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【ブタがいた教室】答えのない教室

ブタがいた教室

   

監督: 前田哲
キャスト:  妻夫木聡、原田美枝子、大杉漣、田畑智子、戸田菜穂、池田成志、ピエール瀧、清水ゆみ、近藤良平、甘利はるな、池田彩由佳、石井千也、鵜木伸哉、大倉裕真、柚りし菓、金子海音、柿澤司、斉藤みのり、影山樹生弥、櫻木麻衣羅、樺澤力也、北村匠海、夏居瑠奈、松原菜野花、中村絵梨香
公開: 2008年11月1日

2008年11月26日 劇場観賞

泣いた。。。

何かに感動したとかいうよりも、子供達の直向きな涙にスッカリ取り込まれてしまった。

1990年、実際に大阪で行われた体験を元に映画化された作品。

6年2組の担任・星先生が、ある日教室に子豚を連れてきた。
「大きくなったら食べる」という前提で、6年2組26人、みんなでブタを育てる事にしたのだ。みんなで「Pちゃん」と名付け、小屋作りから掃除、エサの世話などする内に「Pちゃん」は家畜というよりもペットとして愛しみ育てられるようになった。

やがて卒業の時を控え、みんなの中にPちゃんをどうするか、という問題が起きる。
最初の目的通り、Pちゃんを「食べる」か「食べないか」。

映画の撮影に当たり、子役たちは議論のシーンで台本を与えられず、結末も教えて貰えなかったという。

台本のないディスカッション。
まるでドキュメントのように言い争い、涙し、同じ議論を繰り返す。

自分の頭で考え、自分の言葉で発言する子役たちの生の声が心を打つ。

こういう映画を映画館の大きなスクリーンでわざわざ見る価値があるのか、と言われるとハッキリ言って「ない」かも知れない。

でも、子供と子供の教育に関わる人には、ぜひ見て貰いたいと思う作品だった。

映画に答えはない。

だから、この映画が「食育」に役立つかと言えばそれは見る人による、としか言えない。

私がこの映画を見て素晴らしいと感じたのは「食育」よりも「自分で考える力」だ。

現代の学校で、または家庭で、こういう教育はされているだろうか。大人がお膳立てした危なくない道を何となく歩いていく子供達。彼らに不足しているのは「考える力」だ。

この映画を見たら、子供は一緒に考えて欲しい。そして、大人は子供を見直して欲しい。

一生懸命、答えを導き出そうとする子供達と無理に道をしめさず、子供達を見守る先生の姿を見たら、何かしら心に残るものはあるはず。

ぜひ、親子で見ていただきたい一本です。

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 

    


「Pちゃんだけ食べられないのは不公平」
「Pちゃんが可哀想です」

台本がないだけあって、子供達の発言が本当に子供らしくて微笑ましい。

「命の長さは誰が決めるんですか」

という、ハッとするような言葉が出てきた後には、また同じ議論が。。。

子供って、こういう物でしょう。

Pちゃんが、また良い具合に愛らしいので、とても食べる気にならないのがよく解る。

この映画の最後は、たぶん賛否両論だろう。「食育」をテーマにしているんだから、あそこまでやったら食べる所までやれ、という人もいるかも知れない。

でも、私はこれで良かったと思うのだ。

上でも書いたように、この映画のテーマは「考えること」だと思ったから。

彼らは、充分考え、充分話し合い、決断し、そしてお別れした。

だから、これで充分なのである。

こうやって考えた上は、彼らの中に必ず「食育」は育っており、今後の人生で 何かにつけてPちゃんを思い出し、食べ物に対する感謝を忘れる事はないと思う。

この授業に対しては、思い切った事したなぁ、という驚きは隠せない。たぶん、今の時代だったらモンスターペアレントが出てきて、即行アウトだろう。

でも、こういう授業を受けた子供は恵まれていると思うわ。。。こんな体験は、なかなかできるモンじゃないから。

私は、この映画を見に行って良かったな、と思ってる。子供の議論を見ている内に、自分だったらどっち側にいるだろう、と考えたり、みんなと一緒に 泣けて来ちゃったり。。。

ちょっと小学生に戻ったような気持ちになれた。

たぶん、妻夫木くんが出ると聞かなければ行かなかった気がするので。。。 今は、妻夫木くんに感謝である。。>

 

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★前田有一の超映画批評★

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奈可久う子(くう)

