テロ,ライブ ~ 더 테러 라이브 / The Terror Live ~
監督: キム・ビョンウ
キャスト: ハ・ジョンウ、イ・ギョンヨン、チョン・ヘジン、イ・デビッド、キム・ホンパ、キム・ソジン
公開: 2014年8月30日
2015年4月22日。DVD観賞。
これはすごい…。
ほとんどのシーンがスタジオなのに、この緊迫感。
見どころは、何かを利用してのし上がろうとする人間の醜さ、利用される側と利用する側の心理合戦、テロが起こるその根源にある物が見えてくる巧みなストーリー。最後に笑うのは誰なのか。
【あらすじ】
元・国民的アナウンサーで現在はラジオ局に左遷されているユン・ヨンファ(ハ・ジョンウ)は、ある朝、リスナーの意見を訊く番組の最中に1本の爆破予告の電話を受ける。初めは取り合わなかったヨンファだが予告通りに局の近くの橋が爆破されると、この事件を自分のアナウンサー復帰に利用しようと計画。ヨンファと犯人「パク・ノギュ」とのやり取りがライブ放送としてテレビで流されることに…。
舞台はほぼスタジオの中であり、ユン・ヨンファとスタジオの向こう、あるいは電話の向こうの人間との会話で成り立っている。飽きないどころか緊張感が持続するのは撮影の切り替えの細かさや脚本の面白さや、何よりも、ハ・ジョンウさんの芝居のリアルさによるもの。
犯人の要求は卑劣だ。けれども、「上」のやる事はもっと卑劣だ。
ラストへ向かうストーリー展開の中でハッキリ解った。人間がスイッチを押すとはこういう事なのだと。
犯人のひと言に思わず頷く。
ツッコミ所はあるものの、事態が次々と変わっていくので気にする間もなく惹きこまれていくのだった。
もちろん、不満が全くないわけではないが(特に終盤のアソコね…映像クオリティも含めて。)、短い時間で「見せる魅せる考えさせる」をキチッとやり遂げる構成の凄さには溜め息。
虐げられる人間の悔しさは、国に関わりなく皆同じよね。
国民のための政治とは、国民のための決断とは、国民のための言葉とは一体何なのだ。
韓国映画らしい苦さも残して、秀逸な一本。
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
ひと言謝るのがそんなに難しいことか?
これだよね。もちろん、国のトップは簡単に口を開けない…とは思う。けれども、自分がしてきた悪政に対して謝罪できない人間は信用できない。
謝罪はできないのに簡単に出てくる言葉。
「テロには屈しない」
あのタイミングでのこの言葉は本当に寒かった。
なぜこんな事になったのかは考慮せず、人質を犠牲にし、一介のアナウンサーの汚職事件をに話題をすり替え、亡くなった人たちには形ばかりの追悼の意を示し…。上からいう「我々は決してテロには屈しません」。
一生懸命国のために働いた人間が虫けらのように踏みつぶされて見捨てられた。丁寧に話したら言葉は聞いてもらえたか?
自分が返り咲くために事件を利用することしか考えていなかったヨンファが、次第に犯人と同じ立場になっていく、その展開に魅入る。
「これまでの俺の努力を踏みにじる気か!」
最終的に口にするのは犯人と同じ言葉。握った手は自分を救うための手。そして、犯人と同じスイッチを持つ。
「それを持つしか他に方法がない者」
を「上」は作っちゃいけない。
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comment
BROOKさん
ツッコミ所と言えば、警察長官は「息子の事も発表してやろうか」とか言うほど調べていたくせに気づかなかったのーー?という謎が最後まで残りました(笑)
結末ドドーーンは韓国映画のクセになるところですよね!
これが好きで見ちゃうんですよ^^
ツッコミどころはあるものの、
ストーリー展開は秀逸で最後まで楽しめましたね♪
あのような結末は韓国映画らしいような気もします。
ハリウッドだったら、絶対主人公を助ける方向に向かうと思うので…。