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『私が、生きる肌』究極のベガ

私が、生きる肌
~ LA PIEL QUE HABITO ~

   

監督: ペドロ・アルモドヴァル   
出演: アントニオ・バンデラス、エレナ・アナヤ、マリサ・パレデス、ジャン・コルネット、ロベルト・アラモ、ブランカ・スアレス、スシ・サンチェス
公開: 2012年5月26日

2014年6月30日。イマジカBSにて視聴。

初めはもっと有り触れた設定のストーリーなのだと思っていた。
形成外科医が何らかの事情で患者に「こうなって欲しいと思う顔」を作る。
もっともこの主人公の場合は「肌」の研究を行っているわけで、それだけではない「何か」もあるわけだけれども。

ストーリーが過去と現在を行き来して、次第にそれが繋がっていくと…ゾッとする真実が現れる。
衝撃だ。

火傷に強い「究極の肌」を研究している形成外科医のロベルは、失った妻の面影を監禁している実験台の患者に求めていた。
ある日、ロベルの留守中、過去に関わった事がある男が強盗に押し入ってくる。
彼の行動はロベルが今まで抑えていた物を引き出しはじめる。

最初の方は、ただのキ〇ガイ変態映画なのかと思っていた。
起きている事は凄いのに、登場人物の行動は苦笑すら誘う。
過去に戻る時の演出は、ちょっと古臭さも感じた。
ストーリーの狙いどころがよく解らなかった。

しかし、全貌が明らかになって来ると…まぁ…本当に、何やってるんだろう、この人と…。

気持ちも解らなくもないけれども…自業自得なんだろうけれども、ここまで~…

もっとも、一般人にはここまでする事も出来ないもんね。
技術と知識を生かした究極の…〇〇

結末にはちょっと涙した。
こんな事になっちゃって、この人…。

触れてはいけない狂気に触れてしまった男。
登場人物、みんな哀れ。

思い切りヌードを披露したエレナ・アナヤが美しい。
そのヌードもね…見ている内に随分印象が変わってくるんだけど。

 


以下ネタバレ感想

 

 

トラが押し入ってきた時は、レイプシーンに目をふさぎたくなったりビックリしたりしたもんだが…。
あの時にエロ映画だと思った印象が最後にはすっかり変わってしまったよ。

作られたボディの主は、娘をレイプした男。
技術と知識を生かした究極の復讐。

愛するベガには浮気されたあげくに自殺され、おかしくなった娘にも自殺され、この顔に余程縁がないらしいのにまた同じ顔を作る。

火傷に強い壊れない肌。
今度こそ無くならないはずだったベガに殺される皮肉。

そもそも、ノルマがあんな事になったのは、ロベル自身にも責任があると思うの。
精神不安定な娘をあんなパーティに連れていって目を離していたのだから。

それに……

よく分らなかったけれども、あれ、ビセンテはノルマに何も出来ていなかったような気が~。

あの状況だったらOKだと思っても仕方ないしぃ。
OKだと思って脱がせたらいきなり暴れ出して、ちょっと殴ったら気絶しちゃって、結局やれず終いだったように見えたんだけど。

だとしたら、ビセンテ、もの凄い被害者やん…(まぁ襲いかけたのは事実だけどな)。

監禁されて女にされて、実験台にされて…。

究極の復讐には究極の復讐を。

もう二度と会えない「男だった自分」の写真にキス。

やっと逃げ出して、母に会いに行くラストシーン。

ホッとした、と同時に、この人の今後の人生を思うとハッピーエンドとは思えない。
狂った歯車に巻き込まれた時間は二度と戻ってこない。
切ない話。

 


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・象のロケット

★前田有一の超映画批評★

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