64-ロクヨン- 前編
作品情報
監督・キャスト
監督: 瀬々敬久
キャスト: 佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、瑛太、三浦友和、永瀬正敏、吉岡秀隆、仲村トオル、椎名桔平、滝藤賢一、奥田瑛二、夏川結衣、窪田正孝、緒形直人、坂口健太郎、筒井道隆、鶴田真由、赤井英和、菅田俊、烏丸せつこ、小澤征悦、金井勇太、芳根京子、菅原大吉、柄本佑
日本公開日
公開: 2016年5月7日
レビュー
☆☆☆☆
劇場観賞: 2016年4月22日(試写会)
タイムリーなのかこの映画が公開されるからなのか、先日、某まとめサイトの事がちょっと話題になっていて。
「昭和64年」というものが存在していたらしいです。興味深かったので調べてみました。って、ええぇぇ……。。
で、でもまぁ…よくよく考えたら平成元年生まれの人たちがもうアラサーなんだよね。昭和は遠くなりにけり…。
あらすじ
◆あらすじ
わずか7日で終わった昭和64年。その年に起きた少女誘拐殺人事件、“ロクヨン”から14年が経過し、未解決のまま時効が近づいていた。そのロクヨンの捜査に携っていた警務部秘書課広報室の広報官・三上義信（佐藤浩市）は、記者クラブとの不和、刑事部と警務部のあつれき、ロクヨンを模倣したような誘拐事件に直面し……。(シネマトゥデイより引用)
NHK連続ドラマと同じくらいの評価
日本中の刑事役者が集まったよ！って感じのすごい県警(笑)
原作は横山秀夫氏による同名小説。
原作が同じだから当たり前だが、昨年連続放映されていたNHKドラマとストーリーだけではなく印象もほぼ同じ。つまりあの秀作ドラマと同じくらいこっちもイイ。
警察内部の人間模様が主題
前半に関しては特にサスペンスというよりも警察内部の人間ドラマである。
誘拐事件がどう起きるかとか犯人は誰なのかなど、そういう部分を見るサスペンスではないので、謎解き気分で観に行くと恐らく肩透かしを食らう。
どちらかというと、「警察」という組織を描いた社会派ドラマ。
上からも外からも無茶振りされ、家庭にも問題を抱える中で精いっぱい誠実に生きようとする主人公たちの仕事に頭が下がる思い。見ていて胃が痛くなる感覚もドラマと同じだ。
こういう、押しくらまんじゅう的なもん『クライマーズ・ハイ』でも見た(笑)
少女の遺体映像には胸が詰まる。
ちょうど、とある事件が起こる所で前編を切っているので後半への期待は繋がる。
ドラマ比較のような見方になってしまう
ただ、本当に演出もNHKのドラマと同じような印象なので…ドラマ視聴済みの身としては映画版のキャストを見る、といった見方になってしまったのは事実。
もう少し、ドラマ終了から映画公開までの間が欲しかった。(局が違うので言っても仕方ないけど)
主人公は、もう比較するという事もなく、浩市さまは浩市さまなので…。個人的にはやはり少女の父である雨宮さんに注目したわ。
ドラマ版の段田安則は誰がやっても超えられないだろうと放送当時から言われていたので。でも、永瀬さんもすごく良かった。焦燥し苦悩する父の表情に魅せられた。
あとは、東洋新聞の秋川。これは、ドラマ版では永山絢斗が、劇場版では瑛太が演じている。つまり、兄弟対決。。
で、瑛太ってやはりさすがだな～と、思ったのだった。
ドラマ版の時には感じなかった秋川のウザさや、周りにも実はウザいと思われているところや、何だかんだ言ってもお人好しなところも、表情や声の抑揚だけで伝わる演技の素晴らしさ。面白いキャラなんだなと映画版のおかげで初めて思えた。
非常に重厚な作品だが、各回1時間弱の連続ドラマ版の時でさえ言われていた登場人物の位置づけが解りづらいといった部分が2時間の映画ではどうだろう。
観た人が頭の中で昭和64年当時の人物の位置と「現在」の位置の相関図を描けるだろうか、という事はちょっと心配になる。
観に行かれる方は、ザっとした相関図は頭に入れておいた方がいいかも。
ザっとした簡単相関図
※昭和64年時点 追跡班
三上(佐藤浩市さま)現在は広報室長
望月(赤井英和) 現在退職
松岡(三浦友和)現在捜査一課長
※昭和64年時点 自宅班
漆原 (菅田俊)現在所轄の所長
幸田(吉岡秀隆)←重要人物
柿沼 ( 筒井道隆)現在捜査一課
日吉(窪田正孝)現在引きこもり
とりあえず、事件に関してはこの人たちだけ押さえておけば前篇はOK(たぶん。)
では。面倒くさいしがらみと建前と権威主義ばかりの男たちの世界を楽しんで。
事件は謎を残して後編へ期待。
後編の公開は6月11日。
以下ネタバレ感想
雨宮さんは昭和64年のあの7日間に取り残されている。
