永遠のこどもたち
原題 : ~EL ORFANATO~
作品情報
監督・キャスト
監督: フアン・アントニオ・バヨナ
出演: ベレン・ルエダ、ジェラルディン・チャップリン、フェルナンド・カヨ
日本公開日
公開: 2008年12月
レビュー
☆☆☆☆☆
劇場観賞: 2010年2月19日
作品から溢れ出るのは恐怖よりも切なさ・・・
あらすじ
『パンズ・ラビリンス』のギレルモ・デル・トロ製作、『海を飛ぶ夢』のベレン・ルエダ主演で描いたダークファンタジー。孤児院を再建するため、ラウラは家族と孤児院に移り住むが、ある日息子が姿を消し…。永遠のこどもたち [DVD](Amazon)より引用
ギレルモ・デル・トロ総指揮
ジャンルがホラーだと知っていたら、たぶん劇場鑑賞していたと思う。
「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロ総指揮作品。
ホラーというには、あまりにも上質。
音で驚くシーンはあるが、おどろおどろしいシーンはほとんどない。
音にも大きな意味がある。
ただ観客を驚かせる事だけが目的なわけではない。
全てのシーンが綿密に組み立てられた物語。
ホラーというよりもサスペンスを見ているようだった。
突然いなくなった我が子を探す母親の深い深い愛情。
その痛々しさは祈る気持ちで見守るしかないほど。
やがて、徐々に近付いていく自分自身の過去が、彼女を「宝探し」へと誘う。
コイン、白い貝殻、アイスクリームの袋…
かつて、シモンとやった「宝さがし」そのままに、足跡を辿っていく。
そして迎える結末・・・
それは涙せずに見る事は出来なかった。
静かで切なくて、意外性があって、衝撃的。
そして、母の愛。
何となく「アザーズ」を思い出した。
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
以下ネタバレ感想
「だるまさんがころんだ」は、日本だけの遊びではないんだね。
その冒頭の遊びのシーンも、物語の伏線。
シモンを探す遊びの果てに出てきたのは懐かしい変わり果てた自分の友達。
虐められていた少年も切ない。
その母の気持ちも切ない。
そして、その母の手によって大人になれなかった5人の子供たち。
早く施設を出たラウラだけが、友達がなぜ死んだのか知らなかった。
孤独な少年と大人になれなかった少年は、洞窟で出会ってしまった。
もしも、ラウラがあの屋敷を買い取らなければ、この悲劇は起きなかったのだろうか。
いや、そもそもこれは悲劇なのだろうか。
ラウラがあの屋敷を買い取ったから救われた魂がある。
…とも言えるのだから。
子ども達の笑い声と光差す暗闇の部屋。
ラウラは、自ら「永遠の子どもたち」になる事を選んだ。
そのラストは、なぜかハッピーエンドにさえ感じられ、
なのに涙が溢れる。
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comment
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>日本の配給や宣伝サイドが、
>『だるまさんが転んだ』みたいな映像で
>ホラー色を払拭しようとしたようです。
私は、この映画の予告にまるっきり記憶がないんです~(>_<)
通っている所では上映が無かったのかも。
私はsannkenekoさんとは逆でホラーだったら
探し出して見に行っていたと思います[絵文字:i-229]
でも、結果的に見て良かったのは同じ^^
>大人になれなかった魂が呼び寄せたのだと思います。
>自分たちの遊び仲間のラウラを。
>病気で(多分)大人にはなれなかったであろうシモンを。
そうかも知れませんね。
最初から仕組まれていた(と言ったら変だけど^^;)のでしょう。
あの洞窟へシモンを誘った事も。。。
>イタダケナイ邦題が多い中、
>これはぴったりしっくり来るタイトルでした。
原題よりもセンスがあるくらい^^;
タイトルだけでも興味引きますもん。
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>ホラーの形を取り、サスペンスフルに展開するけれども、主題は母であり、子供であったお話だと思います。
そうなんですよね。ただのホラーではないんです。
だから心に残るんですよね。
展開の意外性にはドキドキする部分もあり、見入ってしまいましたが
見終わってからの印象は、ただ切ないです。
>母の立場で観たなら、やはりこれでいいんだと思ってしまう閉じ方でしたよね。
哀しい選択ですよね。。。
私は、あんな風にできるかどうか解りません。
ラウラは大きな愛がある人でした[絵文字:i-241]
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>まさにラウラは「ピーターパン」のウェンディでしたよね。
>母の愛の深さを感じる映画でしたよ。
1人だけ大人になっちゃった少女でしたね。
それでもみんなが受け入れているところ、ラウラ自身も
とても幸せそうだった所に涙でした[絵文字:i-241]
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>心のどこかに、それじゃご主人はどうなるの?なんて思いもありつつ、
あ~。。。それ、私は逆の方で~。。。
1人で出て行っちゃうご主人を見て、
えっ、本当に出てくの?何で一緒にいてやらないの?
と思っちゃって~。
私の中ではあの時点でご主人への気持ちは冷めてしまったのでした[絵文字:i-229]
>そうすることで一緒に過ごしながら大人になることが出来なかった仲間たちの魂も安息を迎えられる…。なんとも哀しいです。。。
ある意味、自己犠牲なんですよね。
子供の魂を救うため、友達みんなの魂を救うため。
美しいけれども哀しい話です[絵文字:i-241]
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日本の配給や宣伝サイドが、
『だるまさんが転んだ』みたいな映像で
ホラー色を払拭しようとしたようです。
実際私はホラーならパスしていたと思うので、
結果的には良かったんですが。
>全てのシーンが綿密に組み立てられた物語。
>ホラーと言うよりもサスペンスを見ているようだった。
いなくなった我が子を探し回る母と、
・・・もう一人の母。
>もしも、ラウラがあの屋敷を買い取らなければ
この悲劇は起きなかったのだろうか。
>ラウラがあの屋敷を買い取ったから
救われた魂がある。
大人になれなかった魂が呼び寄せたのだと思います。
自分たちの遊び仲間のラウラを。
病気で(多分)大人にはなれなかったであろうシモンを。
『パンズ・ラビリンス』同様、
キリスト教の生死観が見え隠れする作品でした。
イタダケナイ邦題が多い中、
これはぴったりしっくり来るタイトルでした。
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こんばんは。
最初っから最後まで、ぞわぞわと次々に沸いてくる怖気に震われながら観た作品でした。
ホラーの形を取り、サスペンスフルに展開するけれども、主題は母であり、子供であったお話だと思います。
『パンズ・ラビリンス』といい、この作品といい、
人によってラストをどう観るかで感想が違ったものになるでしょうけれど、
母の立場で観たなら、やはりこれでいいんだと思ってしまう閉じ方でしたよね。
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まさにラウラは「ピーターパン」のウェンディでしたよね。
母の愛の深さを感じる映画でしたよ。
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観ていて正直解らなかったんですよね。
シモンの魂に寄り添うことを選んだラウラ。心のどこかに、それじゃご主人はどうなるの?なんて思いもありつつ、でもシオンだけでなく、そうすることで一緒に過ごしながら大人になることが出来なかった仲間たちの魂も安息を迎えられる…。なんとも哀しいです。。。