マジカル・ガール
~ MAGICAL GIRL ~
監督: カルロス・ベルムト
キャスト: ホセ・サクリスタン、バルバラ・レニー、ルイス・ベルメホ、イスラエル・エレハルデ、ルシア・ポジャン、エリザベト・ヘラベルト、ミケル・インスア、テレサ・ソリア・ルアノ
公開: 2016年3月12日 観賞: 2016年4月13日
嫌ぁーーな気持ちと疑問をたくさん投げかけて、スパッと切り、えっえっ、どうして?という闇だけを残した作品である。
すっきり綺麗なハッピーエンドの魔女っ子を求める方にはお薦めしない。
もっとも、魔法少女ものって元々ちっとも綺麗なハッピーエンドなんかじゃない物が多い気がするんだけど。
不思議な力を駆使する者は最終的には天罰を受けるものなのである。たぶん。
◆あらすじ
失業中であるうえに、娘のアリシアが白血病で余命いくばくもないという過酷な状況に置かれているルイス。ある日、彼は日本製アニメ「魔法少女ユキコ」の大ファンである娘が、キャラクターのコスチュームを着て踊りたいと願っているのを知る。父親としてアリシアの望みをかなえるべく、高価なコスチュームを手に入れようと奔走するルイス。しかし、そんな彼の決意と行動が、元教師ダミアン(ホセ・サクリスタン)と心に闇を抱えている女性バルバラを巻き込み、悲愴な事件を招くことになる。(シネマトゥデイより引用)
「サウルの息子」を観た時に入った予告が強烈で、公開したら絶対に行こうと思っていた。
額から血を流した変な女、短髪に魔女っ子コスの変な少女、誰が作ったんだかよく解らないアイドルソング(この時点ではまだ長山洋子のデビュー曲「春はSA-RASA-RA」とは知らなかった(笑))きっとすごく気持ち悪い映画に違いないと。
しかし、予告から思い込んでいた印象と全く違って魔法少女はアレでキュゥべえはあっちかよ!みたいな……うん、たぶん理解してもらえない、これ(笑)
クライマックスで発動するかと思ったのにアレだし…あ、アレアレですいません。。
つまり、かなり現実的に仕上がった闇。
もっとファンタジーなのだと思っていた。
たぶん、あらすじを読んだ印象とも予告とも違うので、そういう方向に期待しない方がいい。
つまり…「ソレは」切っ掛けにしか過ぎないの。
面白かったけれども、多くの人にお薦めはしない。
あ、気持ち悪いに違いない…という予感だけは正しかった!
映画の内容とは全く関係のない事だが、監督はこの作品を『魔法少女まどか☆マギカ』をモチーフにして作ったという話を小耳に挟み(聞いたのが観賞後で良かったわ)、えっ嘘でしょ?と言ってしまった。
本当にそういうインタビュー記事があってビックリ。
ごめんなさい、そこだけは、ちょっと納得できないわぁ…。
そんなに好きなら、そこはもっとちゃんと見てから語ってね。
少なくとも、まどかたちは私欲が発端だろうが世界のために戦っているんだからさ。「悲劇」である事だけで「まどマギ」と一緒にしないで(と、最終的にはこの映画と全く関係ないことでちょっと熱くカチンと来ている(笑))
そういう点では、ユキコの衣装がコスプレのように、この作品が日本の魔女っ子モチーフだという話もプレイに過ぎないのである。
だから、ソコに期待して観たらガッカリするので注意してくださいという事だけは申し上げておきたい。
つまり、魔法少女オタクのための映画ではないです。
ストーリーの軸としては、本当に極めて現実的なのである。
上手く行かないものだよね。「運」ってやつ。
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
予告の段階ではどういう内容だかサッパリ読めなかったので、きっと最終的には奇跡のように魔法が使えて病の少女がとりあえず悪に勝つのでは…と、甘い事を考えていた。
そういうファンタジーでは無かったのね。
ただ「魔法少女の姿形をしたい」という少女の夢を叶えたかった父が金のために女を恐喝し、金のために「トカゲ部屋」に入った女を守りたかった男が復讐を始め、まさか、病の少女までが殺されるとは思いもしなかった。
結果的には「女」というソウルジェムを使えたのは少女ではなくバルバラというキュゥべえだったのだ。
働かされたのは「魔法少女」ではなく、ダミアンという魔法おじさん。
病気の少女ユキコは魔女だった。
「まどマギ」風 に解説してみましたが何か(笑)
現実世界では病気は治らず借金は嵩み、好きなものは手に入らず身体を売っても報われない。悪い事は悪い事を呼び、不幸は連鎖で膨れ上がる。
そんな救われない虚しい話。
ユキコには、まどかのように戦ってほしかった。
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comment
こんにちは。TBをありがとうございました。
私はこの作品すごくすごく良かったので(恐らく上半期No.1)、恐らくそれは内容がファンタジーではなく現実的だったからなのだ!ということに、貴稿を拝見して思い当りました。
でもって「まどマギ」のことも通読していなかったせいなのかも…?(笑)
なんにせよ、強烈なインパクトのある作品でした。