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『神の左手 悪魔の右手』我が左の手は、正しき者を蘇らせる神の左手…

神の左手 悪魔の右手

監督: 金子修介

出演: 渋谷飛鳥、田口トモロヲ、かでなれおん、根岸季衣、小林翼、清水萌々子、前田愛、紗綾、今井春奈、山本奈津子、小木茂光、菅原大吉、松金よね子、楳図かずお
公開: 2006年7月22日

      

2012年10月29日。CSチャンネルnecoにて観賞。

最近、ジャパニーズホラーは劇場観賞もDVDもハズレだらけなので…
とにかく、気になる物は片っ端から見てみようと思っている所に出会った片っ端の1作。

原作は1986年から「ビッグコミックスピリッツ」に掲載された楳図かずお氏の漫画。
作中にはご本人も登場されています。

当方は原作未読なので、原作への思い入れは有りません。
その上での映画に対する評価なのでご了承を。

表現はスプラッタで、映像には面白い所もあるものの、何せチープ
きっととても予算が少ないんだね…と涙誘う「もろにマネキンだと解るご遺体」に、「蝋人形の館」をふと思い出す…。

ただ…
どこまで夢でどこから現実だか解らないので、全部夢だったんだと思えばマネキンでもいいのかも…。←いいのか。

そして、最強~に興を削ぐのはモモちゃん役の子役さんの演技である…。

いや、えっと…役者さんの演技というものは演出で何とかなる部分が大きいので…チープな部分含めて演出が悪いのだ。うん。(でも、演技指導くらいはつけるよね、普通…)

しかし、最近見たひどいJホラーたちと比べるとそう悪くなかった。
いや、良かった…と言っても良いと思うの。お陰様で最近ハードルも下がって来たしね…。

少なくとも「貞子3D」よりは数倍良いわ。

ただお化け屋敷的に驚かせるだけではなく、ちゃんとストーリーがあるもの。
ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!と、叫んだシーンもあったしね。

まぁ…それら「良かった部分」の功労賞は全て田口トモロヲさんに奉げます。

すごいわ・・・トモロヲさん。
私、当分はテレビで見ても「そんな人」にしか見えないわ、きっと。

たぶん、映画やドラマという物には見ている人の脳内補填で思い入れが出来る物もあるわけで、田口トモロウさんの演技にはその脳内補填を起こさせるだけの力があった。

実際にこの作品にストーリーらしいストーリーがあるのかどうかは実は解らない。
けれども、少なくとも私はこの父親の悲しさと痛みがちょっと理解できたよ。

それは、全てトモロヲさんの演技が作り出したものだった。

ほんと…役者さんって偉大だ!!

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 

    


恐らく、男手ひとつで身体が不自由な娘を育てるのはとても大変で…。
そういう負担に押しつぶされて父はこんなになってしまったのだろう、と私は思った。

白い家に少女を連れ込んでは猟奇的手段で殺害し、それをそのまま絵本にしてモモちゃんに語っていた久保田。

まだわからないのか!
絵本に出てくる女の子たちは全部お前なんだよぉぉぉ!

には、恐怖と同時に悲しさも感じた。

夢でモモちゃんを見つけ出し救い出すためには、まず、姉であるイズミを引き込まなければならなかった…という事か…ソウくん、ひどい。
イズミ、2回も死んだじゃん。

「我が左の手は、正しき者を蘇らせる神の左手。我が右の手は、悪しき者を滅ぼす悪魔の右手。」

右手を回せば悪しき者が消え、左手を回せばみんな戻ってくると…。
うん…。最初から、ソウくんがここに右手を回しに行けば簡単に解決した気がする~。

しかし、ラストでは家はオモチャくらい小さくなり、パパは絵本の中の人だった。

これは、父親に閉じ込められていた娘が親から巣立つという精神的な面を語っているただの夢だったのだ…。
と、解釈してもよろしいのでしょうか……。

久保田が首に拘るのには何か意味があるのか、とか、モモちゃんが突然クララのように立ち上がったのには意味があるのか…とか、色々と考えた。

え、そこまで難しく考えなくてもいい
そういう映画じゃないって…。うん。そうかも。

でもまぁ…考えさせるだけの余地があるって事は、そこそこ良かったと言ってもいい…ですよね。
たぶん。

 

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★前田有一の超映画批評★

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奈可久う子(くう)

◆ドラマ・映画 エンタメ系ライター&ブロガー。◆ハウツーサイトやリクルート・キュレーションサイトなどで映画紹介のライターしておりました。(お仕事はいつでも有り難くお受けします)

◆映画の評点はあくまでも私感です。(平均が2.5で1と5は滅多に付けていません)

◆戦争とホロコーストテーマの作品観賞がライフワーク。

◆レビューは上半部はネタバレなし感想、下部は観了した方と感想を共有できるように書いています。(古い記事は簡単感想です。時間のある時にリライトしています)

◆姉妹ブログ「ドラマ@見とり八段」

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