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『共犯』死の先にあるもの

共犯 

~ 共犯 ~ 

   

 
監督: チャン・ロンジー
キャスト: ウー・チエンホー、チェン・カイユアン、トン・ユィカイ、ヤオ・アイニン、ウェン・チェンリン、サニー・ホン、リー・リエ、アリス・クー
公開: 2015年7月25日 : 2016年2月11日 DVD観賞

ここでも学校裁判が始まるかと思った。いや、むしろ始まってほしかった。
行き場のない孤独。どんな内容だって青春の1ページ。
誰も1人が好きな子なんて居ない。思春期…なんて、なんて面倒

◆あらすじ
男子高校生のホアン、リン、イエは、学校に行く途中の路地で同じ高校に通う女子高校生シャーの変死体を発見する。偶然その場所を通りかかっただけの三人だったが、一緒に彼女が死んだ原因を探り始める。やがて彼らは、彼女が同級生からいじめを受けていたのではないかと考え始め……。(シネマトゥデイより引用)

 

始まりは「事件」だった。

他人事には無関心で、なのに思い込みの噂話は拡散が早く、ナーバスな情報や攻撃対象にだけは敏感なマンモス学校。この社会の縮図。

集団ストレスの捌け口として虐めに遭っているホアン・リーファイ。
一匹狼的に他人に馴染まず深く物事を考えるのも嫌いないわゆる「不良」。イエ・イーカイ。
優等生で人気があり「友達」も多いリン・ヨンチュン。

どこにでも居そうな学生、どこにでも居そうな人間。
顔も知らず関心も無かった3人が「事件」という「非日常」と出会う。

「彼女はなぜ死んだのか。誰が殺したのか。」それを3人で紐解いていく話なのかと思っていたけれども、後半、物語は違う方向へと変わっていく。

こんな事でも楽しいんだ…と思える奇妙な一体感のある前半と、不気味で憂鬱で孤独な後半。でも、これはどちらもたぶん「青春」なの。

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どうしてこんな事をするのだろう、どうしてこんな風に動くのだろう、と。イライラしたりジリジリしたりしながら見て、でも、解る!解るよ!って何度も言ってあげたくなるんだ。

何て繊細で何て美しくて透明な世代なんだろう。

3人の男子学生それぞれの切なさと、全ての澱の元になったシャー・ウェイチャオ。

人が息を引き取る瞬間を共有した人間には奇妙な連帯が生まれる。
それは甘い繋がりでもあり、縛りでもある。

負の方向を描く『桐島、部活』であり、解決のない『ソロモンの偽証』

どんなに澱んでいたって青春の痛みが好きだという方は、きっと共感して観られるはず。

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 

    


 

「学校では同じ制服を着て同じ話を信じる。」「嘘もみんなか信じれば本当になる。」

リーファイの言葉にヒントはいくらでもあった。

メモの捏造。目撃談の偽証。そんな事は、たぶん大して悪いことだと思っていなかった。虐められて無視されていつも1人で。

死んでしまったウェイチャオの孤独が鏡のように自分に映っただろう。

かつてない興奮だ。次々に計画が湧く。
ぼくは絶えず水をやり続ける。 君たちがいれば僕はもう一人ぼっちじゃない。

1人の人間の死の先には何もないが、遺された人たちの先には複雑な思いがある。

人気者で友達がたくさん居ても、ヨンチュンも満たされない思いを抱えていたはずだ。
1人が気楽そうに見えたカイユアンだって、人と繋がっているのは幸せだった。

リーファイの台本で動いている間は彼らは幸せだったんだ。

リーファイが死ぬという計算外の事故が起きて、カイユアンが犯人になり、ヨンチュンは逃げる事で自分を追いつめる。

思春期って本当に面倒くさい。どうしてこんなに傷つきやすいんだろう。

解決しない孤独でジクジクした想いを抱えながら見終って、それでも記憶に残るのはなぜか3人の楽しそうな笑顔だったりする不思議。

ここまで全てリーファイの台本なのかもしれない。

彼は絶対に2人の心から生涯消えることはない。

永遠に1人にならない。

『共犯』公式サイト

 

 

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・象のロケット

★前田有一の超映画批評★

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comment

  1. nakakuko より:

    りおさん
    >瑞々しい感じはよく出ていたのですが、ミステリと思って観に行ったもので、ちょっと失敗したかなと思いました。
    ミステリーではあるんですよね。
    でも、青春ものとしての要素の方が大きいですね。
    しかも、青春ものとしては悲し過ぎました。

  2. りお より:

    こんにちは。
    まさに青春だなあ、と懐かしい気持ちになる映画でした。
    瑞々しい感じはよく出ていたのですが、ミステリと思って観に行ったもので、ちょっと失敗したかなと思いました。
    予告のせいでしょうけど。。。

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