ハイネケン誘拐の代償
~ KIDNAPPING FREDDY HEINEKEN ~
監督: ダニエル・アルフレッドソン
キャスト: アンソニー・ホプキンス、ジム・スタージェス、サム・ワーシントン、ライアン・クワンテン、マーク・ファン・イーウェン、トーマス・コックレル、ジェマイマ・ウェスト、デヴィッド・デンシック、エリック・ゴドン
公開: 2015年6月13日
2015年6月3日。試写会。
1983年。オランダで実際に起こったハイネケン社の経営者フレディ・ハイネケン誘拐事件を題材に描いた作品。
「犯罪経験もない幼馴染み同士の犯人 vs 老獪な大富豪」みたいな前宣伝だったと記憶しているけれども…別に特に「vs」でもないよな…と、ついつい言ってみる。。
◆あらすじ
1983年、世界的に著名なビール会社「ハイネケン」のフレディ・ハイネケン会長(アンソニー・ホプキンス)が何者かに誘拐され、高額の身代金が要求される。巨大組織による犯行の線も考えられていたものの、犯人たちは犯罪に手を染めたこともない幼なじみ5人組だった。計画は順調に進んでいたはずだったが、次第に人質であるハイネケンの威圧的な言動に振り回され、誘拐犯たちの計画に狂いが生じ始める。(シネマトゥデイより引用)
上映時間が95分と短いので、ストーリーはどんどん展開する。おかげさまで退屈することはないのだった。
ただ、どんどん展開する分、登場人物1人 1人の描写が薄い。そもそも、なぜ犯人たちがこんな計画を立てたのか。そうしなければならないほど切羽詰まった感覚が無い。
あれよあれよと実行しちゃうし、サスペンス感はゼロに近い。。>むしろ、自分たちのしでかした事の大きさに動揺しまくる5人の滑稽で痛々しい人間ドラマとして見た方がいい。
自分はこいつみたいになるかも知れない、とか、自分はこいつに近い性格だな、とか。5人それぞれの精神状態が表に出てくるシーンはちょっと面白い。
しかし、そういうシーンもわずかだし切迫感が足りなくて追い詰められている感じが薄い。せっかくのアンソニー・ホプキンスさんなのにレクター博士感も薄い。。色々な意味で薄い。
上映後のトークショーで解説者の方が紹介されていた『誘拐 狙われたハイネケン』は未見だが、話を伺った限りではこっちの方がレクター博士に相応しそう。。
ともあれ、警察や世間や被害者側の視点を切り捨てて徹底した犯人側視点でまとめたという点では面白かった。誘拐事件の「代償」とは何なのか。道を踏み外さないためにもぜひ体感してみて。
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
そもそも「なぜハイネケンだったのか」
コル兄弟は父親と折り合いが悪いらしく、頑固一徹な父親と今だに反抗的な息子たちの描写は何度か出てくる。
ハイネケンに尽くしたあげくクビになったのに、ハイネケンを誇りに思っている父への反抗心。父の気持ちを蔑ろにしたハイネケンへの復讐心。それがこの事件の根底にあるのだという当方の想像はただの妄想だったのか?軽くスルーされて終わったけれども。。
ハイネケンを監禁している間にこの話はきっと出て来るに違いない、と待っていたのにな…。あのネタはハイネケンの「大金を得たら友達を失う」に繋がるだけのものだったのか。
けれども、コルの父親は今だにハイネケンに心酔しているし、運転手もハイネケンを信頼していたみたいだし。このハイネケン、意外と大金も友達も信頼も愛も得ているような気がするのね…。だって頭が良くてきちんとした人格の人っぽかったもの。
ハイネケンの予言のような言葉通りに崩壊して行ったのは5人の仲間だった。けれども、これもグッと持っていかれるほどの崩壊っぷりじゃないんだよね。パラパラ捕まって行って何だかマヌケ…。「神が金を燃やせと言った」のスパイクスくらいみんなぶっ壊れてくれれば面白かったのに。。
上にも書いたけれども上映後のトークショーで犯罪ジャーナリストさんが言われていた事件のその後、「ハイネケンは誘拐犯を許せず警察の捜査とは別のシステムで犯人を執拗に追いつめ続けた」…それをホプキンスさんで映画にした方が良くね!?…そして解説の人も「こっちにはそれが描かれているんですよぉぉ」って『誘拐 狙われたハイネケン』を何度も紹介するのはどうなんだ。。
…つ…つまり~…そっちを見た方が事件の全貌もよく解るし映画としても満ち足りるよと…そう言いたいんですよね。そーですか。。
まぁ、残念ながらそう言いたくなっちゃうのは理解できる。物足らない1本だったことは確かだもの。
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・ハイネケン誘拐の代償@映画生活トラックバック
・象のロケット
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