思い出のマーニー
監督: 米林宏昌
キャスト: 高月彩良、有村架純、松嶋菜々子、寺島進、根岸季衣、森山良子、吉行和子、黒木瞳、杉咲花、森崎博之、安田顕、戸次重幸、大泉洋、音尾琢真
公開: 2014年7月19日
2014年7月8日。劇場観賞(試写会)
この世には目に見えない輪がある……。
都会で輪に入り切ることが出来ない12歳の少女・杏奈は、喘息の療養のために海辺の知り合いの家へ預けられた。散歩中に入り江の向こうに古い洋館を見つけた杏奈は、そこに住む金髪の少女・マーニーと出会う。
マーニーはいうのだった。
「あなたは私の大好きな友達。この事は2人だけの大切な秘密よ。」
原作はイギリスの作家、ジョーン・G・ロビンソンによるジュブナイル小説。
ジブリお得意のジャンルだと思われる。
出だしの現実的な学校シーンから田舎へ移動すると、そこはほぼファンタジー。
主人公・杏奈の性質的に、ファンタジーに逃げている…とも言えるのですが。
現実は結構つらい。
「女の子の輪」は、大人になってもとても面倒だ。面倒で取っつきにくくて、輪に入れていても疎外感感じる事は誰でも経験すると思う。そこはリアル。
もっとも、この主人公の場合は輪に入れない大きな理由があるのだ。
その「理由」は、ストーリーとしてはネタバレになるので下↓のネタバレ欄で。
12歳…とっても複雑。この子の気持ちも解るよ…解るけどさ、親目線で見ると仕方ないんだよね。それは、この子もいずれ親になれば解る。
そんな風に、年齢や立場や育った環境で感想も全く変わるだろうなぁと思われる作品。
ストーリーに関しては、たぶんネタバレしちゃいけない意外性を狙った部分が多いだろうと思われる。個人的には、割と早い内から気づいてましたが…気づいちゃいけなかったのかも知れない。 ぇ…でも、セリフでもちゃんとネタバレしてたじゃん…。
あと、公式に表記されていないキャスト。これも「何で全部書かないんだよ」と思っていたけれどもストーリーが知れるから書かれていないんだな、たぶん。
早くから「そうなんだろう」と思っていたので(実際には予想とちょっと違うけど)物語の意外性に驚くことはなかった。
それでも窓辺のマーニーの笑顔全開シーンにはウルっとなったよ…。クライマックスは盛り上がったと思う。
イケメンを排除して、少女の気持ちに戻って百合世界を楽しめればOKなんじゃないかと。
ちょっと現行朝ドラ『花子とアン』の女学校時代を思い出した。
けれども杏奈ちゃんをあまり好きにはなれなかったのね。残念ながら。その辺が今イチ入り込み切れなかった要因かも。
ウルっとはした。したけれども、たぶん私、この映画は何ヶ月か経ったらすぐに忘れてしまうな…。すいません。ナーバス気味な感想で~~。
米林さんは、個人的には『アリエッティ』の方がずっと好き。
作画も『アリエッティ』の方が数段上だった。
今作、風景や建物は大変美しかったけれども、人物が今ひとつ…表情も平面的で動きも柔らかさに欠けた気がする。申し訳ないけれどもその辺は『ゲド』に近いとすら感じてしまった。
もっとも、「ジブリだから」という期待感がそんな感想を生み出してしまうわけで、一般的に考えたら充分なのかも知れないし…その辺は自分の目が尖っているかも知れません。
12歳の少女の心の成長物語。
「曇りなき眼で見定める」ほど楽しめる作品だと思う。
「TEAM NACS」が声優出演…も売りの1つだったけれども、誰が何の役なのか見て行かなかったからサッパリ解らなかったよ。
おじさんがヤスケンだとずっと思いこんで「上手いな」と見ていたのに、終ってから調べたら寺島進さんだったと知って自分を笑ったわ。
宮崎駿氏じゃなくても結局、声は声優さんを当てないんですね…。
その辺は賛否あって何とも言えないけれどもキャストの名前で釣るんだったら、せめてEDは役名もきちんと表記してほしかった。
…という事で、EDを長々と見ていても誰が何の役なのかサッパリ解らないので、ここに一応ザラっとキャストも書いておきます。
公式にも何処にも載っていなくて全く解らないキャストもいるので、解ったら追記します。
【役名とキャスト】
杏奈 … 高月彩良
マーニー … 有村架純
頼子 … 松嶋菜々子
大岩清正 … 寺島進
大岩セツ … 根岸季衣
老婦人 … 森山良子
ばあや … 吉行和子
久子 … 黒木瞳
山下医師 … 大泉洋
十一 … 安田顕
美術教師 … 森崎博之
紳士 … 戸次重幸
町内会役員 … 音尾琢真
サヤカ … 杉咲花
以下ネタバレ感想
↑上にサラっと「サヤカ」と書いたけれどもさ~、公式のキャストには入っていないんだよね。
東京から引っ越してきた館の新しい住人の少女・さやか。重要人物なのに。
これは、ネタバレだから書かれていないんだな…と何となく思った。
「新しい住人が入る=マーニーは居ない」って事が見る前からバレてしまうもんね。
公式にキャスト書かれていないから調べるのに時間が掛かったぞ…。
というか、正直ヒロインの2人はそこそこ……な感じで、このサヤカだけが飛びぬけて上手だったので本職の声優さんに違いないと思い込んでいたのね。
杉咲花ちゃんだったとは!!
