パラレルワールド・ラブストーリー
作品情報
監督・キャスト
監督: 森義隆
キャスト: 玉森裕太、吉岡里帆、染谷将太、筒井道隆、美村里江、清水尋也、水間ロン、石田ニコル、田口トモロヲ
日本公開日
公開: 2019年05月31日
レビュー
☆☆☆
劇場観賞: 2019年6月5日
玉森くんに暗い空気感はとても合っている(誉めています)。
ネタバレしてはならないポイントはあるにはあるれども、基本、このタイトルでほぼネタバレよね。
そして現実的に、この設定だと色々無理じゃない?と思えるモヤモヤポイントが点在するのも、いつもの東野圭吾サイエンス系フィクション。
あらすじ
研究者の崇史(玉森裕太)は、親友の智彦(染谷将太)に恋人を紹介される。その女性・麻由子(吉岡里帆)は、崇史が以前、密かに想いを寄せていた人だった。嫉妬に苦しむ崇史。ところがある朝に目を覚ますと、麻由子は自分の恋人になっていて、智彦は消えていた…。彼女は本当に自分の恋人なのか?それとも、親友の恋人なのか?2つの世界に迷い込んだ崇史がたどりつく、隠された真実とは……(Filmarksより引用)
そも「パラレルワールド」とは
パラレルワールド(parallel world)とは、ある世界(時空)から分岐し、それに並行して存在する別の世界(時空)を指す。並行世界、並行宇宙、並行時空ともいう。「異世界(異界)」、「魔界」、「四次元世界」などとは違い、パラレルワールドは我々の宇宙と同一の次元を持つ。
と、Wikipediaには記されている。
SFではよく使われる平行世界で、「もしも」という願望が描かれたりするので切ない作品になる事が多い。
「タイトルがネタバレしている」と前文に書いたけれども、正確にはこの物語は「パラレルワールド」とは違う性質の物のような気もする。もっと、人為的にねじまがった物。
東野圭吾原作の科学系映画
世界が行ったり来たりする様に、「何が起きているのか?これからどうなるのか?」と考える楽しみはある。だから面白くはあるのだけれど…。
原作未読なので、これが原作由来なのかよく分からないが、
「どうしてもこうしなくてはならないのか?」「これはどうなっているのか?」
戸惑いモヤる場面が多い。
とあるシーンでは、あ、またケーブルの束みたいなの出た……と思ってしまった(すいません、これはネタバレ(笑))
けれども、映像表現的には面白かった。役者さんの演技に大袈裟な部分が無いのが良かったのか、淡々とした日常の中に違和感のある様子が窺えた。
ラブストーリーだけどミステリー
タイトルは「ラブストーリー」だけれども、ラブラブした話ではないので、ラブストーリーが苦手な方でもその点は大丈夫。な、はず。
むしろ、別の意味でドロドロしていてイライラするかも(笑)
人間の心が弱く、闇につけ込まれると間違える……これも、東野圭吾作品らしさ。
ネタバレできないので、とりあえずこんなところで。後は下記ネタバレ欄で。
以下ネタバレ感想
「パラレルワールド」というのは前述したように平行した別の世界がある……ということだから、この場合は「パラレル」と呼べるのかどうかよく分らない。過去を消したら「あったはずの過去が消える」だけの話で、過去のない「今」が存在するだけじゃないだろうか。
……という話は置いておいて。
「人為的に記憶喪失にする」このプロジェクトは、恐らく大事故や大災害などでPTSDを負った人を救うための物なのだと思う。(学会でそういう研究をしている話は出ていたと思った)
それを個人の失恋の記憶を消すために使ってしまうというのは、科学者としてどうなんだ。
(そして、篠崎はどうなったんだ……)
タカシは自分がトモヒコの上に居なければ気が済まない負けず嫌いで。
麻由子は流されやすく意志が弱い。
トモヒコは自分勝手。
主要人物、誰も共感も同情もできない。
けれども、気持ちは分らなくはない。人間の闇の部分を切り取って痛く痛く描く、その辺は東野圭吾らしさ。
ラストの決断もね、別に再会の記憶を消す必要性がないと思うの。
2人とも過去を記憶したまま、前へ進めば良いだけの話。普通の人間はみんなそうしている。
好きなシーンがある。
山手線と京浜東北線。二つの車両が平行に走り、二つの窓越しに目が合って目を伏せる……この初々しさ。
恋ってこういうものだよね。
この記憶だけは残しておきたかった、その気持ちはズンと来た。
不思議なのは、あの後の記憶を2人だけ消したってさ……同棲までしていた2人のことを知っている人はきっとたくさんいるでしょう。(同じラボで実験していた景子さん(美村里江)の記憶なんかはどうコントロールしているのだろうか)
そして、麻由子は記憶を消した後、あの会社からも消えたのだろうか。
他の友達とか親とか兄弟とか……そういう人たちの記憶はどうなっているのか知りたい。
2人の記憶だけパラレルワールド化しても、周りが覚えていたら、それはただの記憶喪失である。
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