猿の惑星:新世紀(ライジング)~ DAWN OF THE PLANET OF THE APES ~
監督: マット・リーヴス
キャスト: アンディ・サーキス、ジェイソン・クラーク、ゲイリー・オールドマン、ケリー・ラッセル、トビー・ケベル、コディ・スミット=マクフィー、カーク・アセヴェド、ニック・サーストン、テリー・ノタリー、カリン・コノヴァル、ジュディ・グリア
公開: 2014年9月19日
2014年9月24日。劇場観賞
泣くわ…。
猿たちが必死過ぎて。
『創世記』が自分が体験した過去のように思い出されて泣くわ。
彼らは頑張って自分たちの世界を築いてきた。
もう人間は必要ないもののはずだった。
人間の世界に甘いノスタルジーを抱くシーザー。
人間に対しての記憶は憎しみのみで構成されているコバ。
どちらの望みも等しく、猿の世界を守ること。
<あらすじ>
前作「創世記」から10年ほど経った2020年代。人類は自らが生みだしたウィルスによって滅亡の一途を辿り、わずかな人数がサンフランシスコで細々と暮らしている。
シーザーは立派な大人になり、新世代の猿たちを率いて暮らしていた。人間はとっくに滅びたと思っていた猿たちは、ある日、再び人間の一団と出会うことになる。
猿たちは人間が生存している限り自分たちが滅ぼされると思っている。
人間たちは猿たちに恐怖を抱いている。
異なる種族をお互いに理解し合わず、間違った情報に振り回され、自分たちの黒歴史さえ相手になすりつけ、力で相手を制しようとする…。
現代のリアルな社会にも通ずる悲しい争いの元が、ここに見えてくる。
人種差別など社会の問題を猿の世界に反映させて描いてきた『猿の惑星』だが、今回はその他に「資源」の話も出てくる。震災以降、否応なく「電気」と向き合わされてきた日本人としては、気づかされることも多いだろう。
猿たちには電力も武器も不必要であり、それを持つ事で人間がどうなるか大人の猿たちは解っている。
もう、どうしてそうなっちゃうんだろう…。
という悲しさでいっぱいになるストーリー。
しかし、前作同様に悲壮感でいっぱいになるベタベタした話ではない。むしろ、ゆっくり悲しんでいる間もないほどスピーディに物事は坂道を転がり落ちていく。
「人間」も出てくるわけだが主人公は間違いなくシーザーであり、シーザーの戦いを描く物語である。
『創世記』で仲間になった檻の中の面々も健在。コーネリアはシーザーの妻となり2人(2猿? )の子どもを産んでいる。
“Ape Shall Never Kill Ape”「猿は猿を殺さない」
若い世代にも伝えてきたこの言葉が……今回の作品の苦さとして残るのだった。
映像もスピード感もストーリーの組み立ても素晴らしい。前作と並ぶ傑作。
人間とサルは本当に戦わなければならなかったのか…。そこを現代の様々なシーンにも置き換えて考えてみたくなる。
そして、物語は2016年公開の続編へ……。
待ち遠しいね。。
以下ネタバレ感想
ジェームズ・フランコさんが出てる……。
シーザーが、自分が人間に愛されていたビデオを見るシーンで泣いた…劇場に人が1人も居なかったら声上げて泣きたかったよ。 シーザーはあんなに人間を愛していたのに。
武器を持って恐怖政治を開始して、すっかり悪の権化みたいになってしまったコバだけれども(元々人相…猿相か、悪いしな)、あの子はあの子で虐待されて育ったんだから仕方ないんだよね。
コバには人間に対する恐怖や嫌悪、恨みと共に、人間に愛されて育ったシーザーをうらやむ気持ちもあっただろう。
森に武器を持ち込んだのは人間だ。それが無ければコバの気持ちも掻き乱されることは無かったかも知れない。平和に森で一生を送ったのかも知れない。そう考えると哀れだ。
森に武器を持ち込み、ウィルスの元凶が自分たちである事さえ忘れて「猿ウィルス」と呼ぶ人間。
けれども、それは「一部の人間」だ。
それと同時に、コバも「一部の猿」だ。
同じ種がみんな同じ考えを持ち同じ方向を向いているわけではないのに、人は同じ種をまとめて見ようとする。リアルな社会がここにある。
「お前は猿ではない」
断腸の思いで、みんなの前でコバを切り捨てたシーザー。
前作と同じく…シーザーは長である責任から逃げない。苦い思いもちゃんと受け止める。
『創世記』『新世紀』と見て、これは1972年の『猿の惑星・征服』のパラレルワールドなのかなぁ…と、ふと思った。
…となると、次は『最後の猿の惑星』……。
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