ツナグ
監督: 平川雄一朗
出演: 松坂桃李、樹木希林、佐藤隆太、桐谷美玲、橋本愛、大野いと、遠藤憲一、別所哲也、本上まなみ、浅田美代子、八千草薫、仲代達矢
公開: 2012年10月6日
2012年10月11日。劇場観賞。
予告映像では、いかにも「泣かせよう」という雰囲気だったので、少し躊躇していた。
「サトラレ」や「イキガミ」などの過去作品も連想してしまったし…。
しかし、観に行ってみたら自然と泣かされる映画でした。堅実に丁寧に作られた優しい作品になっていた。
「ツナグ」は世襲制らしい。後を継ぐのは普通の人間。
普通の高校生である歩美が祖母からこの「仕事」を引き継ぐ準備のための3つのエピソードからストーリーは出来ている。
それぞれに亡くなった人への特別な思いを抱える3人の事情が切ない。
自分は身の回りで亡くなった人は、まだ祖父母くらいしかいない。
呼びだしてまで会いたい人も伝えたい思いもない。
でも、この人たちの気持ちは痛いほど伝わってきた。
特に、親子を描いた最初のエピソードは短いながらも秀逸で涙が止まらなかった。
(個人的には他のエピソードは長かったかなぁ…という気もする。もっと短くして1エピソード増やしてもいいのでは…など)
こっち側の人間が会いたいと思っているように、向こう側の人も会いたいと願っている。
会う事で、残された人たちが明日に向かって歩む事が出来るから。
映像も優しく、面会が行われる古いホテルは神秘的。
役者さんも、皆さん素晴らしかった。
特にお知らせしたい事といえば……
橋本愛さんと大野いとさんのファンは必見です!
たぶん、今までのどの作品よりも、2人とも可愛い!
大野いとさんは、特に…演技は相変わらずちょっとホラーっぽいんだけど(いや、そして、現実にそういう事になるんだけど)、顔付きが他のドラマや映画で見たのと全く違う!メイクのせいなのかな。
でも、ナイフは持たせちゃいけないと思った…
「告白」から、もうあらゆる映画に出っ放しな感じだけど、見るたびに演技が上手くなる橋本愛さん。ビー玉みたいな大きくて美しい目に惹きつけられる。
とてもリアルな日常生活の中にポッと入り込む不思議な存在「ツナグ」。
会えなくなった人を思い出す機会を与えてくれる優しい作品です。
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
ツッコミ所は色々あったにはあったんだけど……。
いや、あんたたちだけが通る道じゃないし、そこ凍らせちゃダメだろ、とか。
自分が殺したかも知れないと思ったから会って確かめるために依頼した「ツナグ」。
せっかく会ったのに…親友と本音で話す事は出来なかった。たった1回の機会だったのに。
「道は凍ってなかったよ」
親友は何もかも解っていた。
衝撃でただ泣き伏す事しかできない。
それでも、少女は親友の代わりに舞台に立つ。
それは供養なのか、後悔を踏み越えて強く生きるためなのか。
亡くなった人と生きている人を会わせることが、必ず幸せに繋がるとは限らないと、歩美が知ってしまった瞬間。
生きていれば色々あるわよ。
、祖母はいう。
それでも、後を継ぐんだね。
死者に会う事で前を向いて生きていく人たちのために。
両親が亡くなった理由は「ツナグ」の宿命。
鏡こえぇぇぇ、と思いつつも…
個人的には思わず指さして叫びそうになるほどツボにハマった鏡…
銅鏡じゃないかーーー!!♥
三角縁神獣鏡だったら卑弥呼の鏡ですよ!(言い伝えだけど)
もっと普通の鏡が出て来るのかと思ったら、これかーー!
(いや、個人的な趣味です )
モノローグでの説明が多すぎるかなぁ…などと色々思いつつも、そんなこんなで色々と萌え所もあって、最後まで楽しく見れました。
人は死んだら何処へ行くんだろう……。
呼びだしてもらって嬉しかったという工務店のご主人のお母さん。
それは「思い出してほしい」という事だよね。
亡くなった人とは会えない。それは当たり前の事。
でも、思い出せばいつでも会える。
頬を包む母の優しい手。この人は、きっと忘れない。
そして思い出すたびに、ツナグに会わせてもらったこの日の事を思い出すのだろう。
大きな大人が子どもに戻った日。
最初のこのエピソードが一番好きだ。
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・ツナグ@ぴあ映画生活トラックバック
・象のロケット
★前田有一の超映画批評★
TB:「映画@見取り八段 トラックバックセンター」http://todays-cinema.seesaa.net
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