予告でも何度も聞いたこのセリフ。
みんな自分の立場や警察の立場ばかり考えていて雨宮さんのことなんか忘れている。
それは「昭和64年」という、日本中がバタバタしていた中で起きた事件が忘れられるのと同じだった。
雨宮さんの時間と立場はいつも置いてけぼりなのだ。
翔子ちゃんの無念。それは三上すら忘れていたことだった。
人間はその立場に立たなければ他人を理解できない。
今、娘を失う辛さを思い知ったからこそ三上は雨宮さんに寄り添える。
実は「ここ」が後編でも重要なことで …。
この物語はそういう物語なのね。その立場に立って考えるということ。
当方はストーリーの先も知ってしまっている身なので。ここは黙って後編を待つ。
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★前田有一の超映画批評★
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comment
りおさん
ですよね!!そうか、知らない人たちが日本を支える時代になったのかってことにビックリです～。
＞佐藤浩市はちょっと違和感ありです。
いい男過ぎませんか？
そこはもうキャスティングの段階で浩市さまの映画だから…いっか……と納得しました(笑)
こんにちは。
昭和64年を知らない世代がいるということが衝撃です。
本当に、昭和は遠くなりにけりですねえ…
わたしもNHKドラマを観ましたが、佐藤浩市はちょっと違和感ありです。
いい男過ぎませんか？
演技は文句ないんですけどね～
yukarinさん
登場人物、多いですよね！
そして錚々たるメンバーなので、今後放送されるの刑事ドラマや映画が見劣りしそうで心配です(笑)
私も後編が楽しみです～後編もまた胃が痛い展開だと予想されますねーー^^
こんばんは。
相関図ありがたいでーす。登場人物が多いので後編の前におさらいしないと 笑
NHKのドラマは観ていないのでどう展開するのがわからないので早く後編が観たいです!
こしなかさん
＞特に仲村トオル扮する二渡が何者なのかよくわからなかったとのこと。
あっ！そうですよね！
よくよく考えたらそこが一番引っかかる所かも知れませんね。
私もNHK版の時、初めは吉田栄作の立ち位置がよく解らなかったのを思い出しました^^;
＞幸田発見シーンが意外とあっさりしてたことかなあ・・・
ドラマの方はもう少し引っ張っていた気もしますね。時間的にはドラマが全5話で約5時間、映画は前後編で4時間。
その分が削られたってことでしょうかね。
私も後編の落合二課長が楽しみです。胃が痛くなりそう(笑)
千菊丸さん
クライマーズハイと同じ感じですよね。
事件や事故を描くというよりも、それを取り巻く人間模様ですね。
見応えありましたよ。ぜひ！
原作が大好きで、ＮＨＫ版もよかったので試写会に応募、見事に当たりました。
一緒に行った友人は、原作未読、ドラマも未見だったので、やっぱり人間関係の咀嚼にいっぱいいっぱいだったとのこと。特に仲村トオル扮する二渡が何者なのかよくわからなかったとのこと。
役者の皆様は、とてもよかったのですが、不満点を言えば、三上の妻の「心を病んでる感じ」が希薄だったことと、幸田発見シーンが意外とあっさりしてたことかなあ・・・
あそこは、前編の中でも大きな山場だと個人的は思ってます。現在の柿沼の位置づけが描かれてないので、そこもちょっと中途半端な感じがしました。（塩漬けにされてる柿沼にも感情移入できるはずなんですが）
もう一つは、関西人としては、赤井さんの標準語が気になりました。
と不満点も書きましたが、なかなか緊迫感のある映画になってると思いますよ。後編から登場するキャラでは、落合二課長役の柄本佑に期待度大です。
この映画の原作小説、昨年読んで面白かったので、映画の試写会に応募したのですが外れてしまいました。
予告編がイオン内の本屋で流れていて、面白そうだなぁと思いましたが、くう様のレビューを読み、観てみたいなと・・でも、金欠なので出来ればDVDレンタルされる日まで待ちます。
BROOKさん
よくこんなに集めたなってくらいですよね(笑)
みなさん一度はどこかで刑事やってるでしょ。ヤクザやってた人もいるけれども～。
私は話の先は解っているので黙っときますね(笑)
しかしどのような演出で描かれるのかは期待してます^^
豪華なキャスト陣でしたね。
誰もが演技はで、とても見応えがありました。
そして、後編に続くとなり…
どのような展開、結末を迎えるのか、今から楽しみです♪
前編でちょいちょい気になるシーンはあったんですが、それらが関係してくるのかなぁ…とも^^