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『白雪姫と鏡の女王』ターセム・シンと石岡瑛子のラストコラボ

白雪姫と鏡の女王

原題 : ~ MIRROR,MIRROR ~

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作品情報

監督・キャスト

監督: ターセム・シン
キャスト: ジュリア・ロバーツ、リリー・コリンズ、アーミー・ハマー、ネイサン・レイン、ショーン・ビーン、メア・ウィニンガム、マイケル・ラーナー、ロバート・エムズ、ジョーダン・プレンティス、マーク・ポヴィネッリ、ジョー・ノッフォ、ダニー・ウッドバーン、セバスチャン・サラセーノ、マーティン・クレバ、ロナルド・リー・クラーク

日本公開日

公開: 2012年9月14日

レビュー

☆☆☆☆
2012年10月1日。劇場観賞。

衣装デザイナー石岡瑛子の遺作

始めは変なテンションで見ていた気がする。
とにかく、石岡瑛子さんとターセム監督が組んだ最後の作品なのだから、その美しさを何一つ見落としてはいけないと思って…。

「落下の王国」を熱愛する身としては、「これが最後」と思うと楽しい映画だと解っていながら始まった時から泣きそうになってしまう。

1月に石岡さんが亡くなった時点で遺作は「MIRROR,MIRROR」という作品だと知り、日本公開をずっと心待ちにしていたのである。

ターセム監督が今まで撮った4本の映画の全ての衣装担当をされてきた石岡さん。これからターセム作品はどうなってしまうのだろう…などと、ちょっと憂いが入った視線で見始めたのだけど…

何て事はなく、あっという間にストーリーの楽しさに引き込まれていった。

絵本からそのまま立体になって出てきたような美しい世界。
…に反して、女王のユーモラスな毒・毒・毒。

物語はグリム童話の「白雪姫」を「バカにしてんのかいっ!?」とツッコみたくなるような、まぁ、パロディだわ。

童話そのままの衣装に身を包んだ登場人物の口から出る言葉は、とっても現代的。
そのギャップに何回も笑いが起きる。

肝心の姫の衣装の方は、物語初めのピンクの可愛らしい衣装からスポーティな濃青のドレスまで後に行くほど石岡さんらしいラインが現れる。
一番最初に「これぞ石岡さんのライン!」と感じたのがこれ。
ドレスでも何でもなく、足……。

真っ白な雪の中に影のようにハッキリ浮かび上がる黒い菱形幾何学模様の連続で出来た足…。
こんな所で見つけるなんて可笑しい。
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「ミラー、ミラー」から入っていく鏡の中の濃灰の風景に浮かび上がる女王の黄色いドレス。そのコントラストの美しさに何度も見とれる。大好きなシーン。

丸く広がるスカートがコマのように回るダンスシーンは「落下の王国」を思い出す。

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役者さんもすっかり世界観にハマって魅力的。
白雪姫のリリー・コリンズは、あのフィル・コリンズのお嬢さんなんですと
お顔にはあまり面影も感じられないけれども、その音楽的才能はラストにたっぷりと見せていただける。

ジュリア・ロバーツのワガママ意地悪女王は、面白すぎて憎む気になれない。

そして、王子・アーミー・ハマー
「ソーシャル・ネットワーク」では、誰、このイケメン双子!(←双子ではありません)と驚かされ、「J・エドガー」では、爺さんの演技、絶対にディカプリオより上だ…、と感心させられ、ここではちょっと…いや 、かなりダメな王子を好演。

み~んなぶっ飛んでいて面白かった!!

こんな楽しい世界を作り上げたのが最後のお仕事。石岡さんの遺作がこれで本当に良かった。
また、大好きな映画が1つ増えた。

【関連記事】
・【NHK プロフェッショナル 仕事の流儀 デザイナー・石岡瑛子】追悼・アカデミー賞を受賞した日本人デザイナー
・ディズニー映画だけじゃない!童話ベースの実写映画まとめ

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 

以下ネタバレ感想


幼児用の「白雪姫」では、王子さまのキスで姫は目覚め、末永く幸せに暮らしました。めでたしめでたし。
…だけれども、実際の「白雪姫」では、白雪夫妻は結婚披露宴に女王を招待し、焼けた鉄の靴を履かせて踊り狂わせながら殺してしまうのだから…
おとぎ話は結構残酷なのである。

世界一美しくあるというのは、それくらい大変な事なのだ。

この映画では毒りんごは食べなかった白雪姫だけど、それを女王に奉げて殺してしまうところは原作と同じ。

負けを認めるのは大切な事…ですよね?

毒りんごをナイフで切って返す白雪姫の表情が恐い……。

これだけユーモラスな作品にしても、物語の本質は変わらないんだよね。
もちろん、小人さんたちの献身とか、優しさとか、そういう部分もあるけれど…

本質は女の美への執着と、イジメに対する復讐と。

この女王は意地悪っぷりがユーモラスでちょっと可愛かっただけに、老婆になった上に命まで取られるシーンはショック。

しかし、直後、物語は「ほーら、悪者はやっつけたよー。踊ろ踊ろ」とばかりに後味の悪さを消し去ってしまう。

この転換の早さがまさしく童話なんだな。実際、グリム童話ってこんな怖いのばかりだから。
そんな所まで見事に実写再現しているな、と思った。

どこを取っても満足できる美しい童話だった。

・「白雪姫と鏡の女王」公式サイト

 

 

 


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