◆ドラマ・映画 エンタメ系ライター&ブロガー。◆ハウツーサイトやリクルート・キュレーションサイトなどで映画紹介のライターしておりました。(お仕事はいつでも有り難くお受けします)

◆映画の評点はあくまでも私感です。(平均が2.5で1と5は滅多に付けていません)

◆戦争とホロコーストテーマの作品観賞がライフワーク。

◆レビューは上半部はネタバレなし感想、下部は観了した方と感想を共有できるように書いています。(古い記事は簡単感想です。時間のある時にリライトしています)

◆姉妹ブログ「ドラマ@見とり八段」

comment

  1. のの雪 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ほんまに良かったわ~♪
    子供たちの真剣な姿がすばらしい!!
    結論って考えても考えても出ないときってある。。
    それでも一生懸命考える。。
    最後。。Pちゃんを見送るとき。。
    ふと。。「ドナドナ」を思い出した。。

  2. くう より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    遅レスですいません(>_<;)
    「考える」事が一番のテーマだったかな、と思いました。
    良い授業ですよね。
    あの子達は恵まれていると思います(^^)
    >妻夫木くん、ウォーターボーイズから大人になりましたね♪
    ほんと。。。
    良い役者になりましたね~。
    来年は大河の主演も楽しみです♪

  3. くう より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ちょ~遅レスですいません。。。
    >ネタばれ感想、全く同感です。私も、大人の導き出した答えに沿わないラストでも、
    子供たちのリアルな答えだったし、
    1年間”見守ること”に徹した先生は凄いです。
    ありがとうございます(^^)
    子供が自分の頭で、たくさん考えることが必要なんですよね。
    今の教育現場で、一番必要な事だと思います。
    でも、保護者がうるさくて、こんな授業はできないんだろうな~。。。
    せめて、この映画を教室で見せてやって欲しいです。

  4. くう より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >正直物語としてはどう評価して良いかわからないのですけど、一本の教育映画としては貴重な作品じゃないかと思います。
    私もそう思いました。
    ストーリーが巧妙とか、素晴らしいと言うのではなく、
    ただ子供と共にそこにいるような臨場感がありました。
    そして、つい涙しちゃうんですよね。。。
    子供って純粋だなぁ。
    そして、こんな考えさせる教育は良いなぁ、と思えました(^^)

  5. junf より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    こんにちは。
    遅くなりましたが、やっと「ブタ」見てきました。
    私も、くぅさんと同じく、「考えること」をすごく考えさせられました。
    妻夫木くん、ウォーターボーイズから大人になりましたね♪

  6. kira より:

    SECRET: 0
    PASS: f599d5667952c195d6c8180a0717deba
    TB、ありがとうございました♪
    大人も教師も、教育、子育ての原点に立ち返って
    こどもとの接し方を考えてみるきっかけになるテーマであり
    教材になり得る作品だと思いました。
    ネタばれ感想、全く同感です。私も、大人の導き出した答えに沿わないラストでも、
    子供たちのリアルな答えだったし、
    1年間”見守ること”に徹した先生は凄いです。

  7. ノラネコ より:

    SECRET: 0
    PASS: 1d227402d343f1e66ff53a303d6697f6
    物語に感動したというよりは、自分もあの教室の一員として議論し、自然に涙が出てきたという感じですよね。
    これはそれだけの臨場感のある作品だったと思います。
    正直物語としてはどう評価して良いかわからないのですけど、一本の教育映画としては貴重な作品じゃないかと思います。
    観てよかったです。

  8. くう より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >ドキュメンタリー番組にしてしまうと、多分観客は終始「他人事」として見てしまうと思うからです
    うん。確かにそうですね~。
    映画館で観た事で、あの討論シーンも自分も
    巻き込まれたような気持ちになれましたものね。
    自分も教室の一員になったような臨場感は
    映画でなければ味わえない物かもしれませんね。
    できたら、学校や公民館のような所でも公開して、
    たくさんの子供に見てほしいと思います。

  9. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    この話をわざわざ映画化する必要があったのか?という意見もあるそうですが、私は映画化したことに間違いはないと思いました。
    というのもドキュメンタリー番組にしてしまうと、多分観客は終始「他人事」として見てしまうと思うからです。
    自分ならどういう答えを出すだろうと考えさせることまで考えると、映画化は正しい選択だったと思います。

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