↑あ、知らない方へ。「麻婆茄子」のCMの子です。(この説明が一番伝わる )
彼女、ホント万能だな…演技も上手いし。
杏奈が輪に入る事が出来ず自分が嫌いな理由。養母を「おばちゃん」と呼び打ち解けられない理由。
これが養子を育てるために出ている補助金だったとはね…。
それを欲しくて養子を引き取ったのかと12歳の少女がショックに思い、養父母を汚らわしいように思ってしまったのは何となく理解できる。そういう年頃だよなと思う。
でも、子育てにはお金が掛かるんですよ。…と、親の立場である私は頼子さんを弁護する。補助金なんて全然実入りにならないよ。それは、いずれこの子も親になれば理解できるんだろうな。
そんな事のために養父母と溝ができ、大人を信用できず、輪に入れなくなってしまうんだから人生もったいない。いや、もったいないと思ってしまうほど無駄な時間が流れなくて本当に良かった。
静養に行ったのは正解だったね。
杏奈はおかげで多くの真実を知って自分と向き合えた。
デブっちょ豚の「目が青い」の下りで、マーニーが幻…あるいは幽霊である事は想像できてしまった。そして、母親なんだろう…というのが自分の予想だった。お祖母ちゃんだったのね。
あの写真1枚だけ持って貰われてきたんだね。って事は、貰われてくる段階で両親が誰かも何処の誰かも解らなかったって事?
ん?あれ……?
マーニー、金持ちの令嬢っぽかったけれども、もしかしたら遺産もあの館も杏奈の物なんじゃないのか?(館は手放したんだっけ?)
…この記事を書きながら、たった今、色々と気付いてしまった…あれ、気付かない方が良かった?
マーニー、もしかしたら、遺産があるよと伝えたくて出てきたのか!
何だよ、さあ、これから裁判だっ!
…そういう話ではなかったけれども…
結果的には自分の身の上を知って養母の気持ちも知って、サヤカという二次元じゃないお友達も得て…爽やかなラストでした、と書こうと思ってたのに。
ツッコんで終わってすいません。
|
comment
sisさん
なんか…ものすごくレスが遅くて申し訳ないです…(とっくにレスしたつもりでいたというボケ)
>それから、昨日のTLでも私を含め、杏奈に共感した女性フォロワーさんは一人もおりませんでした。あの子、同性から見ると、どう考えてもただの我儘でやたら自意識の強い嫌な子だよね(苦笑)。
いいなぁ…そのTL……
私の周りは共感して泣いたみたいな話でいっぱいっすよ。
共感できない私は悪魔か悪魔なのかって感じです。
もう私の中でジブリはほぼ終わってるのかも知れない。
改めてそう思わせてくれたのがこの作品でした。
かぐや姫は素晴らしかったですね。
私も高畑さんが好きだな!
くうさん映画のブログもされていたんですね!知って得しちゃった♡
さてこの作品、昨日日テレさんで初めて拝見しましたが、まあくうさんて心の優しい方ですね。
昨日はフォロワーさんとボロクソにどつきまくった結果、これは「監督がひたすら月灯りの下で戯れる二人の美少女を撮りたかった」枡柿映画であるという結論に至りましたw
まずはイントロ長過ぎ。杏奈のこじれた性格を描写するのにあんなに長々と要らない。そしてそれも含め、前半(ネタばらし以前)があまりにも長過ぎる為に後半(ネタバレ)が超駆け足になった印象を得ました。
まあ元々この監督さん、情景描写はすごくうまいんだけど、映画の文法というか、映画を骨格から段々と組み上げていくのは得意ではないんでしょうね。
それから、昨日のTLでも私を含め、杏奈に共感した女性フォロワーさんは一人もおりませんでした。あの子、同性から見ると、どう考えてもただの我儘でやたら自意識の強い嫌な子だよね(苦笑)。
まあおそらく監督さんは「内気で自分が嫌いで自己否定ばかりしてしまう繊細な少女」を描きたかったのでしょうが、どうしても男性目線が抜け切れず、つまり上っ面しか描けていないのです。そうすると「ただのワガママでイヤな子」になっちゃう訳で、同性受けが悪いのも致し方ありません。
ちなみに杏奈の性格描写で私が一番「これ違う!!」と思ったのは、例の「私を赦して」⇒「許すわ!!あなたが大好きだもの!」のシーンでございました(議論したフォロワーさんもこのシーンすごく違和感持った模様)。
杏奈さん、あんさん聖母ですか仏様ですか神様ですか!?(別に動画は投下してませんが)と思わず突っ込んだよね!ww
あそこで間髪入れず「許す」と言えるのはそれこそ聖人君子か神様ぐらいのもの。
普通の人間なら、まして女の子なら(女の子はまず口に出してぶちまけることで解決する)、まずは「どうしてあの時私を置いていったの?」「どうして私を捨てたの?」と問い詰めて問い詰めて、そこから「許し」に行かないとカタルシス(=精神の解放・真の赦し)にならんぞ!!(ドンドンと机を叩く)
つまりはパンフで監督さんはマーニーと杏奈の心にそっと寄り添う作品を作りたいと仰っていたようですが、要は御自分の「美少女二人が戯れる綺麗な情景」を描きたいという表現欲求にだけ寄り添っていたように私には見えました。じゃないとあんなにネタバレ尺短くしないし、個々の人物像ももうちょっと突っ込んで描くと思うのです。
コメントと言いながら持論を長々とぶちまけてしまって失礼しました。あ、私も「お母さん」だと思っていたクチでした。w
やっぱりジブリで一番恐いのは高畑さんだわ。かぐや姫こわいwww