青天の霹靂
監督: 劇団ひとり
キャスト: 大泉洋、柴咲コウ、劇団ひとり、笹野高史、風間杜夫、柄本佑、入江雅人、前野朋哉、黒田大輔、中村育二、今井隆文、小村裕次郎、諌山幸治、ヤマザキモータース、稲川実代子、須田琉雅
公開: 2014年5月24日
2014年5月28日。劇場観賞
原作は劇団ひとり氏の同名小説。
39歳で泣かず飛ばずのマジシャン・轟晴夫は、何の目標も希望もなく20年近くマジックバーで働いている。
パッとしない生活の中、警察からかかってきた1本の電話は20年以上も音沙汰のない行方不明の父親の死を伝えるものだった。
テレビCМも含めて予告で散々宣伝されているので言っちゃいますが、タイムスリップものである。
タイムスリップして自分の親に会う邦画…といったら『地下鉄〈メトロ〉に乗って』を思い出した。
あれも主人公と父親には確執があった。
ですよね…仲の良い親に時間遡って会いに行ったからって別に何の物語が生まれるわけでもないし。
神様もその辺はちゃんと考えてタイムトラベルさせてくれているという事で…。
「すごく泣ける!!!」と聞いて、自分的にはちょっと引き算目線で観に行った。
「泣ける」と聞いて泣けなかったら人間として虚しいし~(←実際、そういう事が多いし、自分 )
劇団ひとりさんにとっては映画初監督。映画原作としては『陰日向に咲く』に続く2作目の今作。
経験値から考えたらあまり大きな期待はしてはいけない気がしていた。
結果、普通~にいい映画だった。
号泣することはなかったけれども、ウルウルっとはした。
正直、ストーリーとしては創作ものでは有り触れた筋なのでベタで何の意外性もないけれども、そこは達者な役者さんたちの演技と映像で見せる力で充分に補えていたと思う。
絵力。そこが一番凄いなと思ったところ。
いや…ついこの前、他の方の初監督映画を観てガックリ感を味わったばかりだったので、それで引き算目線になっちゃっていたところもあって。
これが同じ日に公開された監督デビュー作対決だと考えたら、もう…こちらの方が圧倒的な勝利だと思うのだった。
赤みがかったステージのライト。提灯、看板。夜の浅草なんて行った事ないのだけれども、なぜか懐かしく感じる。時代ものには「らしさ」があるって大切な事。
河川敷の映像も空の美しさも印象に残る。
役者さんは、大泉洋ちゃんのマジックが本当に見ごたえあった。
吹き替えなしだそうで、あれの練習だけでも大変よね。
クライマックスのステージは本当に素晴らしかったよ。鳩飛ばす洋ちゃん、カッコいい。。
柴咲コウちゃんのお母さんも可愛くて…劇団ひとりは普通にイケメンだった。。
音楽は佐藤直紀さんだし、脚本は橋部敦子さんだし、このキャスト…。関わったスタッフにこんなに恵まれたデビュー作。
監督や俳優業に関わる時は「劇団ひとり」は止めて川島省吾にした方がいいのでは~。
ストーリー自体に若干の弱さを感じる以外、良作。ひとり監督には次作も期待したいです。。
…で…あのスプーン曲げマジック、よくテレビでもやってるけれども全然仕掛けが解らないよね…と改めて思った。
以下ネタバレ感想
ネタバレ欄に書くまでもなく、予告でお母さんが死んじゃうんだろう事は宣伝されてしまっているので~…これは、どうなのでしょうか。ここバラしちゃったらお話自体にミステリー要素がまるで無くなっちゃうと思うんだけど。
まぁ別に要らないのか。ミステリー要素。
でも、母親が子どもをただ置いて行ったと思いながら見るのと死んでしまったと解っていて見るのとでは見る方の気持ちも違うと思うのだが…。
タイムスリップした時の様子も何かアッサリだったな…。自分だったら落ちている昭和48年の新聞を見たからといって自分がタイムスリップしたとは即座には思わないだろうな。その辺はもう少し丁寧でも良かったのではと思う所。
あと、早期胎盤剥離が解っていて入院しているのに自然分娩っていうのは変な気がした。
昭和48年、そこまで医療は遅れていないはず。
お母さんが亡くなったのは晴夫を産んだからではなくて病院がヤブだったからだよね。
人生が上手く行かないのは、ダメな父親と冷たい母親のせい。
そう思っていた男が真実を知る物語。
愛を与えられていたと知る事は自信に繋がる。
元の世界に戻っても、この人の今後は大丈夫だと思えた。
昭和の手品業界クオリティで自信もついたしねぇ。。
いいね。昭和。
単純で人の繋がりが密で温かい。
「ありがとう」
の回想で切ったラストの余韻も心地よい。
人間が生きていくのって大変。
けれども温かい思い出は生きる支えになる。
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