辺真起子、佐伯日菜子

日本公開日

公開: 2019年08月16日

レビュー

☆☆☆

劇場観賞: 2019年8月19日

「カメ止めのスタッフGAーー」…と言われたら当然期待してしまうわけだけれど、期待値に関わらず前半はテンポが悪く後半は気持ち悪い(笑)

あ、レビューのサブタイトル「なにこれ!」は劇中のキャラクターのセリフである。登場人物の一人が「なにこれ」を連発するシーンがあるのだけれど、個人的には見終って「なにこれ」。

あらすじ

“家族”の仲も良く、カメだけが友達の内気な女子大生、亀田美羽。大人気“タレント家族”の娘で、恋愛体質の女子大生、兎草早織。“復讐代行屋父娘”として、その日暮らしの生活を送る戌井小柚。三人の少女が出会う時、最高の奇跡が起こる――。これは、甘く切ない青春映画・・・・ではない!……(Filmarksより引用)

カメ止めギミック

あの「カメラを止めるな」のスタッフが送る……のような宣伝をしているので、その時点で「ああ、また何かギミック仕込まれる作品なんだな」と思い、楽しみに出かけてしまうのである。

監督や脚本家に作品の色があるのは当然のことで、例えば「内田けんじ監督の新作です」と言われれば、また何か騙されちゃうかも、とワクワクし、「古沢良太脚本です」と言われれば毒と笑いとどんでん返しを期待し、「宮藤官九郎作品です」と言われればどんな光と闇が仕込まれているのだろうとウキウキする。

作品の「色」、特徴というものはとても大切なもので、そういう個性が無ければ監督名なんて誰だっていいことになってしまう。

上田監督がギミックに拘って作品を作って行くならば、それはそれで歓迎する。

ただ、今回は上手いと思えなかった。

女の子キャストは魅力的

ヒロインの亀田美羽を演じた石川瑠華さん(酒井若菜さん似)、兎草早織を演じた井桁弘恵さん(内田理央さん似)、そして、紅甘さん=戌井小柚。この3人はとても魅力的だった。

特に、紅甘さんは、目力、すらっとした肢体、しなやかな動き、表情、どこを取っても「美」。
『イソップの思うツボ』

え、内田春菊さんのお嬢さんだったのか……知らなかったわ、うわぁ。

皆さん、これからの活躍が楽しみですね。

井桁弘恵さんは2019年9月から『仮面ライダーゼロワン』パルキリーで出演予定。ますます楽しみ。

行くなら、あまりレビューは検索せずに観に行くといいと思う……

色々とネタバレになるので、観る気があるのならば何のレビューも覗かず行く事をお薦め。

でも個人的には……豪快さも痛快さもなく、モヤっと

モヤっとの内容はネタバレ枠で


以下ネタバレ感想

予測不能でもつまらない事はあるよね

確かに、物語の序盤から後半の展開は予想できない。でも、予測できないことがイコール面白いということではないよね……。

仕掛けありきで物語を作ると、こんなことになってしまうんだな……という例のように感じてしまった今作。

亀田美羽の大学生活描写が胸くそだよ~~

前半イラっとしたのが兎草早織の取り巻きのエゲツなさよ……。

あれは、美羽の母親の優しさを際立たせるためなのだろうけれども、あそこまでしなくてもね……と思うのだった。

あの2人には何の鉄槌も下されないのね。まず、あの2人に復讐してやりたくなった(笑)

亀田家の設定が…

結構、厳しい(笑)

兄ちゃんが大学の先生として潜り込むのも伝手が必要だろうし。父が芸能人のマネージャーになるのにも伝手が必要だろうし(笑)

1千万も銀行から下ろさせてもらえるほどの信用って、すごく時間を掛けて育まれるものなのでは……(とりあえず、銀行、本人が行かなきゃ絶対に1千万なんて出させてくれないし(笑))

富裕層の見学者たちはサイト宣伝だけで集まるものなのか

高額の料金を出して本物の殺人を見物したいなんていう大金持ちの皆さんは、そんなにバカじゃないと思うので、もっとしっかりした信用ある伝手が無ければ集まらないと思うのね。

リアリティを失くす根本が、あの主催者

あんな見るからに怪しそうなチンピラの、あんな少人数の組織では、何をするにも何の信頼も得られず計画倒れになりそう。

『カイジ』だって『LIAR GAME ライアーゲーム』だって、金持ちが高みの見物をするような設定では、主催者もそれなりの大組織で品もありますよね。

脚本の根本が無理。

「モヤっと」の理由

「カメ止め」を観た限りでは上田監督は、「高揚感があって」「仕掛けがあって」「興奮しながら笑顔で劇場を出られる」作品を作る人、という印象だった。

今回は笑えない。笑えないどころか胸くそ悪いってやつになっている。

せっかくのギミックも、「こういう風に回収されたのか。ふーーん……。」で終わってしまう。

この作品がモヤっとするのは、結局何も解決していないからだ。

亀田家は誘拐計画を立てて人を監禁してしまったのだから、すでに犯罪者家族。いくら借金取りが死んでしまったといっても、父の借金は残っている。生活が元に戻っても、息子と娘がこの計画のために体を売った事実は消せない。笑えない。

兎草家は復讐されたような形になっているけれども、そもそも、どんな悪い形だとしても、両親が早織を救うために治療の順番を変えた事は事実であり、娘に対する愛だけはある。

小学生じゃあるまいし、パパとママが浮気していたくらいで親子関係が崩れるとは思えず、ヤクザの作った脚本が甘い(笑)

戌井家は、いくら1千万手に入れたって言っても、待って、その金、あんたらのもんじゃないし。(どっちかって言うと、何もかも失くしている亀田家にやってくれないか)

どんなに金を手に入れようが、父が近藤を殺してしまった事実は消えない。

こうなったら、亀田家と戌井家は、まず自首して。
そこから出直してくれ。

……ということにならないで済むために。

この案件は全て、悪徳な金持ち層から金を巻き上げるために近藤が作った芝居でした。

カメラを全て壊して、観客から見えないようにし、近藤も実は撃たれていなかった。亀田家の母も生きている。撤収ーー……。

で、良かった気がする。

だって、どうせリアリティないのだから、そっちの方が楽しい(笑)

◆トラックバック先
・象のロケット
★前田有一の超映画批評★
◆Seesaaのトラックバック機能終了に伴い、トラックバックの受け付けは終了させていただきました。(今後のTBについて)

comment

タイトルとURLをコピーしました