ヒメアノ~ル
作品情報
監督・キャスト
監督: 吉田恵輔
キャスト: 森田剛、濱田岳、佐津川愛美、ムロツヨシ、駒木根隆介、山田真歩、大竹まこと
日本公開日
公開: 2016年5月28日 観賞: 2016年5月30日
レビュー
☆☆☆☆
ヒメアノ~ルの意味って…
タイトルが覚えられなくて(笑)
初めは「Hime・Noir」かと思っていた。
つまり、姫を中心とした暗黒世界なのかな、とか。
「Hime・Anole」なんだね。小さなトカゲ。すなわち、被捕食種。
◆あらすじ
普通の生活に焦燥感を抱くビル清掃会社のパートタイマー岡田(濱田岳)は、同僚からカフェの店員ユカ(佐津川愛美)との恋の橋渡し役を頼まれる。彼女が働くカフェへと足を運んだ岡田は、高校時代の同級生・森田(森田剛)と再会。ユカから森田につけ狙われ、ストーキングに悩まされていると相談された岡田は、森田がかつていじめられていたことを思い出し、不安になるが……。(シネマトゥデイより引用)
森田剛も恐いけれどもムロツヨシも恐い
正直、途中までは何だか間が悪くて受け付けないと思っていた。
しかしその部分も今から思い返してみると不気味。
ムロツヨシが(笑)壊れたロボットみたいで(笑)
でも本当に壊れているのはそっちじゃない。
人を手にかける感触まで伝わりそうな森田剛の鬱々とした凄さ。
こういう森田剛を見るのは久しぶりだな。
何をするか解らない恐ろしさ。『ランチの女王』を思い出す。
しかも、あの時よりも年齢と経験を重ねて、より恐さが増している。
今回は、バックボーンも辛いし…。
比較的ゆるい前半から、後半は鮮やかに色を変える。
後半には、まさかこのムロツヨシに……!! という展開が待っている。
序盤のリズムがイマイチ肌に合わない人も、そこは頑張って待とう。
タイトルバックの出し方、カッコ良い。
優しくてズルい濱田くん@岡田の人間らしさ、本当は岡田くらいには普通に人生を送れるかも知れなかった森田の過去、1人の人間の人生どころか脳内を変えてしまう行為の残虐さ。
底辺を歩む人生をボーっと受け入れる層はまだ幸せだ。
そうなる人生を否応なく歩まされた者もいる。
サイコパス、ソシオパスを作る要因は家庭環境だけではないんだなって。
罪深いよね、本当に。
だから最後はちょっと泣けてしまう。
ラストのセリフで呼ばれていた人は今どうしているんだろう。
脳内で色々補填した。
濱田くんがいつもの可愛いホンワカした癒しキャラではとても居られない内容。
それでも精一杯いつもの位置づけに就こうと頑張っているかに見える面白さ。
つまり。日常とは時に戦って勝ち取らなければならない物なのである。
誘惑もあるしね。
佐津川さんも凄いな~。可愛い顔してチャレンジャーだなぁ、と思った。。>
99分という短い上映時間の中に、積み重なっていく暗い情熱を見た。
森田くんは決してキチガイじゃなかった。
そこら辺に居る、あなたたちが作ったかも知れない人。
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
以下ネタバレ感想
ラストに泣く
穏やかそうな笑顔で伏し目がちに話していたかと思えば、辻褄の合わないことをボソッと平気で口にする。
えっ、それ明らかに嘘でしょう…その違和感が付きまとう。
そんな森田が、声を荒げて岡田に反論するシーン。
俺もお前も人生終わってんだよ。
何も持ってない人間が底辺から抜け出すなんて出来るわけないだろ。
岡田の「底辺」は自ら歩んだものだ。
森田の「底辺」はそういう構造にさせられたゆえだ。
プライドも人格もズタズタにされる虐め。
森田くんの糸は学生時代に切れてしまったんだね。
サイコパスは先天性の要因が大きいとされ、後天性の人格異常は家庭内の暴力や性暴力で起きやすいらしい。
森田くんは、たぶん家庭に問題はなかった。
学校という社会が彼の人格を殺したの。
森田くんと友達だったのに虐めに売った岡田くん。
けれども、謝るシーンではサラッと「どうでもいい」とキレられた。
運転中に白い犬を轢きそうになったあの時まで、森田くんの脳はもうおかしくなっていたのだと、勝手にそう解釈した。
虐めに遭い続けたあの時から、ずっと。
被害者の背中をグサグサ刺し続けるのは、自分の背中が的にされていたからか…。
残虐な殺人暴力シーンよりも、虐め描写がキツかった。
初めての友達を家に呼んで、
お母さん!麦茶持ってきて!2つね!
無邪気にそう言っていた時が、この子にも確かにあったのに。
あの声と、あのちょっと甘えた口調と、あのシーンの優しい光を思い出すと涙が出る。
「お母さん」は、今、どこにいるんだろう。
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